見出し画像

『死刑台のエレベーター』 マイルス・デイヴィスの音楽がカッコいい。短編小説のようにスタイリッシュでシャープ。

評価 ☆☆



あらすじ
カララ社の会社員であるジュリアンと社長夫人であるフロランス。ふたりは不倫関係にある。フロランスの夫でカララ社社長のサイモンを殺害する計画をする。土曜日。計画決行の直前にふたりは電話で計画の詳細を確認し、愛を語り合った。



以前、観ていたけれどすっかり忘れていたのが、1958年公開のルイ・マルの『死刑台のエレベーター』。マイルス・デイヴィスの音楽をバックにジャンヌ・モローが夜の街を彷徨うシーンは予告編でも取り上げられている。やはりクールでかっこよかった。



たまたま図書館にあったのでDVDを借りて観たけれど、結構面白かった。リノ・ヴァンチェラが出ていたのもびっくりです。モノクロ画面にはマイルスの音楽がよく似合っていた。いま観ても映像的に完成度が高いと言えるだろう。



短編小説を読んでいるようなスタイリッシュさ、なんともいえないシャープな感覚がある。こういう映画は最近なかなか観られない。ただ、モーリス・ロネを始め、役者の演技で疑問に感じるところもいくつかあった。そういう意味では粗い部分も感じられる。



調べてみるとルイ・マル監督が25歳の時に作っている。25歳ならではの、ヌーヴェルバーグならではの、意欲的というか実験的な部分も随所にある。



ストイックな雰囲気が漂う犯罪映画といえなくもない。きっと渋いバーなどで流れる映像としては最適だろうな。店の名前が『死刑台のエレベーター』っていうのもいいかもしれない。お客は入らないかな。意外と入ったりしてね。



最近、この映画を日本でリメイクしたらしい。実際に観てないのでコメントは差し控えるけれど、ルイ・マル監督の『死刑台のエレベーター』はモノクロだからこそよかった部分が大きい。わざわざカラーにするのはいかがなものでしょうか。



マイルスのあの音楽に太刀打ちできる音楽もない。ジャンヌ・モローと吉瀬美智子を比べるまでもない気がする。どうして今更『死刑台のエレベーター』をリメイクしなくてはいけないのかは、いろいろ考えたが理解できない。



ルイ・マル監督に関してはまた改めて。いくつか問題がある監督とは思うけど、若い頃のルイ・マル監督は悪くない。『鬼火』なんかもアンニュイか雰囲気が漂っていて好きなんだけど。



追記



イ・チャンドン監督の『バーニング』でも、このマイルス・デイヴィスの『死刑台のエレベーター』の曲が流れていた。とても印象的なシーンなのでぜひ観てほしいものです。



初出 「西参道シネマブログ」 2006-01-30



ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?