見出し画像

『007/カジノ・ロワイヤル』 ポーカーがメインだろう? と観たのだが、予想を超える良い映画。

評価 ☆☆☆



あらすじ
チェコのプラハ、ジェームズ・ボンドは自分の組織であるMI6を裏切った局長を殺害。殺人を犯しても罪に問われない殺しのライセンス00の資格を獲得する。一方、ウガンダでル・シッフルという人物がテロリストと取引を成立させていた。




意外な掘り出し物だよといわれていたが、これほどだとは思わなかった。華麗でゴージャスなスパイ映画という、これまでのジェームズ・ボンドシリーズとは一線を画している。007ではないといった方がいいかもしれない。



『007/カジノ・ロワイヤル』は2006年公開映画。監督はマーティン・キャンベル、出演はダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーンなど。007シリーズとしては21作目にあたる。



ダニエル・クレイグが6代目ボンドとして抜擢されたことについて賛否両論があったのもうなづけた。実際に映画を観ると「これは彼のようなタイプのボンドでなくてはダメだった」という説得力がある映画に仕上がっている。新しいボンド像の誕生といっていいだろう。タフで、渋くて、女にも甘くない。ハードボイルドな役柄だ。ただし、女々しいという要素があるのはちょっとどうかなとも思うけど。



華麗で線の細いボンド像のイメージから泥臭くて線の太いイメージへの変化は、次から次へと展開されるアクションに耐えうる肉体を持つ主人公の基本能力として示される。パルクールを多用したチェイスシーン、拷問、次々と展開されるアクションのすべてに関して、彼の肉体がひとつの答えになっている。



アクション映画過ぎるのではないか、という反省もあるし、映画の後半へのつなぎ方が微妙といえば微妙ではある。しかしそれを、ヒロイン役のエヴァ・グリーンの魅力でうまく隠している。彼女は美しくて魅力的に撮影されている。彼女がいなければ後半の無理がある展開に観客は耐えられなかったかもしれない。見せ場のポーカーシーンからの展開は驚きの数々が用意されていて、これも楽しかった。



ひさしぶりにオススメ映画といっていいんじゃないでしょうか。ちょっと素晴らしい掘り出しものだった。これはいい。



追記



『007/カジノ・ロワイヤル』には1967年版がある。監督はジョン・ヒューストンなど5名(なんじゃそりゃ)。ピーター・セラーズ、オーソン・ウェルズ、ウッディ・アレンなどそうそうたるメンバーのコメディである。こっちはバート・バカラックが音楽を担当している。名曲「LOOK OF LOVE」(恋の面影?)も。『オースティン・パワーズ』の元ネタだ。もちろん、007の正式映画にはカウントされていない。



初出 「西参道シネマブログ」 2009-12-13



ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?