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『ウォール・ストリート』 映画『ウォール街』の続編。冷酷無比でない人間的なゲッコーなんて見たくなかった。

評価 ☆



あらすじ
2001年、インサイダー取引などの罪で服役していた大物投資家のゴードン・ゲッコーが8年の刑期を終えて出所した。7年後、ゲッコーは本を出してテレビ出演までしていた。娘のウィニーはこのことを快く思っていなかった。一方、ウィニーの恋人、大手証券会社ケラー社の金融マンであるジェイコブはクリーンエネルギーへの投資に熱中していた。



自分の勧めた作品が周囲から評価されないのは悲しい。「負けに不思議の負けなし」なので敗因をしっかり考え、次に生かそう。過去を肯定するためには未来に結果を残すしかない。結果を残すために書いているのではないけどね。と、ひとりごと。



気を取り直して2010年公開の『ウォール・ストリート』の評を進めよう。この映画はオリバー・ストーン監督、マイケル・ダグラス、シャイア・ラブーフが出演している。『ウィール街』の23年ぶりの続編である。前作は、強欲は善だというゴードン・ゲッコーという人物の冷徹さぶり、アンチ・ヒーローぶりが非常にカッコよかった。



出所するゲッコーのシーンから展開するが、正直にいって前作ほどスリリングではない。当時とは時代背景も、経済の持つ意味も異なっている。伝説のブローカーがどのような活躍をするのか、さらに冷徹ぶりがエスカレートしていくのでは? という期待もあったが違っていた。オリバー・ストーン監督はゲッコーという人間を描き直そうとしている。



前作が市場という得体の知れない戦場あるいはシステムを描こうとしているのに対して、今回はシステムに関わっている人間たちを描こうとしている。その点が大きく異なっている。残念ながら、その目論見は成功していていない。



ゲッコーは卑劣で冷徹極まりない人間であって欲しかった。子育てに悩むゲッコーなんて見たくないのだ。若手俳優たち、シャイア・ラブーフ、キャリー・マリガンは悪くないけれど、全体として魅力がない。オリバー・ストーン監督も年齢には勝てないのかな。



ところでこの『ウォール・ストリート』には、映画好きならではの隠れアイテムが隠されている。



主人公の着メロが『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』になっている。なぜなら、この映画に『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』のイーライ・ウォラックが出演しているからである。僕もあまりに年を取ったイーライ・ウォラックを見てびっくりした。キャストタイトルでわかったくらいだから。相変わらず悪いヤツだったけど(笑)。



チャーリー・シーンとマイケル・ダグラスがパーティで再会するシーンも見もの。これは『ウォール街』を予習しておかないとわからない。オリバー・ストーン監督本人が同じシチュエーションで登場している。どこか探して下さいね。



お菓子の中から出てくる指輪のエピソードは『ティファニーで朝食を』がモチーフ。映画ファンなら言うまでもない。ところで、本当にティファニーは、おもちゃの指輪に名前を彫ってくれるのだろうか? 一度、やってみたい。



今回の結論は「バブル期はそれなりによかったのかもしれない」です。実際にバブルを体験している自分としては、当時「こんな時代が続くわけないし、金持ちばかりが優遇されてる」と思っていた。しかし今となってはそっちのほうが「まだ」よかった。だって、こんなに自殺者は多くなかったし、みんなが貧乏ではなかったから。昨今の日本経済の貧乏ぶりは本当にひどい。



初出 「西参道シネマブログ」 2012-02-25



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