著作権がよくわからない3つの理由
おつかれさまです、前進クリエイティブ行政書士事務所の与那嶺です。noteでは“契約書”と”著作権”についての情報をざっくばらんに発信。当該2つの棲み分けはnoteのマガジン機能でカテゴリ分けをしていきたいと思います。どうぞご贔屓ください😁
さて、「著作権」について。
一億総インターネット利用の現在において、誰もが耳にしたことがある言葉といっても過言ではないでしょう。
とはいえ、「なんだかよくわからん」
そのような印象を持たれている方も多いと思います。それもそのはずで、なんだかよくわからないと思わせる理由が著作権にはあるからです。
著作権がよくわからないと感じる大きな理由は3つ。
理由①「目に見えない権利である」
厳密にいうと、著作権が対象としているものは、いわゆる物(ブツ)ではなく、「無体物」ということです。
物とは物体であり目に見えるもの。ゆえに所有を認識しやすい権利(所有権)となりますが、著作権はその逆となる無体物を対象としたもの。かつ、対象としているものが「表現」という観念のため、所有権と比べて色々とややこしい話になってくるのです。
ちなみに、目に見えない権利といいつつ、「文章」などの「目に見える」ものも著作物となり得るため、ますますややこしくなりがちです。
その場合、その目に見えるものを生み出した表現者の「思想や感情」の創作的な「表現」に保護を与えているという考え方になるわけです。
著作権とは、「無体物」である「表現」を保護する権利です。
結局のところ、表現者の「思想や感情」などの“目に見えないものに権利を与えている”時点で、色々無理が生じる権利になるのは避けられないということですね。
理由②「そこら中で自然発生している権利である」
著作権は“無方式主義”です。
これは、特許権や商標権などの“方式主義”とは異なり、国や行政に登録不要で著作権が発生することを意味します。
つまり、日々そこら中で大量発生している権利が著作権というわけです。
目に見えない(理由①)だけではなく、日々そこら中で自然発生している時点でややこしくならないわけがありません…
それでは、著作権も“方式主義”にすれば管理がしやすくなるのではないの?と思われるかもしれません。しかし、著作権を“方式主義”にしない明確な理由がそこにはあるのです。
じつは、これは人権に絡む壮大なテーマでもあります。
著作権は、人間の「思想や感情」をベースにした表現に保護を与える権利です。その著作権を“方式主義”にするということは、人間の“思想や感情”の表現に対して、国や行政のお墨付きが必要になることを意味します。
つまりそれは、“検閲”につながる重大な問題となるのです。
国や行政にお墨付きをもらってはじめて権利が発生するとなると、表現したくても表現できない創作物が世に溢れかえるかもしれません。個人の趣味趣向や思想を自由に表現できない世界。言いたいことも言えない世の中なんてポイズンですよね。
このような壮大な理由があるため、著作権=無方式主義となっています。よって、著作権は日々そこら中で大量発生している権利となるわけです。
つまり、回り回って権利を扱う側にしわ寄せがくるということです🙃
理由③「支分権という心をへし折る権利がある」
「支分権」はご存知でしょうか。
これは、著作権を幹として、その下に枝葉のように連なる権利のことをいいます。要するに、著作権の中に更なる複数の権利があるイメージです。具体的には、“複製権”や“演奏権”などのことです。
「著作権の許諾を得る」
このようにシンプルに考えたいところですが、実務上そう甘くはありません。支分権の存在があるからです。
上記のとおり、著作権の中には支分権という権利があり、契約実務等においては、著作権のうち、「どの支分権の許諾が必要か?」このような検討が必要になってくるわけです。
そして、支分権の数は「13種類」
これは法律で定められている権利の数です。しかも、あろうことか業界ごとの慣習やスキームなどで、さらにややこしく権利が絡み合うことも珍しくありません…
そんなことも相まり、支分権の存在が著作権理解の心をへし折る大きな要因になっているといえるでしょう。
以上のことから、理由①~③を要約すると、
「目に見えない権利が、日々そこら中で発生していて、おまけに支分権という大量の権利がくっついている」
というのが著作権の実態ということになります。
これでは、「著作権はなんだかよくわからん」となるのも当たり前です。しかし、著作権がよくわからないと感じる理由を知っただけでも、十分意味があるといえます。
なぜなら、よくわからない理由を人に説明できるようになるのですから…🕶
noteでは契約書ネタのほか、著作権を少しでも身近に意識できるような情報を発信していきたいと思います。どうぞご贔屓ください😁
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