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『ニキータ』 『レオン』はこの映画から生まれた。ヒステリックさと殺し屋という相反する要素の融合。

評価 ☆☆



あらすじ
若い女性ニキータは麻薬欲しさに警官を射殺、逮捕される。終身刑を告げられた彼女だったが、死刑回避の代わりに暗殺者となることを提案され、厳しい訓練を受けることになる。数年後、暗殺者となったニキータ。最後の試験としてある高級レストランで、ターゲットとなる人物を待っていた。



久しぶりに『ニキータ』を観る。この作品は1990年公開。監督はリュック・ベッソン。出演はアンヌ・パリロー、チェッキー・カリョなど。



『ニキータ』は、いまだに人気のある映画『レオン』の前身となった作品。リュック・ベッソン監督は、この映画にカメオ出演に近いかたちで登場してくれたジャン・レノに、「あんまりギャラ出ないから、君のために脚本を書いたよ」というかたちで書かれたのが『レオン』である。でも、良い脚本になったからベッソン自らが監督したらしい。



特に観直して面白かったのは、ヒステリックさと殺し屋というふたつの相反する要素が同じキャラクターに入っているところだ。相反する二点の融合は映画の常套手段であるし、ヒッチコックも力説している。リュック・ベッソン監督って意外と勉強家なんじゃないでしょうか。



『ニキータ』はアンヌ・パリロー演じるニキータという暗殺者が成長する物語がタテ、彼女を取り巻く男関係、ジャン=ユーグ・アングラード、チェッキー・カリョなどがヨコ。このふたつのラインを交錯する作品として構成されている。



だから、三角関係の物語にもなっている。だからこそ『突然炎のごとく』のジャンヌ・モローがゲスト出演みたいに出ているのかもしれないですね。今観てもカッコいいし、スタイリッシュである。ベッソン独特の文法みたいなものがしっかり見える。



ベッソンの映画的文法はいまは消えてしまったように思えるのが残念。もう数本はこんな感じの映画を作って欲しかった気がする。ジャン=ユーグ・アングラードは『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』もいいですよね。



ちなみに某雑誌がタイトルに『レオン』とか『ニキータ』とかつけているけれど、それってどうなんでしょう? そのうち『グラン・ブルー』とか『アンジェラ』なんて雑誌が創刊されるんだろうか? 『サブウェイ』とか『最後の戦い』とかになると「どんな雑誌だよ」てことになる。どれもベッソン映画のタイトルです。



もうひとつ。映画の中で登場するゴージャスなレストランは、パリのリヨン駅にある伝説の老舗レストラン「ル・トラン・ブルー」。めちゃくちゃゴージャスです。別の映画にも登場していて、どこだろうと思ってました。ぜひ行ってみたいものである。




初出 「西参道シネマブログ」 2007-04-08



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