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唐沢鉱泉から南八ヶ岳縦走(回想)

子育て時期真っ盛りの時のお話です。
週末ごとに丹沢の山々を歩き回り「そろそろ八ヶ岳に行ってみたいな」
という会話を相方と。
この時には体力にはまあまあ自信があったし、子供たちもスポーツをしている頃、歩くのに不足はなかった。
ただ、今ほどには登山情報が少なかった時代、同じことを今の時代したら無謀とネットで叩かれたかも。。。
ちゃんとした登山靴を履いていたのは、この年高校に入って山岳部に入部した長男、相方と私は靴流通センターで買った靴床のソールが薄いもの、
二男と三男に至っては運動靴という、山なめてんのか的装備。
服装は遠足レベル、ただし雨具だけは全員のを買ってあったので持参。
まだ車で遠距離を走ることはしなくて、八王子に出て特急あずさで茅野に向かった。

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茅野駅には唐沢鉱泉のマイクロバスが出迎えてくれます。
信じられない悪路を走って唐沢鉱泉に到着。
漫画本がたくさんあって読みふけったり、卓球したりそれなりに楽しく時を過ごした。

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すぐ近くの川沿いに湯貯まりの池があって、硫黄っぽい匂いがしていた。
唐沢鉱泉は日本の秘湯を守る会の宿で、二酸化炭素冷鉱泉というめずらしい泉質で、600ℓ/分の湯量で2種類の温度の湯舟があったように思う。
10℃の源泉の打たせ湯がちょっと記憶になかった。
木の湯舟はとても気持ちがよかったが、カランの湯の出が悪くて仕方なく湯舟から直に湯を汲んで洗った記憶が。
窓からの植物の風景と、お風呂にある岩が苔むしていて、まるでジャングルのようだった。

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唐沢鉱泉のHPからお借りしました

子供たちも食べ盛りなので、夕食に初めて食べるイノシシ鍋を追加したら、すごいボリュームで、普通の夕食もかなりなボリュームだったので、泣きそうになりながらみんなで食べた。
今思えば食べ盛りとはいうものの子供たちは食が細かったのだと思う。

翌朝、宿で昼食のおにぎりを頼んで、西天狗岳への登山道に一歩を踏み入れた。西尾根までペースを作りながら登る。尾根に出てしばらくは森の中、が雨がぽつぽつ落ち始める。
展望台に着く頃は風も強くなってきてせっかくの展望はなし。西天狗岳の登りは巨岩帯でルートを取りながら。

東天狗岳に登りかえした狭い山頂は残念ながらガスで展望はなし。痩せた尾根を下りガスと風で辛い歩き。爆裂火口も見えず最後の硫黄岳山荘までの道は2~3m先しか見えずほんとうに怖かった。この日は一晩中強い風雨。

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昨日とはうって変わっての快晴。風もなくはるかかなたまで見渡せる。
雲海の上には富士山も!
横岳の登りが相当険しそうに見えて、つい長男に
「登れるか見てきて」と親にあるまじき行為を。
この時相方は何してたんだろうと、今になってふと疑念が頭をもたげる。
まさか、怖かったとか。。。

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そこを越すと岩場にも慣れなんとか赤岳の取り付きへ。かなりきついざれた斜面だ。子供たちはもう慣れたもので、どんどん先に行ってしまう。

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狭い頂上でぐるりの展望を楽しんで文三郎尾根の岩場を下る。
階段の少し前でいきなりの夕立。激しくたたかれながら行者小屋へ急ぐ。
行者小屋で休憩後雨も上がり美濃戸山荘までの道はお花がたくさん。
ここでおいしい牛乳を飲んで美濃戸高原ロッジで入浴して山旅を終わった。

こうして改めて振り返ってみても冷や汗ものだなと思うのだけど、
これに味をしめたかどうかはわからいけれど、長男に続き、二男三男もそれぞれ高校山岳部のメンバーとなった。
今も山に登っているのは長男だけだけれど、長く楽しめる趣味なので続けてほしいと思う。
振り返って私達は体の不調もあって、今は軽いハイキングだけとなってしまった。けれど、たまに山野を歩く心地よさは何物にも代えがたい。
無性に岩場や沢や山々をざっざっと歩く感触が蘇ってくる。
蘇ってくるけれど、今はその余韻でいいのだと。。。

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