タミヤの慈愛と反抗期の俺 モンキー125 製作後記
2019年6月発売のタミヤ 1/12 オートバイシリーズ最新鋭キット、「ホンダ モンキー125」を作りましたので、その模様をお届けします。
結果から先に申し伝えると、タミヤ様の大いなる慈愛のもと、手のひらの上を転がされて参りました。何が言いたいのかというと、これは名作キットです。どうぞご覧ください。
生まれからしてエリート
(写真はタミヤ公式サイトより)
「タミヤ」の「新キット」というのは言い換えるならば「鬼に金棒」とか、「アムロが乗ったガンダム」といって差し支えなく、要するに最強です。世界に冠たる模型メーカーの新製品が良くないはずがありません。生まれながらにして名キットであることを約束された存在だと言えましょう。
それに、モチーフも好適です。50年以上の長きに渡って人々に愛されてきたミニバイク、「ホンダ モンキー」を現代の交通事情に合わせてリファインした「モンキー125」。大型化したとはいえ、かつての面影を色濃く残す台形シルエットは見るからに愛らしく、いつまでも眺めていたくなります。
「アソビの達人」のキャッチコピーの通り、休日にこいつをのんびり転がしたらそれだけで素晴らしい一日になるだろうな、という楽しげな雰囲気が醸し出されるスタイルです。
筆者は製作BGVとしてモンキーのツーリング動画を見続けた結果、二輪免許も無いのに、わりかし真剣にモンキーが欲しくなって困っています...。
パッケージもいいですね。台形シルエットを強調するようなアオリ気味のアングルで車体が描かれており、前後に短く縦に長い車体に押し出されるような形で右に90度回転した商品名のフォントもポップです。
画像がこれしか残っておらず恐縮ですが、メッキパーツです。息を飲むほどシャープです。これ見てハイターに漬けようと思いますか?
メインカラーのタンク、フレーム、スイングアームなどが収まるランナーです。
塗装のしやすい白整形です。塗らないで作る向きには不満の残る仕様かもしれませんが、パーツ数と面積が少ないので塗装にトライするには適しているでしょう。白整形はキャンバスです。
シルバーです。ボディ色、メッキ、灯火類のクリアパーツ以外のパーツが全て収まります。
作っていると、このうち2/3くらいのパーツは黒く塗った印象なので、コスト面の問題なのでしょうが、黒と銀でランナーが分かれていればありがたかったなと思います。
とはいえ、箱いっぱいのサイズのランナーに理路整然と並べられたパーツ配置の美しさは、ほんと、ため息がでます。
至れり尽せりおもてなし
「モンキー125」のオモチャ感、楽しげな雰囲気を構成する要素として挙げられるのが、メッキパーツを多用したデザインです。
(ホンダ公式より)
先に紹介したランナーの構成からもメッキ比率の高さが伝わるかと思います。
ところが、このメッキというのはプラモデル製作の都合上、クセ者です。
メッキパーツというのは、プラスチックの上から薄い金属の膜を被せてあるので、塗装では再現の難しい美しい金属的な質感を得られる代わりに、通常のパーツと違ってプラスチック用の接着剤で接着することができません。
そのため、接着面のメッキをナイフなどで剥がしてプラを露出させるという手間をかけるか、もしくは、瞬間接着剤などに頼ることになります。
しかし、得てしてメッキパーツの接着シロは小さい上に、金属の膜の厚さの分ハメ合わせが難しいことが多く、結果的に瞬着でメッキ面を汚してしまうなどの、リカバリー不能なトラブルに陥りがちです...。
自戒を存分に込めた、耳が痛い前置きが長くなってしまいましたが、「モンキー125」は、このメッキパーツの悩みに対してのオモテナシがすごいのです。
↑メッキ、貼りたくないよね...。スナップフィットにしといたよ。
こいつはモテます。気遣いのできる子!
ついでにゲートもアンダーゲート(切り取った跡が裏側に隠れる)です。ありがとうタミヤ。
全部のメッキパーツがこう、というわけではないですが、こういった完成度を上げるための配慮が随所に散りばめられています。恩田原の方角に向けて1日5回礼拝しましょう。アーメン。
筆者、グレる
いや、ほんと素晴らしいキットですよ。お利口。生まれてきてくれてありがとう。言うことない。あなたはお母さんの自慢の息子よ!(?)
.......
いやでもさ、こんだけオモテナシに溢れたキットだと、もう誰が作っても完成度高いものが出来上がるのは当たり前っつーかぁ...
色もさぁ...
発売当初の国内仕様はレッドかイエローなわけよ、
カッコいいしカワイイんだけどさぁ...
イマイチお利口すぎるっつーかぁ...
なんかさぁ...
筆者、メインカラー塗装の段になって「モンキー125」の余りのオモテナシっぷりに「これ...おれが作ってもタミヤの完成写真の劣化コピーでしかなくない...?」みたいな気持ちが芽生えてしまったんですよね。
なんですかね、プラモデルってまあ本質的には誰かが作った過程をなぞる遊びなんですけど、でも「俺のクリエイティビティーーー!!」みたいな、「俺が」上手に仕上げて、「俺の」模型になるのだ!、という気持ちでいさせて欲しいのですよ。人の設計をなぞりながら、オリジナルでいたい、ワガママです。
((((.........っ...))))
???
((((.........塗れっ....)))
???
((((.........ムラサキに塗れっ!!.....))))
!!!!!
そんな筆者に天啓です、ムラサキに塗ります。心の中の中学2年生がささやくのです...。
ジャッジメント・ナイト・オブ・パープル・メタリック!!!!!
デーーーーン!!(コマンドーの音)
塗れました。
いいぞーーコレ。
中二病とヤンキー趣味が空中で正面衝突したのち、タミヤ神のお導きによって目の前に現出しました。
カッケーっぞ!!
ということで、「モンキー125」完成しました。写真の背景が黒かったり白かったりしてごめんなさい。
「ボディ色を変えた」というだけですが、タミヤと私の共同作業で「私だけのモンキー125」が目の前にあります。
「誰が組んでも高い完成度になる」とは書きましたが、同時に「自分の技術によってノーミスで完成まで走りきったのだ」という自信と満足感もあります。
カッコいいしカワイイぞ!
タンクの塗り分けは専用マスクシールが付属です、安心してください。あゝおもてなし。
この、「好きな色で塗る」という遊びもプラモデルの楽しみの中に織り込み済みなのは承知です。結局はタミヤ神の手のひらの上で踊らされているだけかもしれません。言うならば、筆者は所詮「お腹が空いたから帰ってきちゃう家出」をしたに過ぎません。
しかし、これがオリジナルであろうと誰かの劣化コピーであろうと、私が作ったこの世に1つだけのモンキーが手元にあるのは確かです。
プラモデルは楽しいです。
そして「モンキー125」は間違いなく名作キットです。
みなさんはタミヤ神の手のひらでどんな風に踊りますか?
アマゾン https://www.amazon.co.jp/dp/B07NQ1YMMB/ref=cm_sw_r_cp_api_i_M-wVEbE6HD4F8
タミヤ 商品ページhttps://www.tamiya.com/japan/products/14134/index.html
ホンダ モンキー125 https://www.honda.co.jp/Monkey125/
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