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【マレーシア編最終回】国境の街へ
前回
https://note.com/zeikin3/n/nb052cebc2721?magazine_key=m9401dfec1ce3
ぼったくりワインを飲んで旅費の大半を失う失態をやらかし、放心状態で虚空を眺めていた。これからどうしようか。似顔絵を練習して路上で稼いでみようか。などと現実逃避していた。
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実際、画材を買ってきてちょっと練習した。すぐに飽きた。
マレーシアに数日間滞在して気づいたことがある。
それは物価(主に食費)があまり安くないということだ。
いや安いといえば安いんだけど、思ったほどではないというか。
タイなら頑張れば一食あたり最安で200円くらいでおさまるのに、マレーシアだと350円くらいいってしまう。
残りの少ない旅費でマレーシアに滞在し続けるのはちとキツい。
金がないのなら日本への飛行機を取ってとっとと帰ってしまうのも手だが、せっかく海外に来たんだからもっとしがみついていたい。
地獄のジャップランドにトンボ返りなんてしたくない。
そこで思い立った。
もっと安く滞在できる場所へ移動しようと。
隣国のタイなら、かつて旅行したことがあるしマレーシアより勝手を知っている。
旅費を抑えたいのならタイへ渡るのがベストではないか?
すぐさまタイに安く渡る方法を探した。飛行機だと一万近くするが、夜行バスでランタウパンジャンとかいう街を経由すれば2000円弱でタイに行ける。
そんなん夜行バス一択に決まってる。
陸路で国境越えなんて人生初なのでドキドキするが、やるしかない。
ネットでチケットを取り、宿をチェックアウトした。
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バスターミナルへ向かう途中、インド人街を散策。
インドってこんな感じなの?よくわかんないが、インド系の人がいっぱい歩いている。
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インド人街に来たならカレーを食うしかない。
食堂で適当に皿に盛ると800円近くした。
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これで800円はいくらなんでも。肉を盛りすぎたためこんなに高くなってしまったようだ。
味はというと日本のインドカレー屋で食う辛口カレーとほぼ同じ。
日本のインドカレー屋ってもっとジャップ向けにアレンジしてるもんだと思ってたが案外そうでもないようだ。
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電車を乗り継ぎTBSに到着。TBSってターミナル・バス・ステーションかなんかの略かと思ったらTerminal Bersepadu Selatanらしい。ターミナルしか合ってないやん。
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マレーシア全土及びタイ、シンガポールへのバスがこのバスターミナルから出ているので規模はかなりでかい。現金がないので利用しなかったが、レストランでは超安価で飯が食えるようだ。
コンビニや商店なんかも充実しており一見不自由なさそうだが、スマホの充電ポイントがないという問題がある。もうスマホの充電が残りわずかだ。これから見ず知らずの土地を訪れるのにスマホが使えないのは非常につらい。
周りを見ると、みんな壁のコンセントから勝手に盗電していたので、わたあめも便乗した。
スマホを充電しながらしばらくボーっとしていた。本来なら、このバスターミナルからマレーシア東部のクアラ・トレンガヌ方面へと旅立つ予定だった。
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トレンガヌの辺りには超ヤバいビーチや離島がいっぱいあるという。ビーチ好きのわたあめはトレンガヌ観光を旅のメインディッシュにするつもりだった。
トレンガヌ行きたかったなぁと目に涙を滲ませていたその時。
「ハロー、俺もコンセント使ってええか?」と、若い男も盗電しにやってきた。
男「俺はアレックスや。君はどこの人や?」
わたあめ「GPD世界3位の国、ジャップランドから来たわたあめと申します」
アレックス「コンニチハ、わたあめ。どこに向かうんや」
わたあめ「ランタウ・パンジャンへ行ってタイに入国するよ」
アレックス「へえ。俺はトレンガヌへ向かうんや。嫁さんと家族が待っているんよ」
アレックスはまだ若いのにすでに家庭を持っている。無職のわたあめとはスペックの差があまりにもでかすぎた。ていうかトレンガヌ行きかよおまえ。
アレックス「トレンガヌはええぞ。素晴らしいビーチに島々がある。機会があればぜひ来てくれや、歓迎するで」
そんなこと知ってるよ。それが目当てでマレーシアに来たんだからな…。
わたあめ「トレンガヌに行くはずだったんだけど、金なくて予定変更したんだよ」
アレックス「苦労しとるんやな。いつかトレンガヌに来ることがあれば連絡してくれや。嫁さんと母ちゃんが作るうまい飯を食ってほしいし、必要なら部屋も使ってくれや」
アレックスとの会話が弾み、LINE友達にまでなった。なんという運命のイタズラ。もし予定通りトレンガヌ行きを決行してたら…と想像すると悔しさが倍増した。
現地人の友達ができて素晴らしい旅になるはずだったのに。くそがっ!くそがっ!と、自分の状況を呪った。
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アレックスとバイバイし、ランタウ・パンジャン行きのバスに搭乗する。
バスは指定席なのだが、なぜかわたあめの席をマレー系のクソババアが占拠していた。前の座席にいる家族と思われる土人たちとバカでかい声で雑談している。
一瞬困惑したが、わたあめが乗るバスはランタウ・パンジャン行きの中でも最安値なので、こうした平気で野グソしてそうなレベルの土人が乗ることは十分あり得る。
わたあめは冷静に「そこはわたあめの席だぞ、どけ」と威嚇すると土人一家はマレー語で何か言い返してきた。
野グソ土人の分際で日本人様に意見するとは生意気だな?てめぇらのためにわざわざ翻訳アプリなんて使ってやんねえぞ。
わたあめは「ソーリー、イングリッシュ プリーズ」とどや顔で意地悪なことを言ってみた。こんな土人どもが英語なんて知ってるわけない。存分に困らせてやるぞ。
だが土人一家の息子が「ああ、わかった」と言い、流暢な英語で返してきた。
わたあめはこの瞬間、先進国で生まれ育ったのに貧乏で学がなく、まともに英語を話せないのに相手に英語を求めた恥ずかしいガイジと化してしまった。野グソ土人の方が遥かに人としてマトモである。
土人息子「このババアはうちの母ちゃんなんや」
わたあめ「……で?」
土人息子「ワイと席交換してくんね?ワイが母ちゃんの隣に座るからよ」
わたあめ「……まあ、いいけど」
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なんとか話がつき、わたあめは無事に着席できた。
バスの座席はかなり広く、リクライニングも深く倒せるのでかなり快適。国境に着くまでぐっすり眠れそうだと思ったが、土人一家が非常に騒がしく眠れなかった。
バスで騒いでるのはこいつらだけ。なぜ誰も注意しないんだ?わたあめがこいつらぶん殴ってもいいか?
わたあめは寝ることを諦め、これから訪れる国境の街について情報を集めることにした。
タイ側の国境の街、スンガイコーログではどうしようか。鉄道でタイ南部最大の都市、ハジャイまで移動する予定だが、せっかくなのでスンガイコーログで一泊挟んでもいいかもしれない。
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……ん?
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こ、これは!!!
なんとスンガイコーログが属するナラーティワート県は外務省が渡航中止勧告をだしている超危険地帯だった。
ていうかハジャイのあたり(ソンクラー県)も危険レベル2じゃねえか。
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しかもちょっと前にはスンガイコーログで爆破テロまで発生している。
これはヤヴァイ。
ヤヴァイけど…なぜか楽しみだ。
「これから危険地帯に足を踏み入れるなんてカッケー」と感じてしまう自分がいる。
悔しいがわたあめも平和ボケしたジャップ民だということだ。
果たして無事に生き延びられるのだろうか。
つづく
【おまけ】ランカウイ島の写真
実はタイへ渡る前にランカウイ島へも行った。
どうぶつ奇想天外の視聴者プレゼントで有名なあの島。
お金のトラブル発生した後だったんでろくに観光できず、加えて季節的な問題もあり滞在中はほとんど大雨で外を出歩くことすらできなかったので記事にしなかった。
そんなランカウイ島で撮影した写真だけここで掲載する。
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