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集中力を回復させる リセット&リカバリーのメンタルトレーニング

オリンピック出場を目指す陸上の幅跳び選手から、試合でどう集中力を持続させればよいか相談されました。

幅跳びはまず3回の試技を行い、上位8番目の記録までの選手にはさらに3回の試技が与えられます。最終的には合計6回の試技の中での最高記録により順位が決まります。一本一本は連続ではなく、次の試技への待ち時間があります。

前の跳躍について分析し、次の跳躍に臨もうとしていたのですが、なかなか上手く行かず悩んでいました。

原因を分析して次に生かすという考え方は、日常では当たり前のように行われています。しかし、本番では逆効果になるのです。

振り返りというのは、思考している状態です。

考える行為をしていると、頭も身体も休めていないのです。試合の間は、ずっと戦闘モードで大丈夫だと考えている選手も多いです。ただ、人間の集中力というのは、自分が思っているほど長く続きません。

本番こそ、いかに休むかが鍵になります。しかも、ただぼーっとするのでは意味がありません。今回はリセット&リカバリーのメンタルトレーニングについてお伝えします。

ちなみに陸上の試合では、一本毎に30分から1時間程度の間の時間があります。その間も、頭も身体も頑張り過ぎている選手が多いのです。

まずは、100%リセットできるか。1プレーごとにゼロに戻せるか。

ある短距離の女性スプリンターは目を閉じて瞑想したり、好きな音楽を聴いたりしていました。これもリラックス、そしてリラクゼーションするにはよい方法だと思います。

またストレッチもいいと思いますが、身体の筋肉や腱だけを伸ばしている状態なのでリセットには不十分です。

体力気力のリカバリーのためには、力んだ身体をリセットしていくことが必要です。

力みを抜くには、大地とつながり、重力の力を借りることが有効です。

ヨガに屍のポーズがあります。魂が抜けた屍のように、体を動かさずに無の意識になるエクササイズで、数あるヨガのポーズの中でも、究極のリラクゼーションポーズと呼ばれています。

1. まずは仰向けの状態で横になります
2. 両足は肩幅に広げ、手のひらを上に向けます
3. 全身の力を抜いてリラックスします
4.呼吸に意識を向けます(何か考えごとが浮かんだら、そのたびに呼吸に戻りましょう)
5.重力に身を任せます
足、ひざ、背中が大地に吸い込まれるのをイメージします。眼球も沈んでいくような感じです。

そして、今度は気の流れを取り戻していきます。横になったまま、大地から伝わってくるエネルギーを全身で感じながら、そのエネルギーを手首まで通して上げます。大地の力で手首を回していきましょう。このとき、手首だけを回さないこと。あくまで大地→全身→手首というつながりを感じながら。そして、大きく回そうとしないことです。大きく回すというのは筋肉を使った動きなので、力んでしまいます。目に見えないほどのわずかな動きで大丈夫です。片側ずつ10回ほど回したら、逆回転もしましょう。そして、もう片方の足も同じようにやっていきます。

そして、今度は足首です。手首のときと同じように、大地からのパワーを全身で感じながら、足首にそのエネルギーを通していきます。そのまま足首をゆっくりと小さく回していきます。片側ずつ回して、もう片方もやっていきましょう。

このエクササイズのあと立ち上がったときに、恐らく足がかなり重く感じると思います。これは溜まっていた力みが抜けた状態です。

リセット&リカバリーのメンタルトレーニングで大事なのは、部分だけをリラックスさせようとしないことです。試合でのプレーで、どうしても部分に負担がかかります。間の時間で疲労した部分の力みをリセットし、全体への調和を取り戻すのです。これがリカバリーへのプロセスです。

幅跳びではどうしても跳躍の際の、足首に負担がかかります。リセットすること無く跳ぼうとすると、さらに足首が全体から切り離された状態で跳ぶことになっていきます。これは怪我の原因にもなります。大地から身体全体、足、足首へと気を流していくことで、つながりを取り戻すのです。

先程の幅跳び選手はトレーニングを重ねる中で、地面をより深いところで捉えられている感覚が生まれてきたそうです。ゼロへのリセット&リカバリーという感覚がはじめて分かったと話していました。




リセット&リカバリーは立っていても出来ます。また、ゴルフのようにプレーとプレーの間が短い場合でも有効です。

ある女子プロゴルファーは、ミスを次のプレーに引きずっていました。忘れようとするほど、ミスしたイメージや違和感が浮かんでくるのです。

見ていると、次に使うクラブを持ちながら考え事をしているのです。これでは、常に戦闘モードのままプレーしているので、身体も心も休めません。

まずは、待ち時間にクラブを持つのはやめましょう。

そして、立ったまま、しっかりと大地を感じましょう。呼吸を感じながら、重力に身を任せていきます。息を吐くときに、足の裏、足、上半身、腕の力が抜けていくのを感じましょう。

そして、全身を感じながら、手首をゆっくりと僅かに回していきます。まずは利き手から、そして数回回したら、今度は逆に回します。終わったら、逆の手に移りましょう。

このとき大事なのは、手首だけを回さないことです。あくまで大地の力を感じながら、全身で手首を回しましょう。

このエクササイズをやると、身体が重く感じるそうです。特に腕が重いので、最初は違和感を覚えたみたいですが、実はこの重さが重力を感じている状態であり、そのことでリセットできているのです。



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