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『遠い空の向こうに』 アメリカの教科書にも掲載。理系学生たちによる青春モノ。超おすすめ。

評価 ☆☆☆☆



あらすじ
1957年10月4日、ソ連は人類初の人工衛星打ち上げに成功。スプートニク号がアメリカの空に確認できた。その頃、炭鉱町で高校生だったホーマーは、バイト先の店主から父の会社が人員削減を予定しているという噂を聞かされる。



以前、映画好きな編集者S氏から「ぜひ観て下さい」といわれていたのが『遠い空の向こうに』だった。1999年公開の映画で、監督はジョー・ジョンストン。出演はジェイク・ギレンホール、クリス・クーパーなど。ローラ・ダーンも出演している。原題は「OCTOBER SKY」。これはアナグラムになっていて、並べ替えると「ROCKET BOYS」になる。10月の空に向かって人工衛星スプートニクを眺めて以来、ロケットに興味を持つ炭坑町の青年たちのお話である。



観終わった後の感想は「素晴らしい」のひとこと。物語はノンフィクションつまり実際の話ということになっている。出来過ぎているほど。ハリウッドのいうところのトゥルーストーリーは怪しいので、話半分で聞いていたほうがいいかもしれない。それでも十分にドラマティックである。



アメリカンドリームはモノはスポーツ系が多い。さらに、数学者になりたい、科学者になりたい、というような話は自ずと伝記的になってしまう。青春モノとして面白くなくなることが多い。



ところが、『遠い空の向こうに』はちゃんとアメリカンドリームな物語になっている。ロケットを打ち上げで科学コンクールで一位になりたいと願う青年たち。しかし彼らを取り巻く環境は厳しい。先の見えない炭坑町の中、さまざまなトラブルを抱えて、青年たちはものがきながら生きている、この町から出ていくにはアメリカンフットボール選手になって奨学金を貰うしかないというが、理系人間たちにはそんなことはできそうにない。



そんな中、突拍子もない「ロケットを打ち上げる」という夢を見つける。その情熱が次第に周囲を変え、自分自身をも変えていく。



共感できるシーンも多い。例えば、勉強ばかりしているヤツは昔からワイヤード(変わり者)と見なされる。僕は文学部だけど、高校時代までは完全な理系だった。理系の友達たちも多くいた。彼らは文系よりも正直勉強ばかりしていた。だけど、彼らはナイーブだった。それなりに人生に対して真面目だけど、引っ込み思案で、恥ずかしがり屋である。



同時に女の子に関心があったりする。悩んだりもする。映画の中でも、数学ができるけれど嫌われ者という人物がでてくる。クエンティン(クリス・オーウェン)というキャラクターだ。彼がとてもいい。



もちろん自分に息子のいるお父さんだったら、この映画を見せてあげたい気になるはずだ。観させられた子供も何か感じるものがあるはずだ。教師を目指す、教員をしているひともオススメ。涙なしには見られない。



本当にそんなにいいのかって? 疑うなら観るしかない。観ればわかるはずだ。超おすすめである。



S氏から言われたことをやっと成し遂げたような気がする。肩の荷が下りた感じがする。Sさん。本当に面白かったぜ!



初出 「西参道シネマブログ」 2012-07-09



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