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022_ひとり海外旅行 ~準備編~

クイズです。以下の3人の中で、一番酷い叱責を食らったのは、誰でしょう?

A先輩
契約不履行および接客態度が悪かったため、顧客からクレームを入れられた。結果、契約が解約された。

Bさん
社用車で事故を起こした。立体駐車場内で車の扉が開いた。原因は、車の未施錠と車の扉がちゃんとしまっていなかったため。結果、被害弁済に数百万円程度支払ったらしい。また、社用車の保険料も値上がりした。


「今日は社内研修だから、外出しないな。だから制服じゃなくていいだろう。クリーニング代も浮くし」と判断して、私服で勤務した。それをパワハラ上司に見つかった。

チッチッチッチ……

正解は、
そう!この私です。

モスクワに行こうと決めてから、準備は入念に、かつ素早く行っていった。当時、世界を賑わせたのは、イスラム国と呼ばれたテロ組織だった。先進国を中心に爆破テロを行い、珍しく欧州が団結していたと記憶している。

ロシアも例外ではなく、モスクワに訪問する直前、モスクワからさほど遠くもないペテルブルクの地下鉄で、爆破テロ事件が起こっていた。国内外が騒然とするなか、私はパスポートをどうしようか悩んでいた。


海外旅行とは、国内旅行と比較して、気軽に行けるものではないことくらい知っていた。しかし、旅券申請やホテルの予約など、旅行会社がやってくれるものだと思っていた。甘かった。

前提として所持しておくべき書類が、私にはなかった。初めての海外旅行、初めての国際線、初めての220ボルト。調べれば調べるほど、旅行会社だけでは足りないということがわかった。

そして、こんなにも役所に行かなければならないのかとうんざりもした。
私が嫌いな紙に、行政文書と申請書が必ず上がる。理由は、何と書いてあるのか分からないからだ。大学まで行って国語を習ったところで、行政言語は習得できない。あの独特な言い回しは、いったいどこから生まれたのだろうか。

申請書に関しては、もう見るのも嫌だ。何度も書き直される。書き方サンプルがあっても、どこかしら間違えたり未記入だったりする。自分の名前が憎たらしくなってくる。役所の記入台占領選手権があれば、私は間違いなく県代表に選出できるだろう。役所の職員の方には、毎度申し訳なく思っている。出来れば、性能の良いボールペンを差し入れしたいくらいだ。

しかし、申請書をクリアしても、残る障壁がある。”平日のみ対応“する、パスポートの書類お渡しだ。

行けぬ!
平日は、仕事だ。

どうしても平日でないとダメな役所と、有給をアテにしたくない私。どちらも同じ労働者なのに、なぜ対立しなければならない。

悲しい世だ。そんなわけで、私は行政書士に頼んだ。行政書士は、役所へのお使いだけでなく、書類までちゃんと見てくれた。めちゃくちゃ嬉しい。

何事も、準備8割実践2割ときく。準備さえしっかり行っていれば、その仕事やイベントはほぼ完了という意味だ。事前に知っていた状態と、知らなかった状態とでは大きな差がある。

変圧プラグも必要な書類も、ちょっとずつクリアしていった。

冒頭にも取るが、弊社では制服を貸与された人間は、勤務中は着用しなければならなくなっていたらしい。
らしい、と付けたのは、このルールが制定されたのは、どうも最近のことであった。新卒から勤務している会社だが、私服で研修を受けることなど、今までたくさんあった。現に、制服を着用しないで過ごしている先輩もいる。

ルールを知らなかった、という状態の私に降り掛かってきた災害は、私だけでなく、オフィス全体の雰囲気もぶち壊した。
私の無知による罪、そして「仕事やめろ」や「ふざけんな」と怒鳴り散らかしたパワハラ上司の暴力の罪は、重い。

あーあ、来週グループの社長が来社するから、そいつに上司がこっ酷く怒られればいいのにな。


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