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『オーシャンズ 13』 日本の冨田勲による「月の光」がいい。ハリウッド俳優の新旧世代対決は楽しい。

評価 ☆☆



あらすじ
ルーベンは、ホテル王であるウィリーとラスベガスの新しいホテルへ投資すると公言する。ダニーを始めとする友人たちは、悪名高いウィリーに忠告するが、ルーベンは「やつはシナトラと握手したんだぜ」として逆に擁護する始末だった。



普通、パート3くらいの作品になると「また相変わらず同じことしてんな」って感じなってしまうけれど、この映画はそんなことなかった。『オーシャンズ13』は、2007年公開の作品。スティーブン・ソダーバーグ監督。出演はジョージ・クルーニーなど。『オーシャン11』『オーシャン12』に続く三作目である。もともと『オーシャンズ11』は、1960年のフランク・シナトラ主演の『オーシャンと十一人の仲間』のリメイク。ややこしいね。



映画としての深みなんてものはないが、エンターティメント作品としてはよく出来ている。誰かが『スティング』のパクリといっていたが、ぜんぜん違う。あんなのをパクリというのは、チェバの定理とメネラウスの定理を一緒だというのと同じようなもの(わかりにくいか?)。



映画を観ていると「映画ってのはな、内容じゃないんだ。俳優なんだよ」と言われている気がする。ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、ドン・チードル、エリオット・グールド、アンディ・ガルシア、アル・パチーノ、さらにエレン・バーキンまで出演している。ちなみにアル・パチーノとエレン・バーキンの共演作『シー・オブ・ラブ』も悪くなかった。こうやってみると、ハリウッドの新旧対決という感じがします。



この映画で好感がもてたのは、誰も死なないという点だろう。だまし、だまされたとしても、結局はみんなそれなりにハッピーであるというオチも悪くない。このあたりは往年のハリウッド映画の良さを引き継いでいる。



アメリカの内情がひどくても、やはりエンターティナーな世界では誰も不幸にならないで悪役は苦虫を噛むくらいで抑えておこう、というスタンスが良い。誰かが死ねばいいってものじゃない。



音楽も秀逸。音楽担当のデビッド・ホルムズが良い仕事をしている。「みんなシナトラ一家」っていう括りも笑った。シナトラという単語から、この映画の元ネタである『オーシャンと11人の仲間』を思い出すひともいるだろうね。映画ファンならでは楽しみ方って感じである。期待していなければ前作よりも面白い。



あ、忘れていた。この映画のクライマックスにシンセサイザーで有名な冨田勲の「月の光」(ドビュッシー作曲)が流れる。中学生の頃からずーっと聞いていたファンとしては感涙モノでした。いや、いいですよ。このシーン。



初出 「西参道シネマブログ」 2010-05-17



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