見出し画像

『アフター・ダーク、マイスイート』 村上春樹とは関係ない。ジェームズ・フォーリー監督の奇妙な雰囲気のサスペンス

評価 ☆☆



あらすじ
カリフォルニアの砂漠をさまよう男コリーは小さなバーに立ち寄る。そこで美しい未亡人フェイに声をかけられた。彼女の、小馬鹿にした口ぶりに抵抗を感じて、店を出た。だが、追って来たフェイの車に誘われるまま同乗して、そのまま彼女の家に転がり込んでしまう。



村上春樹氏の小説「アフターダーク」と聞いて、思い浮かんだのがこの映画『アフター・ダーク、マイスイート』とコンピュータのスクリーンセーバーだった。僕はまだ小説を読んでいないけれど、多分、関係ないだろう。



『アフター・ダーク、マイスイート』は1990年の作品。監督はジェームズ・フォーリー。彼の映画では『摩天楼を夢見て』という作品が有名だが、比較的知られていない監督だろう。嫌いじゃない。彼の映画はどれを観てもあんまり変わらない独特のスタイルがある。『天国の約束』とかも有名かな。そんなに顕著ではないけれど、ちょっと暗くてどこか現実離れしている感じがある。



その独特の映像が人気になったのか、有名テレビ番組シリーズとなった『ツイン・ピークス』(1991年)の一部にも監督起用されている。といっても、このシリーズはデビット・リンチで有名。こんなところで自分の好きな監督たちがコラボしているというのはなんだか嬉しいですね。特に相性が良かったのだろう。わかる気がする。



この前、別の海外のテレビドラマを観てたら、やたらと『アフター・ダーク』みたいな画面が出てきた。「誰かパクッったんじゃないの? 」と思っていたら本人の監督作品でした。しかも、日本語表記がジェイムズ・フュ―リーとあった。James Foleyだからどっちでもいいのか。



この映画は、渋いというか独特の雰囲気を持っている。記憶喪失に近いパンチドランガーの男が、未亡人の女に魅せられていくという話。パンチドランガーだから、どこまでが現実でどこまでが自分の妄想なのか、ちょっと混乱してくる、という感じ。僕は結構好きで、周囲に勧めているけれど、観てくれる人がいない。第一DVDにもなっていない。



ジェイソン・パトリックとレイチェル・ウォードが出演している。どちらも美男美女というわけではないけれど、存在感がある。内容としてはハードボイルドというか『パリ・テキサス』+『ブリット』って感じかな。『800万の死にざま』+『ゲッタウェイ』っていう言い方もあるかもしれない。



えっ? 余計わからないって? この映画の雰囲気を表現するのは本当に難しいのだ。面白いから、もしどこかで出会えたらぜひ観てほしい。



追記



アマゾン・プライムで発見。こういう映画が再び観られるのはいい。ただしタイトルが『アフター・ダーク、マイスイート』と原題に変更されていた。公開当初は『アフター・ダーク』だったのにね。たまにこういうふうに、メディアの出現ごとにタイトルが変更になる。一回決めたら絶対変えないぞ、という心意気を持ってほしいものだ。修正するの面倒なんだよね。



続 追記



なんとジェイムズ・フォーリー監督は『フィフティ・シェイズ・ダーカー 』とその続編(ちょっとエロエロみたいですが。未見)、『ハウス・オブ・カード 野望の階段 』を監督して一躍スターとなってしまいました。よかったよかった。後、この映画、原作は『ゲッタウェイ』と同じジム・トンプソンなんですね。似てるはずだ。



初出 「西参道シネマブログ」 2005-02-04



ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?