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『ディナーラッシュ』 サントラはないがラテン音楽が素晴らしい。レストランのリアルな裏側。

評価 ☆☆



あらすじ
ニューヨークの有名レストラン『ジジーノ』。人気店ではあるものの、オーナーのルイスは引退しようとしていた。親友であるエンリケと相談してリタイア後の生活を考えていた。ある日、エンリケが二人組のギャングであるカーメンとパオロに射殺された。副料理長ダンカンは彼らに借金していた。



ここ数年、僕がバイブルのように読んでいる本が、アンソニー・ボーデンの「キッチン・コンフィデンシャル」。料理業界を歩いてきた著者の、料理業界に関するエッセイである。この本を読むたびに、僕は働くということについて考える。



また、この本は僕の料理業界に関するさまざまな疑問を解消してくれた。例えば有名シェフで人気のレストランは、本当に彼(あるいは彼女)が料理を作っているのか? 毎日、200皿以上の料理をひとりで作っているなんて考えられない。その答えは? もちろん「キッチン・コンフィデンシャル」の中に書かれている。



他にも、客は本当に常に平等か? トラブルを抱えた同僚と一緒に仕事をするには? 毎日うんざりするようなルーティンワークをこなすには? 我々はどういう精神で出口のない仕事に携わればいいのか? それらも「キッチン・コンフィデンシャル」の中に書かれていた。



2001年公開の映画『ディナーラッシュ』は「キッチン・コンフィデンシャル」に似ている。監督はボブ・ジラルディ。出演はダニー・アイエロ、エドアルド・バレリーニなど。映画だからストーリーにドラマ性を盛り込んでいるが、似ているエピソードも多い。



例えばシェフがスタッフを叱る際のセリフだが「いいか。ここでは3つの言葉しかないんだ。『イエス、シェフ』『ノー、シェフ』『アイ ドント ノウ シェフ』だ」。初心者は黙って手を動かせというわけだ。



どうしようもない人間関係、誰とでも寝ちゃう女性、ギャンブルをやめられない男性、名声ばかりを追い求める人間などもリアル。彼らの多くは観客と同じように、悩み、傷つき、自分を奮い立たせようとする。



悪くない。料理も美味しそうに見える。イタリアンレストランに予約したくなる。この映画を観たあとで実際にしちゃったというひともいるかもしれない。 ダニー・アイエロ, エドアルド・バレリーニも好演している。ボブ・ジラルディの演出はさりげないけれど、手堅い。他のひとも言っているけど、確かにこれは拾いものだ。



追記



この映画で使用されているラテン音楽がノリノリで良い。サントラを探していたのだが、この映画にはサントラ盤がないらしい。代わりに某サイトで曲名と曲の視聴サイトのリンクリストがあった。興味があったら探してみてください。「ディナーラッシュ 音楽」で見つけられるはず。



初出 「西参道シネマブログ」 2011-11-20



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