見出し画像

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』 登場人物たちの成長が著しい。 ニューウェル監督はポッターを大人にした。

評価 ☆☆



あらすじ
14歳になったハリー・ポッターは、夏休みに奇妙な夢を見る。悪の権化、ヴォルデモートがリトル・ハングルトンにあるリドルの館でヴォルデモートとピーター・ペティグリューが自分を殺す計画を立て、そこへ魔法使いと人間の混血であるマグルの老人であるフランクがヴォルデモートに殺されるというものだった。



『フォーウェディング』『魅せられて四月』といった群像劇を撮らせるとやたらに上手いマイク・ニューウェル監督。彼が、SFXバリバリの『ハリー・ポッター』シリーズを撮影すると聞いた。その時は「どうなのかな」と思っていた。



ところが意外にもというか、さすがというか。ニューウェル監督の『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』は、しっかりした画面構成の妙はそのままに人間の心理が巧みに描かれていた。この映画は、2005年に公開。出演は ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソンなど。



上手いですね。脚本が十分に練られている。いろんな評を読むと長い長い原作を短くしたから物足りないという意見がいくつかあった。でも、映画としてはすごくまとまっていたと思う。



もうひとつ感心したのはJ・K・ローリングの原作。僕はハリー・ポッターシリーズを全然読んでいないけれど、彼女のイマジネーションの豊かさはこの映画を通じて伝わってきました。人生の機微みたいなものがしっかりと伝わる。その上でイマジネーション溢れるストーリーを展開している。今度、全部読んでみようか。



映画の方はニューウェル監督のテイストのせいだろうか。前回にも増してハリウッド映画ではなくイギリス映画になっている。いつか、このシリーズにヒュー・グランドが出るんだろうか。それくらいイギリス系俳優がいっぱい出てる。



それから「ちょっと大人の映画じゃないか。みんな成長したな。ポッターも、そして映画も」という感想もある。最後に同じようなことを登場人物たちがセリフで説明しているところを見ると、どうやら今回は“成長”というキーワードがテーマなのだろう。



問題は次回作だろう。下手な青春ストーリーにせず、ポッターシリーズの独特のテイストを保ちつつ、斬新な展開と深いテーマ性を魅せて、観客を楽しませるか。喜ばしいことに、僕に届く『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の評判はいい。変な監督が演出しない限り、良い作品になるような気がする。日本映画もがんばってほしいものである。



初出 「西参道シネマブログ」 2006-08-16



ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?