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『神弓 -KAMIYUMI-』 前半は日本の大河ドラマ、後半は『アポカリプト』みたい。でも楽しめる。

評価 ☆☆☆



あらすじ
1636年、丙子の乱。満州に兵が押し寄せた。逆賊の疑いをかけられた弓の名手チェは、息子に伝説の「神弓」と幼い妹を託して屋敷から密かに逃がす。13年後、逆賊の息子ナミ、妹のジャインはキム氏でひっそりと静かに暮らしていた。



2011年公開の『神弓 -KAMIYUMI-』はキム・ハンミン監督、パク・ヘイル、ムン・チェウォンが出演している作品。『神弓 -KAMIYUMI-』とはどんな映画か? 韓国映画はそんなに好きではないし、神弓というくらいだからアーサー王みたいな話になるのか、荒唐無稽なファンタジーとして世界を救う弓の話なのか、さっぱりわからなかった。



映像は大河ドラマ的だが映画ではない。映画とテレビドラマはどう違うのかは長くなるので割愛するが、設定も雑である。ところが、この映画は話が進むにつれてだんだん話がシンプルになっていって面白い。



捉えられた妹をゲリラ戦で救おうとする。武器は弓矢がメイン。弓矢だけというところがいい。弓矢は遠くの人間を離れた位置で倒すことができる。ゲリラ戦である。自らの姿を見せなくていい。主人公は曲射つまりカーブを描いて弓を射る名手、姿を相手に見せることなく追ってくる部隊を全滅させようとする。



中盤から主人公とそれを追う軍団との闘いがメインになっていく。妹の話などは忘れている。メル・ギブソン監督の『アポカリプト』に似ているけれど、とにかく走って弓を射るそれだけをさまざまなバリエーションで見せてくれる。



曲射の名手で主人公にパク・ヘイル。彼を追い続ける精鋭軍団の長にリュ・スンリョン。このふたりの俳優は存在感がある。執拗に追いかけるリュは『逃亡者』のトミー・リー・ジョーンズのように冷静で忍耐力があっていい。



最初のうちはリュが追っ手として上だが、だんだん逆に部下を殺され、追い詰められる。そのうち、どっちの力が上なのかわからなくなり、観客は互いのチェイスに魅了される。森の中、竹林の中、草原のような山の中腹など、さまざまな状況での戦闘も迫力十分だ。



それにしても弓矢をテーマにするとは。現在の韓国映画はいい。アクションで、日本映画はちょっと勝てそうにない。もちろん張り合う必要なんてないんだけど。意外な拾いものでした。



初出 「西参道シネマブログ」 2013-7-15



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