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『ロング・グッドバイ』 映画としての完成度よりもカッコよさが前面に出ている。

評価 ☆☆



あらすじ
中年でしがない探偵のフィリップ・マーロウは、親友のテリーから「妻とケンカをしたのでメキシコに行きたい。車に乗せてくれ」と頼まれる。マーロウはメキシコまでテリーを送ってうちに帰る。すると、家の前では警察が彼を待っていた。



ハードボイルド映画の傑作といえば、ロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』をあげるひとが少なくない。1973年の作品でエリオット・グールドが探偵フィリップ・マーロウを演じている。グールドのマーロウは、落ちぶれてる感じがとても出ていてよかった。僕も昔からこの映画は好きだ。



ひさしぶりに観てみると猫に関するエピソードが意外と少ないことに気づいた。猫に関する妙なこだわりは、昔観たときは長かったような気がするのだが。記憶ってあてにならないですね。



この映画の影響は大きく、松田優作主演のテレビ『探偵物語』やさらにその影響を受けたアニメ『カウボーイビバップ』などに受け継がれている。



誰が犯人かといった謎解き部分も妙に希薄である。ストーリーなんて関係あるようでないような、そんな映画だ。もちろん、根底にはしっかりとしたストーリーがあるのだが、そのお話はキャラクター以上に魅力的ではない。



ロバート・アルトマン監督ならではの奔放な演出もいっぱいある。話がどの方向に行くのか読めないところもいい。そのせいか、ラストは結構とってつけたようなオチになっている。



ともかく、このエリオット・グールドが魅力的である。それもそのはず。この映画の製作者の中にはエリオット・グールドがいるのだ。なるほど。道理でかっこよく撮れているはずだ。



ちなみにエリオット・グールドは『オーシャンズ』シリーズでも登場している。でも『オーシャンズ』シリーズではとても太っていて、かっこ良いとは正直言えない。でも、それなりには味がある。



さすがアルトマンですね。観終わった後に強烈な印象を残すことに成功している。こういう映画は本当に少なくなった。



ストーリー重視(偏重と言ってもいいかもしれない)の物語が多くて、雰囲気重視の作品が少なくなってしまった。



「気分が良くて、何が悪い」という感じの映画があってもいいと思うのだが。時代の流れですかね。



初出 「西参道シネマブログ」 2009-07-19



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