「アーキタイプ」に着目した究極のブランディングとは？
アパレルの会社や家具店、デジタルプラットフォーム、オンラインストアなど、あなたが大好きなブランドについて考えてみてください。
そのブランドを好きなのは、なぜでしょうか。
製品の品質が際立っているからでしょうか？価格が手頃だからでしょうか？それとも顧客サービスがいいからでしょうか？これらの要素は、あなたの意思決定プロセスにおいて重要な役割を果たすかもしれません。しかし、あなたが今思い浮かべているブランドは、あなたや顧客の感情とうまく結びついている可能性があります。そしてそういったブランドや成功するブランドは、ブランドの「アーキタイプ」を利用している可能性が高いのです。
「顧客とつながるブランドは、成功する」
世の中には、何百万というブランドがあります。しかし、成功するブランドは、ターゲットとする人々にアプローチする正しい方法を知っているものです。顧客の性格や感じ方を理解することで、製品やサービスを記憶に残りやすく、好印象で、魅力的なものにする方法を正確に把握しています。ここで登場するのが「アーキタイプ」です。
アーキタイプは、企業が顧客を理解するのに役立ちます
顧客の性格や好みを理解する方法の1つは、顧客の基本的なアーキタイプを特定することです。
※アーキタイプ：似たような性格の人々が共通して持つ思考や目標、欲求の一般的なパターン
人間心理学によると、12種類のアーキタイプがあると言われています。すべての人は、個性的でありながら、この12のカテゴリーに分類されます。
ターゲットとする市場のアーキタイプを理解することで、そのグループと有意義な関係を築くための独自の洞察を得ることができます。そのため、市場のアーキタイプは、カスタマーペルソナ（理想的な顧客を詳細に説明する文書）の重要な要素になるのです。
＊こちらの記事は「The Ultimate Guide to Branding With Archetypes in 2023」を翻訳したものです。
アーキタイプを活用する2つの方法
まず、ビジネスでアーキタイプを活用する方法として、「顧客をより深く理解すること」が挙げられます。理想の顧客がどのアーキタイプに当てはまるかがわかれば、その性格タイプの習慣や好み、動機、恐れていること、欲望を深く掘り下げることができます。その結果、どのような製品やサービスを開発すべきか、どのようにマーケティングすべきか、どのようなブランド戦略が有効か、などの貴重な知見を得ることができます。
アーキタイプの2つ目の活用方法は、アーキタイプを自分自身で体現することです。ブランドは、思考や感情を持った本物の人間のように感じられるもので、ターゲットとなるオーディエンスとより深いレベルでつながることができます。そして、ブランドのアーキタイプをビジネスに活用することで、あなたもマーケットと価値あるつながりを築くことができるのです。
ブランドのアーキタイプとは？
パーソナリティのアーキタイプが人々の一般的なパターンや好みを指すのに対して、ブランドのアーキタイプは、あなたの会社が体現しているブランドのパーソナリティを指します。一般的に、企業は自社の顧客と一致するブランドアーキタイプを選択することで、自社のブランドボイスが顧客の注目を集める可能性が高くなります。
世界で最も成功しているブランドは、戦略的で記憶に残り、親しみやすいブランドアイデンティティを作ることによって、ターゲットとなるオーディエンスと深い感情的なつながりを確立しています。彼らはどのようにして、顧客と深いつながりを持つ、親近感のあるブランドアイデンティティを作り上げたのでしょうか。それは、以下のアーキタイプに寄り添ったブランディングをすることです。
1. アウトロー（無法者）
アウトロー（無法者）のアーキタイプは、反逆者のブランドアーキタイプとも呼ばれ、現状からの解放、自分らしく生きるための独立、そして物事を揺るがすほどの大胆な気概が感じられます。怒りっぽいところがありますが、悪い人ばかりではありません。アウトローのブランドアーキタイプは、自分の道を切り開くという願望に突き動かされており、困難に正面から立ち向かう準備ができています。
アウトローのブランドアーキタイプの最も顕著な例の1つが、ハーレーダビッドソンです。このブランドの荒削りな個性は、ハーレーダビッドソンが追求する骨太な顧客層に通じています。
2. マジシャン
マジシャンのアーキタイプは、最も気まぐれで空想的なブランドのアーキタイプの1つです。このブランドは、私たちの中にある子供心に訴えかけ、想像力と創造的なプロセスによってのみ成り立つ世界を作り出します。
コカ・コーラやディズニーなど、幸せを運ぶために製品を使うブランドは、マジシャンのブランドアーキタイプに当てはまります。
3. ヒーロー
ヒーローのアーキタイプは、勇気があり、強く、決断力のあるブランドです。ヒーローのブランドアーキタイプは、逆境に直面したとき、恐怖に立ち向かい、勝利することを望んでいます。また、ヒーローは、自分自身や他者に対して何かを証明しなければならないことがよくあります。
アディダスやナイキ、FedExなど、みなさんこれらの有名なヒーローブランドをご存じでしょう。これらのブランドは、一生懸命働き、良いことをし、やりながら学び、自分が想像していた以上のことを成し遂げることを信条としています。
4. ラバー（恋人）
ラバー（恋人）のアーキタイプは、感情的な言葉や親近感、帰属意識に特徴づけられます。ラバーブランドのアーキタイプは、感覚に訴えるものであるため、ラバーブランドは、商品を説明するのに、視覚的・感覚的な言葉をよく使います。このブランドのメッセージには、高級感や柔らかさ、香り、美しさといった言葉が見られます。
Victoria's Secret や Dove Chocolatesは、ラバーアーキタイプに訴求するブランドの例です。
5. ジェスター（冗談好き）
ジェスター（冗談好き）のアーキタイプは、12種類のブランドアーキタイプの中で最も楽観的なブランドです。ジェスターのアーキタイプは、遊び心があり、既成概念にとらわれない考え方が好きで、他人を笑わせたいという生意気な願望を持っていることが特徴です。このような遊び心にあふれたジェスターの性格は、ユーモアや楽しい時間、軽快な製品を提供するブランドにとって、完璧なアーキタイプと言えます。
最も認知度の高いジェスターブランドには、Dollar Shave ClubとOld Spiceがあります。この2つのブランドは、ユーモアを用いて、記憶に残りやすく共有しやすいコンテンツを作り出しています。
6. エブリマン（普通の人）
エブリマン（普通の人）のアーキタイプは、典型的な「隣の家の少年」や「隣の家の少女」のようなものです。このようなブランドは、派手でもなく、高価でもなく、過度に豪華でもありません。現実的で、日常的な人々が手に入れられるものです。
日常的なブランドといえば、IKEAやトヨタのようなブランドです。手頃な価格で、親しみやすく、いつでも手の届くところにあるブランドです。
7. ケアギバー
ケアギバーのアーキタイプは、「恩返し」をテーマにしたブランドです。これらのビジネスは、何かを売っているかもしれませんが、その製品やサービスの目的は、現代社会をより良い場所にすることなのです。そして、ケアギバーブランドは、彼らと同じ価値観と無私の人格を持つ人々に強くアピールします。
ケアギバーブランドの代表的なものに、Tomsの靴があります。Tomsは、1足購入するごとに1足の靴を寄付しており、ターゲットの心優しい性格に訴えかけています。
8. ルーラー（支配者）
ルーラー（支配者）のアーキタイプは、支配権を握ることを好みます。このリーダーシップのある人格は、あらゆる状況で主導権を握ろうと努力し、全ての場面において注意を引きつけます。その結果、成功し、裕福で、パワフルな性格になる傾向があります。
ロレックスやロールス・ロイスのようなルーラーブランドは、現状を打破し、高いレベルの成功に到達するこの感覚を体現しています。
9. クリエイター
クリエイターのアーキタイプは、自己表現や芸術、イノベーション、ビジョンなどを刺激する存在です。クリエイターブランドの中には、複雑な問題をまったく新しい方法で解決することで知られているブランドもあります。また、遊びやデザインを通じて、顧客の想像力を解き放つことを可能にするブランドもあります。
Adobeとレゴは、顧客が革新的なものを作り、デザインし、作るために必要なツールを提供するクリエイターブランドの2つの素晴らしい例と言えるでしょう。
10. イノセント（心の清い人）
イノセント（心の清い人）のアーキタイプは、純粋さや安全性、楽観性を重視します。イノセントブランドは、取引において正直であり、マーケティングにおいて親切であり、誠実に行動します。また、持続可能な製造方法を模索し、地球に優しい製品を生産することもあります。
イノセントのアーキタイプでブランド戦略を行なっている有名な企業として、Burt's BeesとAveenoの2社があります。両社とも、自然で清潔、安全な製品を生産することで無垢な原型に寄り添い、人々を気遣い、より良い世界を作り出しています。
11. セージブランド（賢者）
セージ（賢者）のアーキタイプは、知識や洞察力、理解力を提供することで、世の中の役に立つことを目指しています。セージブランドは哲学的で、深い会話をしたり、複雑な問題を理解する手助けをしたりすることに熱心です。セージブランドは非常に知的であるため、彼らのブランドボイスは、適切であれば専門用語を1つ2つ使うことも躊躇しません。
BBCやTEDのような賢者ブランドは、新しい、受け手にわかりやすい方法で世界に知識を提供することに情熱を注いでいます。
12. エクスプローラー（探検家）
最後に、エクスプローラー（探検家）のアーキタイプは、既存のパラダイムから脱却し、独自の道を切り開くことを熱望する冒険的な人格です。探検家ブランドは、好奇心旺盛で大胆でエキサイティングな存在です。
パタゴニアとThe North Faceは、エクスプローラーアーキタイプを利用してターゲットユーザーと結びついているブランドの素晴らしい例です。
ブランドアーキタイプは、ターゲットとつながるために必要不可欠です
すべての人は、上記でお伝えした12のブランド原型のいずれかを体現しています。そのため、これらの主要なパーソナリティのいずれかに合致するブランドは、よりつながりやすくなります。オーディエンスが理解し、共感できる方法でコミュニケーションし、ブランドを真のパーソナリティを持つ企業として位置づけることで、あなたのブランドメッセージは際立つのです。
ターゲットオーディエンスの好みのアーキタイプを知れば、真のつながりを作る方法がわかる
あるアーキタイプから、いくつかの特徴を取り出し、別のブランドアーキタイプからさらにいくつかの特徴を借りて、複数のアーキタイプの寄せ集めのようなブランドパーソナリティを作ることは魅力的です。
しかし、複数のブランドアーキタイプからパーソナリティの特徴を選んでしまうと、誰に対しても感情的に訴えることができないブランドメッセージになってしまう恐れがあります。
この12種類のブランドアーキタイプは、それぞれがターゲットとする市場を代表するユニークな性格を体現しているということです。そして、ターゲットとなる市場とつながるために、企業はブランドストーリーやマーケティングキャンペーン、ビジュアルアイデンティティを、選択したブランドアーキタイプに合わせる必要があるのです。
幸いなことに、12のブランド原型の主な特徴を理解すれば、あなたのブランドのために主要な性格を選ぶことは難しいことではないでしょう。最終的に、あなたが最も共感する主なブランドアーキタイプは、1つである可能性が高いです。
あなたのブランドのアーキタイプが明確でない場合は、ZeBrandにご相談ください。
ブランドアーキタイプの1つを選択し、それを中心にブランド戦略を策定したら、次はフィードバックを収集する番です。
ビジネスを始めてから時間が経てば経つほど、ターゲットオーディエンスがあなたのブランドパーソナリティをどのように見ているかを察知することは難しくなります。あなたは、自分のブランドボイスが市場に直接語りかけていると信じているかもしれませんが、実際には、それは期待通りにはいかないものです。そのため、外部の専門家にブランド戦略のレビューとブランドメッセージの調査を依頼し、それらがあなたの主要なブランドアーキタイプとどのように整合しているかを確認することが有効となります。
あなたのブランド戦略がどのようなものであるか、ZeBrandのブランドDNAビルダーを使用して確認することができます。
ブランドのアーキタイプを活用してビジネスを発展させる方法
12のブランドアーキタイプを絞り込み、あなたのブランドを代表し、オーディエンスとつながるために最適なパーソナリティを選択したら、次はそのアーキタイプをあなたのブランド戦略に取り入れる番です。
ここでは、ブランドのアーキタイプをマーケティング、ブランドメッセージ、ビジュアルアイデンティティに反映させるための3つの方法を紹介します。
1. ブランドメッセージを通じて、ブランドのアーキタイプを伝える
ブランドメッセージ、つまりブランドストーリーやブランドボイス、マーケティング、そしてブランドの個性を伝えるためのコンテンツは、あなたが選んだアーキタイプの個性と一致する必要があります。
例えば、あなたのブランドがマジシャンアーキタイプに当てはまるなら、メッセージはインスピレーションや向上心、創造性、明るさ、想像力に富んだものであるべきです。例えば、子供の心をくすぐるようなメッセージや、喜びを表現するようなメッセージなど、魔法を表現する方法を探してみてください。
2. ブランドビジョンとブランドのアーキタイプを一致させる
強力なブランドのビジョンステートメントは、チームを鼓舞し、顧客を勇気づけ、会社にエキサイティングな進展の道を与えます。ビジョンステートメントには、あなたのビジネスの永続的な価値、つまり、あなたが企業として真摯に、一貫して取り組んできた結果、未来にもたらされるポジティブな変化が表現されます。
あなたのブランドのアーキタイプを念頭に置き、ターゲットとなる人々のパーソナリティに直接語りかけるようなビジョンステートメントを作りましょう。例えば、あなたのビジネスがラバー(恋人)をターゲットにしているのであれば、市場の中心的な欲求である「つながり」を考えてみてください。あなたのブランドが世界にもたらしたい、深く、意味のあるつながりについて、ビジョンステートメントで言及する必要があります。
ビジョンステートメントは、ほんの数行の言葉ですが、あなたのブランドの声を、明確に定義されたオーディエンスと感情的な結びつきを生み出すための絶好の機会なのです。
3. ビジュアルアイデンティティをデザインするために、ブランドアーキタイプを利用する
ブランドの個性は、言葉だけでは表せません。ビジュアルアイデンティティは、ブランドの認知度やイメージに大きな影響を与えます。
選んだアーキタイプを念頭に置き、ブランドのカラーパレット、イメージ、写真、Webサイト、グラフィックデザインなどで、その個性をどのように視覚的に表現するかを考えてみてください。ブランドの主要なアーキタイプを模倣するビジュアル要素を選択すれば、あなたのブランドはターゲットとなるオーディエンスにとって即座に親近感のあるものになります。
ZeBrandでは、ビジネスオーナーがブランドのアーキタイプを発見し、ターゲットとなるオーディエンスとつながりを持てるよう支援します。自分自身のブランドメッセージを開発するのは大変なことです。そこで、ZeBrandのブランドコーチが、1対1で、ブランドのアーキタイプを発見し、心に響くブランドメッセージを構築するお手伝いをします。より良いブランディング、より強力な広告キャンペーン、そしてより速い成長は、ZeBrandから始まります。
ブランドコーチセッションの詳細については、ここをクリックするか、DIYのブランドDNA構築ツールを使用してください。
ブランド戦略をブランドのアーキタイプと整合させることは、困難な場合があります。ZeBrandの専門家によるブランドコーチングと使いやすいブランドDNAビルダーは、このプロセスを簡素化し、より多くの理想的な顧客にアプローチできるようにします。ご興味のある方はこちらからお問い合わせください。