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『愛の神、エロス』 贅沢な映画群。ミケランジェロ・アントニオーニ、ウォン・カーウァイなどの短編集。

評価 ☆☆



あらすじ
『花様年華』『2046』のウォン・カーウァイ、『セックスと嘘とビデオテープ』『オーシャンズ12』のスティーヴン・ソダーバーグ、『情事』『欲望』のミケランジェロ・アントニオーニという3人の映画監督が、愛とエロスをテーマに競作したオムニバス。



周囲のひとたちから「そんなに面白くないよ」と言われても、興味をそそるものってありませんか? 僕の場合は特に映画に関してその傾向が強い。例えばミケランジェロ・アントニオーニ監督作品などは良い例だ。



といっても、彼の映画は『愛のめぐりあい』『太陽はひとりぼっち』『欲望』くらいしか観ていない。でも面白い。『赤い砂漠』や『情事』も観ようと思っている。アントニオーニは“愛の不毛”を描く監督として知られている。愛の不毛なんて表現がいいですよね。



気になっているアントニオーニと、すでにお気に入りのウォン・カーウァイの映画が一挙に観られるということで、借りてきたのが『愛の神、エロス』。2004年公開。カーウァイ、アントニオーニ、スティーブン・ソダーバーグの三人が「エロス」に関して(なんだろうな、たぶん)な短編を撮影している。



別にエッチな気持ちがあって借りたわけじゃないです。ほんとだって。借りるのには勇気が必要だったけど。だってさ。レンタルショップのスタッフって女性が多いしね。一応、僕は男なので。



観終わった感想は「クリストファー・ドイルというカメラマンが良いなぁ」だった。カーウァイの映像は彼が撮影していたが、リー・ビンピンもびっくりの落ち着いたルック。カーウァイは『花様年華』から一貫したルックを保っている。



3本の中で一番面白かったのはウォン・カーウァイ監督作品。『2046』の時の混乱期から脱出した感じがしたし、話もシャープだった。『エロスの純愛〜若き仕立屋の恋』というタイトルで、コン・リーとチャン・チェンが出演している。



カーウァイの話は村上春樹の『我らの時代のフォークロア』に似ていました。ぱくっちゃ駄目だよね。さらに言うと、川端康成の『雪国』にも似ている。どういう映画か分かった人もいると思います。意外と面白い。



2番目に面白かったのはアントニオーニ。『エロスの誘惑〜危険な道筋』
というタイトル。 クリストファー・ブッフホルツ、レジーナ・ネムニなどが出演。相変わらず後半になればなるほどわけわからん世界に入っていく。そういうのが面白い人には(例えば僕ですが)、面白い。「オフビートは苦手。眠ってしまう」という人はつらいだろう。ただし、昔に比べるとキレ味も鈍い。どうしちゃったんだ! アントニオーニって感じ。



スティーブン・ソダーバーグという監督は正直良くわかりません。あんまり面白い監督という印象がなく、むしろ、優秀なプロデューサーという感じがする。



彼が監督したのが、『エロスの悪戯〜ペンローズの悩み』。アラン・アーキン、ロバート・ダウニー・Jrなどが出演していた。



短編映画集ってつまんないものが多いのですが、意外と最後まで楽しめた。いろんな味が楽しめる幕の内弁当みたいな感じです。



初出 「西参道シネマブログ」 2006-02-20



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