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『恋はデジャブ』 原題はモグラの日。ループものはこの映画から始まった。テレビドラマをやめて映画を観よう。

評価 ☆☆☆



あらすじ
人気気象予報士であるフィルは仕事仲間のリタとラリーと一緒に、毎年2月2日のグラウンドホッグデー(モグラの日)を取材するために、ペンシルベニア州の田舎町にやってきた。フィルにとって田舎町の退屈さは呆れるほど。嫌々ながら一日を終えた彼だったが、天候の急変により足止め。翌朝、目を覚ますと、その日はまたしても2月2日のグラウンドホッグデーだった。



たまにテレビドラマを観ているとあからさまな映画のパクリをみかけ、ブルーな気分になることがある。最近も「さっきよりいい人」と題された伊藤英明主演のドラマを見てうんざり。正直、途中で消してしまいました。



元ネタになっているのは、ビル・マーレー主演の『恋はデジャブ』という映画。原題は『groundhog days』(モグラの日)です。なんのこっちゃのタイトルだが、1993年公開された映画です。監督はハロルド・ライミス。出演はビル・マーレー、アンディ・マクダウェルなど。



少し前、日本テレビで堂本剛主演の「君といた未来のために」というドラマがこの映画に似ていることが、ちょっとした問題になっていた。堂本光一主演の「昨日公園」という短編もある。KINKIのふたりは盗作騒ぎが好きなのだろうか。



模倣自体が悪いのではない。しかし、盗作に近い模倣はいかがなものか。品性がないのか? テレビ業界には無いんだろうな。どっかから新しいネタを考えるのではなく探し、それを利用するというやり方をしているだけでは進歩はない。



もちろん、押井守監督の言葉を借りれば「完全なオリジナルなど存在しない」のもわかる。盗作とオマージュの違いは「そこに愛があるかどうかだ」とよく言われるけれど。もっと言えばプライドかもしれない。特に製作者側、つまりプロデューサー側のプライドである。



ところで、盗作される側の作品として知られる『恋はデジャブ』だが、オリジナルは本当に面白い。同じ日の繰り返しは我々の人生のメタファーでもある。どこにでもある田舎町で、同じような面々の、同じような風景の、同じような日々。その中で人は何を考えて、どのように生きるか。それによってどう退屈な日々から脱出できるのか。コメディでありながら、同時に少しずつ行われる反省の日々は、私たちの日常生活そのものを表現している。よくできているのだ。



ビル・マーレーは嫌いではないが好きでもない。笑いの中にシニカルな真実が見えてくるのは彼の才能でしょう。この後、監督のハロルド・ライミスは『アナライズ・ミー』というヒットを飛ばしている。



オリジナルと言われるものを越えることなんてできるわけがない。そういう意味では、テレビドラマを観るのを止めて映画を観ていこう。僕自身、他人の真似をできるだけしないようにして生きていこう、そう心に誓うことにしたい。なかなか大変なんだけど。



追記



この文章を書いて10年近く経った。テレビは相変わらず映画の模倣を続けている。一方でHBOが『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズのような映画を凌駕する質、量の作品を制作するようになった。テレビを観ないでもちょっと変わってきているようだ。



同時に、同じ日を繰り返すいわゆるループものは量産されるようになってしまった。『恋はデジャブ』の亜流にしか見えないのは困ったものである。



初出 「西参道シネマブログ」 2008-03-31



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