20200203 無題

 僕が過去に拵えた曲というものをなんとかしたい。
 持て余した退屈で、録音を繰り返し完成したそいつのミュージック・ビデオを拵えてやりたい。折角できたものがあるのだから、僕の無聊退治に使ってやりたい。
 万一、「このヘンテコ人間はどんな曲を作るんだ?」とか気掛かったお気の毒ヒューマンがおられたならば、謝辞を述べるしかあるまい。気持ちはまるで魔女の宅急便のエンディングテーマのようであります。まずは僕のページに飛んで、”謹製文集”とかいう分不相応なイキった名前のマガジンを開いて欲しい。そこのどこかにある筈だ。
 大丈夫。その労力に見合うものではないし、聴いても人生が豊かになるものでもない。憫殺でイッツ・ガナ・ビー・オーライだ。テイク・イット・イージーでいこう。

 私信。他にももっと過去に拵えた曲のマスタリングやらを、キッカリやり直したいのだけれど。どうでしょうかね、バンドメンバーさん。今度ご意見伺いに行きますね。私信終了。

 僕が数年前まで参加していたバンドがあって、そのメンバーとよく話をしていた。いつか撮りたい映像がある、と。
 大量の女の子に追われる映像を撮りたい、と。最終的に各メンバーが合流をして、グルーピーに囲まれながら演奏をするという大莫迦脚本で。言うまでもなく、完全無欠なる人中引き延ばし作戦だった。ただひたに僕らは夢に見ていた。結局、そんな予算もなくて実現し得るものではなかったけれど。クラウド・ファンディングしたらよかった。

 ちなみに僕の能力で作り得る曲は、ラヴソングというクソ戯けジャンルのみだ。羞恥心を擽るラヴソングばかり。というか、ラヴソングしか作ったことがない。僕は博愛ピーポーだ。そうやって友人に言っても、「どこが?」と言われるばかりなのだけれど。どうして皆は僕のことを理解してくれないんだろう……。大層面白くない漫画の小悪党じみた言い回しをしてしまった。通りで僕が退屈な人間である訳だ。
 それで、僕のためのミューズィック・ヴィデオについての妄想。
 時々、Apple純正のイヤホンで自分の曲を聴きながら散歩をしたりする。気分は自分を主人公にしたMVの撮影中になっちゃう訳で。外套の隠しに両手突っ込んでふらふらして、一寸ばかし歌詞を口ずさんじゃったり、周辺を見回しちゃったりする。人に見られて恥ずかしい瞬間ランキング堂々の一位である。中学生の頃に、マイケル・ジャクソンをSONY謹製のCDコンポから流して、あの踊りを真似てるのを母親に覗き見られた時と同じくらいに恥ずかしい。
 というものではなくて、僕は女の子の姿を撮り続けただけのMVを作りたいのだ。僕の映る余地はないし、何より不要だ。
 よくあるアレ。そう、アレが作りたい。顔は映さないでいい。妄想が捗らないから。お下劣桃色文献の冒頭にあるナンパシーンくらいに顔は映さない。僕はプライバシーに関して人一倍喧しい。決して、「ついでにデートの気分を味わいたいぜ」なんて下賤な気持ちは全くない。一厘くらいしかない。いや、嘘をついた。真実を吐露するならば一分、若しくは十割くらいしかない。信じて欲しい。
 願うだけならタダだろう。
 因む話でもないが、僕が思うに、”非モテ男’s痛妄想具現化MV競争”での一等賞は”RIP SLYME”の”熱帯夜”以外にないのではないか。それを超えるものを知らない。何時でも披露できるように、サビの振り付けはもう完璧に身についている。ただ悲しいことに、僕は食う寝る遊べぬインソムニアである。いと曲もなし。失楽園ベイベーには一体何処で出会えるんだい。
 夢半ばどころか、夢一歩にして僕はくたばりそうだ。
 我が生涯に兆片の悔いありと言ったところ。

 そういえば、僕が十代の頃に作った曲が、Youtubeに無断転載されていたことがあったけれど、めちゃくちゃに伸びてなかったな。
 投稿者の収益の一部にすらなれなくて本当に申し訳ない。忸怩っちゃう。

映画観ます。