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『サボテン・ブラザース』 人生は悲しいが10%、楽しいが90%。笑ったもの勝ち。

評価 ☆☆



あらすじ
1916年、メキシコ。カルメンという少女と少年が田舎から町へやって来た。彼らの村は盗賊によって毎年、襲撃されていた。村長の娘であるカルメンは助けてくれる相手を探してやってきたのだ。酒場にはごろつきはいるけれど、用心棒になりそうにない。途方にくれたふたりは映画館に入る。



シリアスな映画ばかりを取り上げていたので何か面白いコメディはないかな? と考えた末に紹介するのが『サボテン・ブラザース』。



1986年公開の映画で、監督はジョン・ランディス。馬鹿ですよね、この映画。スティーヴ・マーティン、チェヴィー・チェイス、マーティン・ショートの3人のお馬鹿ぶりというか、力の抜けた(いや、気合の入った)コミカルさが強く心に残っている。



ただし、この映画の元ネタは『七人の侍』である。といっても、『七人の侍』を観ていなくても全く問題はないし、『サボテン・ブラザース』を観てしかめっつらをしながら「むむむ。この作品の映画的記憶は黒澤明にある。やはりジョン・ランディスはすごい」なんて言ってるひとがいても「こいつ馬鹿なんじゃないの?」としか、個人的には思えない。そんな映画である。



もう一度観たい映画というと普通は感動したものを思い出すが、映画は感動すればいいってわけじゃない。それに、人生なんて悲しいことは本当に10%くらいで、後の90%くらいは笑って過ごせれば、それに越したことはない気がする。



確かに人を笑わせることは大変である。センスが必要。さらに品がある笑いはさらに難しい。僕は最近の漫才、お笑いをあまり観ないのでよくわからないが、それでもスティーブ・マーティンの笑いってなんか変で、妙に心に残る。彼の笑いはアイロニカルなんだけど、品があるよね。下ネタも多いんだけど。



スティーヴ・マーティンは近年ヒット作がなくて、ちょっと悲しい。そういう時は再びこの映画を観よう。『サボテン・ブラザース』は絶対に面白い。それにしてもこの邦題はなぁ……原題は『スリー・アミーゴス』。これもすごいけど。



こういう映画を観させられると、深刻に人生について悩んでいるのが馬鹿らしくなるから不思議である。ホントにくだらなくて面白いので、疲れたときにはぜひ観て元気になってください。



深刻に考えていた自分が馬鹿みたいに思える。だからといって深刻な問題が解決するわけじゃないけどね。ま、なんとかなるものです。



追記



笑いというのはその国の特性みたいなものが強いんだが、この映画に関してはなぜかそういうのすら感じさせない。くだらなさすぎるのだろうか。多分、そうだろう。



初出 「西参道シネマブログ」 2006-01-09



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