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『Love Letter』 岩井俊二監督の長編第一作。内田善美の漫画「空の色に似ている」に似ている。

評価 ☆☆☆



あらすじ
渡辺博子は婚約者だった山岳部の藤井樹を遭難事故で亡くしていた。彼のことが忘れられないままに3回忌を迎えようとしていた。彼の母親から見せられた卒業アルバムから中学時代に過ごした北海道小樽の住所を見つけた。



もうかなり前だが『Love Letter』の完成披露試写へ行った。1995年のことである。監督は岩井俊二。出演は、中山美穂、豊川悦司、酒井美紀、柏原崇など。



酒井美紀さんが「初出演で緊張した」というエピソードを舞台で語っていた。酒井さんのファーストカットは、氷の上を滑るシーンだったという。何人かの出演者たちがエピソードを語って、監督が「脚本に1年以上書けたし、脚本にこだわった」ということをいっていた。そして映画が始まった。



話は変わるけど『インファナルアフェア』を観た友達が「あれは『夜がまた来る』のパクリじゃないか?」と話したことがある。確かに石井隆監督の『夜がまた来る』は、敵に潜入した刑事が警察のスパイとして、仲間を裏切るということに悩むというエピソードがある。まったく『インファナルアフェア』と同じかもしれない。そう捉えられてもおかしくはない。



『Love Letter』に話を戻そう。図書館、図書カードのやりとり、山での遭難、三角関係、最後の陸上競技、学校生活での淡い想い出。これらから連想できるのは、この映画ではない。僕にとっては漫画「空の色に似ている」。内田善美という伝説の漫画家の作品だ。



僕は「空の色に似ている」という漫画が好きで、何度も読み直している。そのせいか『Love Letter』のエピソードを見ていると「空の色に似ている」にしか思えない。かといって筋立てが同じわけではない。同姓同名をめぐる話なんてないしね。




岩井監督に対して「この映画は『空の色に似ている』のパクリだ」といいたいわけじゃない。『Love Letter』が好きならば「空の色に似ている」を読んでほしい。「空の色に似ている」を好きならば『Love Letter』を観てほしい。そういうことだ。



マンガの方は絶版になっているし、かなりの高値で売買されているので、読むのは困難かもしれない。でも、素晴らしい作品だった。当時、僕はこのマンガにそっくりな美少女と仲の良い友だちだったことも影響している(本当です)。



いずれにしても『Love Letter』は良い映画である。パクっているとか、パクられているとか、よく言うひとがいるけれど、まぁそこはどうでもいいじゃないですか。映画としてよくできているし、なにより初恋の感覚を見事に再現している。それだけで映画としては素晴らしい出来だといえる。



良い作品になればそれでいいのでは? と思う。中山美穂の代表作にもなっている。雪山を遠くに見るたびに「お元気ですか~」を真似した人は多いのではないだろうか?




そんなことしないか。




追記



韓国でこの映画はとても人気があるそうだ。わかるような気がする。しかも、みんな雪山を見るたびに本当に「お元気ですか~」をやっているという。なんじゃそりゃ。



初出 「西参道シネマブログ」 2005-12-07



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