【禅を仕事に活かす】 「布施」とおせっかいの心 希望の光になる
禅を学んでいる仲間達を見ていると、この困難なときを生きるのがなかなか上手いです。
フリーランスの方も多いので、収入がほとんどなくなった人もいます。しかし、人間らしさを失っていません。自給自足を楽しんでいる人もいます。その姿は、イキイキとさえ感じるのです。
仏教は「苦しみに気づく」ところからスタートします。苦しい状況を決して避けません。かといって、戦うのでもありません。
今この瞬間をただ受け入れていくのです。
苦しさの中に「幸せ」と「希望」があることを知っているから。
この試練を修行として捉えると、想像力が湧いてきます。
生活が静かになってくると、自分の心に敏感になってきます。
最近、毎日近所の山を登っているのですが、山道に大きな岩があります。毎回、そこに手を当てていました。岩からパワーをもっていたのです。しかし、先日一緒に歩いていた妻が、岩に手を当てながら、「もらいすぎると悪いから、パワーを返しておこう」と言いながら、手を触れていたのです。
まさか岩にパワーを返すなど想像もしていませんでした。そのとき、自分がいかに「GET」の心で生きていたかに気づかされました。
山を歩きながら、お金やこれからの仕事のことなどを考えることがよくあります。そうしていると、つい求める心が強くなっていきます。
それ以降、「GIVE」の心でこの岩に触れるようになりました。以前から与えることの大事さを頭では分かっていました。実際に、禅を学ぶ中で、「布施」を実践もしていました。しかし、普段のエネルギーはまだ「いただく」方向だったのです。
いただく方向のエネルギーだと、どこか自信がありません。「自分なんかお役に立てないのではないか」と感じている、ちっぽけな自分であり、「もっともっと欲しい」と足りないことばかりを見ているエネルギーだったのです。
こちらからエネルギーを出すということが、私にとっては必要なことでした。
ここからは、話半分で聞いて欲しいのですが、それまで私が岩に触れていると、いつも大きなハエが周りをブンブンと飛び回っていたのです。うるさいので、手で払いよけていました。それがこの日以降、近寄ってこなくなったのです。このハエは、私が知っているだけでも5年以上ずっとこの岩に住んでいます。代替わりをしながら、この岩を守っていたのかもしれません。
そしてさらに不思議なのですが、その日を境に、ハエが消えたようなのです。もう2週間ほど姿をみていません。
ひょっとして、成仏したのでしょうか。この岩には「南無阿弥陀佛」と彫られていました。
何気ない日々の生活には、まだまだ未知の世界がありますね。
エネルギーの方向を変えて生きてみることで、今だからこそお役に立てることが湧き出してきました。また、すでに十分与えられていることにも、あらためて気づきました。
この状況の中で、大勢が集まる企業の研修はすべてなくなりました。売り上げが激減する中でも、ありがたいことに個人セッションは続いています。
経営者の見方は非常にシビアです。多くの経営者が、来年は今年よりもさらに経済は厳しくなると予想し、来年が正念場だと、今から準備されているのです。
私自身も小さな組織を経営する身ではありますが、多くの従業員の生活を守らなければならないという重圧は、私なんかの比ではないと思います。
ただ、その苦しさを決して従業員には見せません。
コーチングを受ける経営者の方々は、どんな時も自分が成長しようとされます。
彼らにとって、困難はすべて成長の種なのです。
そして、「従業員の希望」であろうとされています。
苦しい時こそ前を向く。
苦しい時こそ明るさを忘れない。
苦しい時こそチャンス。
苦しい時こそ次への準備を怠らない。
経営者というのは、与える方なのだと思います。
経営者には「俺が俺が」という方が多いです。自分の言っていることが正しいと口に泡を吹きながら話す方が正直嫌いでした。しかし、好き嫌いを超えてみると、彼らは与える人なのだと気づきました。
おせっかいでも嫌われても、自分の持っている知識やエネルギーを与える。その中には、自分の影響力を示したいという思いがあるかもしれませんが、それも人間としてのエネルギーの一つです。
私自身セッションをしていて、彼らの希望の光にエネルギーをもらっています。
ちなみに、浄土真宗の念仏は「他力」です。阿弥陀さんは「俺にすべてまかせろ!!」と言っておられるそうです。阿弥陀仏のすべての人を救いたいという願いがはたらいていて、そのはたらきが私に届き、南無阿弥陀仏が口をついて出るのが念仏とのこと。
私は、若いときは「自分が生きる」と頑張っていました。自分の力の限界を感じ、禅を学び始めて「生かされている」というあり方を知りました。今までは、この2軸で世界を理解していましたが、さらに大きな何かが「私に任せなさい」と言ってくれていたのは知りませんでした。先日、ある会で念仏を称えていると、心が安心するのを感じました。「自分に任せなさい」と言ってくれる存在が常に側にいる。そんな力がこの世界には働いているのだと思います。
今まで、おせっかいな人がズカズカと土足で入ってくる経験をしていたので、正直なところ、おせっかいは嫌いでした。なので、自分もおせっかいをするのを避けていました。
しかし、私の中にも「おせっかい」な自分はいます。おせっかいというのも自然なあり方なのだと思うようになりました。自分の中にいる「私に任せなさい」という心を呼び覚まされたように感じました。そう考えると、アメリカに行っているのは完全なおせっかいです。
また、コーチは不要不急の仕事ではありません。ただのおせっかいでやっている仕事です。でも、そのおせっかいがクライアントさんに必要とされているのは本当にありがたいですね。
セッションは、私のおせっかいでいっぱいです。
・話を聴くこと。
・すべてをジャッジなく受け取ること。
・分からないという状態に一緒に付き合うこと。
・苦しみや悲しみ、喜びに共感すること。
・今この瞬間に起きていることを言葉にすること。
・全身で存在を認めること。
クライアントさんの話をお聞きしていると、自然に私自身が消えていきます。
心が透明になっていく中で、鏡になっていきます。
ありのまま姿を照らし出す鏡になるのです。
彼らのエネルギーをそのまま反射してお返しします。
鏡になることで、話し手、聴き手という役割が消えて、境界がなくなっていきます。2人が1人になったとき、そこに「気づき」が降りてくることがあります。もちろん、降りてこないこともあります(笑)
「対話」そのものに力があるのです。
対話そのものが「智慧」なのです。
その対話の力をお借りしているのが私のおせっかいな仕事です。
相手に心を傾けているときが私の一番自然なあり方だと感じます。
そのときは、求める心が消えています。
コーチというのは仕事であり、修行なのだと思います。
少し話は変わりますが、今は、新たなルーティンを作ることに取り組んでいます。あなたは、仕事がオンラインになったり、自粛になって出かけることができなかったりする中で、生活のリズムは崩れていないでしょうか。
ここでも、求める心だと苦しくなっていきます。今まで通りを求めてもそれは無理です。分かってはいても、今まで通りではないので、つい求めてしまいます。
美味しいものを食べに行きたい。遊びに行きたい。
それが普通の心です。
でも、それだと不便、不自由、不足ばかりになってしまいます。
不便、不自由、不足で心は荒れてきます。
しかし、私の心は、なぜか晴れやかです。
最小限のことしかできないので、逆に多くのことに目を向けなくていいからかもしれません。
これまで家庭にいると、妻に与えてもらっていることが圧倒的に多かったです。恥ずかしながら、妻の優しさに甘えさせてもらってきました。
仕事を口実にして、見ぬ振りをしてきたのかもしれません。
家で何か与えるエネルギーができないかと考えて、まずは掃除をはじめました。
毎日、家の床を雑巾で拭いています。禅には作務といわれる日常の雑事の修行があります。掃除もその一つなのですが、お寺では掃除ができても、自宅ではやっていませんでした。
今は毎日20分ほどかけて、床を磨いています。裸足で掃除をしていると、拭いた後の床がとても滑らかなのが気持ちいいです。
そのほかにも車を洗ったり、庭の草を抜いたりしています。全力でやっていると、背中がピンと立ってきます。そのとき、私自身が「希望の光」で輝いているように思います。
エネルギーを外向きに使っていると、自分の内側にエネルギーが向かなくなるので、考えることが減ってきます。1人で考えていると、今の時期はあまりいいことはないように思います。放っておくと考えてしまいますから。
まだまだ新しいルーティンを模索中ですが、あらたな自分への移行時期かもしれません。
今まで慣れ親しんだことができなくなると、最初は不快に感じます。これは、新しいことに不慣れだからです。
不慣れというのは、エネルギーが動いているということ。エネルギーが動いていると、いろいろと新鮮な気づきがあります。落ち着くまで、しっかりと不慣れを味わおうと思います。
今書きながら、あまり役立つ内容でないかなあと思っています。それでも何かをお伝えしたい。完全に私のおせっかいですね。そんな内容を読んでくださることが本当にありがたいですし、それだけが書く原動力です。
今は生きることに燃えています。
心を整えることに一生懸命の日々で、心からの充実感を感じています。本当に不思議です。
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