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両手ひろげて

初めての一人旅日記、いよいよ3日目です。
2日目は京都と大阪を回りました。


もう最終日になってしまいました。この日は7時間ぐらい寝れた。朝起きてご飯食べたり、メイクをしたりしながら荷造りをする。洗面所に散らかした化粧水やらをまとめるのが一番めんどくさい。とにかくジップロックにぶち込んで終わらせる。時間通り部屋を出て、ホテルを後にする。

新大阪駅にスーツケースを預け、新大阪発の帰りの新幹線が出る16時半ごろまで、今日は万博記念公園で過ごす。太陽の塔を見に行くのだ。

いつからか見に行きたいとは思っていながら、なかなか見に行ける機会がなかったが、森見登美彦さん(何回もお名前出してすまない!)の『太陽の塔』という話を読んでから、その得体のしれない魅力的な不気味さが気になり始め、ついに我慢できなくなった。なんかもうGoogleの検索結果に出た画像を見るだけでも胸が高鳴りそうになるほど会いたい気持ちが高まっていた。文字に起こすと気持ち悪いね。すげえ好きじゃん。

しかし、これが初対面になるわけではなかったらしい。実は再会なのだ。

高校の修学旅行で万博記念公園近くのエキスポシティに連れて行かれた。たしか学年全体で行くイベントだった気がする。そこで買い物をする前に、太陽の塔も見学しに行っていたらしい。そう、私には見に行った記憶がほとんどない。
今回の旅行計画中、「そういえば修学旅行どこ回ったっけ」と思い、当時持って行ったデジカメのデータを漁っていると、なんと雲一つない青空をバックに、あの一度は目の前で拝みたいと思っている太陽の塔が映っているではないか!しかも真正面からめちゃくちゃ綺麗に撮れている。けど、え?見に行ったっけかなあ?ぐらいの記憶しかない。今思えばあんなに印象的なものをおぼえていない自分がよくわからないし腹が立つが、思い当たる理由が一つだけある。
当時、田舎のゆるふわ女子高生だった私は、エキスポシティの中にあるカルビープラスでじゃがりこのフタが買えるらしいという情報を手にしてしまったせいで、じゃがりこのフタを買うことで頭がいっぱいだったのだ。じゃがりこのフタを作ったやつは天才だ、エジソンもぶっ倒れるほどの発明だ、と叫びたくなった衝撃だけは確かに覚えている。馬鹿すぎる。しかもじゃがりこなんてフタをすることなくペロッと食べちゃうだろ!太陽の塔をないがしろにしていたなんで、恥ずかしい。宇宙の恥です。もったいないことをしてたなー。いまでもじゃがりこのフタは使っています。

都会のコインロッカーってどこも空いてなくて難民にならざるをえない場合も覚悟していたけど、幸い朝早いせいか、がら空きだった。一安心。

電車に乗って、モノレールへ乗り換え。田舎者だがモノレールには特にビビらない。私の通っていた大学沿いにもモノレールがあって、そこの学生は学生生活の3分の1をモノレール乗車時間に費やすといわれているからだ。「終電」という言葉を使うように、我々は「終モノ」という言葉を生み出していたくらいだ。モノレールにはなつかしささえ感じるね。私は大学生活であのモノレールにいくら払ったんだ。

そんなことを考えていると万博記念公園駅に着いた。改札を出て視界が開けると左手に太陽の塔が。こっから見てもでけえしこわい。太陽の塔目指して歩きながら、写真も動画も撮った。会いたかったよ、とっても会いたかった。これは再会なんでよね、ほんっと馬鹿な女よね、、笑いなさいよ!こんな私を、、笑って、、笑ってよ。あなたが好きなの。これは、私のいまの、ほんとの気持ち!!!!

ひとつ残念なことは、晴れてはいるが雲が多いことである。しょうがない、雨が降らなかっただけでもうれしい。天気でいえば完全に高校のときの写真の方が晴れている。あんな快晴にはなかなか勝てん。

だが!高校の自分よりも圧倒的にリードしている点がある。内部公開だ。もう一度書いてやる、内部公開。内部公開だ!!!

内部公開は予約制だったので、私はネットでチケットを取っていた。すぐに入園。土曜日だったけど、人は多くなく、写真も撮りやすかった。そうだよね、きっと今来てる人は太陽の塔を見るために早起きした人たちだ。私も例にもれず。

内部見学の時間まですこし余裕があったので、周りをぐるーっと回った。たまらん。たまらんなー。こいつ動いたらやばそうだな。これが何十年もここに立ってるの意味わからんな。不気味だけど、ずっと見てたい―。水尾さんが宇宙遺産にするべきだと主張する気持ち、めちゃくちゃ分かる。カメラロールは、初デートかってぐらい太陽の塔くんの写真でいっぱいになった。

そうこうしているうちに見学時間が近づいてきたので受付に向かう。撮影に関しては、1階は誰でもできるけど、それから上は有料で貸し出している斜め掛けのスマホホルダーを使わないとできないとのことだった。おそらく内部が吹き抜けで螺旋階段になっているせいだ。スマホを落とされたらたまったもんじゃないだろう。

スマホホルダーを借りていよいよ内部へ。はじめの展示にはプロジェクションマッピング的なのも少しあって、おとなりの家族も沸いていた。それから進んで、鉄でできたみたいな強そう自動扉の前で止められて、注意事項的なのをいわれる。

そして扉がひらくと、あの生命の樹がある神秘的な空間が目の前に、もう上から下までどでーんと登場。めーちゃくちゃ綺麗だ。すげえ。なんか流れてる神秘的な音楽のせいもあってすげえ。とにかく圧倒される。写真を撮るのを忘れて見入ってしまっていた。隣に同じく一人で来ていたご婦人が一生懸命写真を撮っているのを見て、私も思い出してスマホを引っ張った。どきどきして、にやにやしてしまう。そんな気持ちを抑えている私を知らないその隣のご婦人は「きれ~い」「おおきいわあ」「は~すごい、すごい」と思ってること全部口に出しながら楽しんでいる。一人で出かけるデメリットってそこなんだよ。この気持ちを共有できない。いっそご婦人に話しかけようかなと考えた。気のよさそうなご婦人だ。「すごいですね~」とか話しかけたら、絶対ニコニコして「ですよね~もう感激です~」って返してくれそうだ。なんなら仲良くなって、お互い太陽の塔の前に立った写真を取り合うイベントも発生してしまう。「話しかけてくれなかったら一緒に映って写真取れなかったわよ~ありがとね~」と言ってくれそう。そのうち年に一回ここで会う中になって、お互いの住む町に遊びに行ったりするんだろうなー。しかし勇気が出ず、私はそのご婦人に、私の思っていることも全部言ってくれ、任せたぞとテレパシーを送りながら進んだ。

内部見学がおわり、館内のミュージアムショップに寄った。ここで散財する覚悟はできている。旅行中は3日目のここが一番お金を使うに違いないと感じていた。ポストカード、バッジ、ステッカー、バッグ、フィギア、ほしい!と思ったものをどんどん手に取る。15000円近くになった。私にとっては大金だ。またお仕事頑張るよ。

太陽の塔を出て、このあとは民族学博物館とEXPO 70' パビリオン(以外パビリオン館)へ行く予定。すぐそばにある民族学博物館の方へ歩いた。知り合いの方にそこをおすすめされていたので次の目的地に決めていた。しかし、まもなく11時になるところだったので、ご飯を食べることにした。博物館って体力使うから。

公園内にあったレストランでハンバーグ定食的なやつを食べた。おろしハンバーグね。おいしかった。けどお腹はずっと本調子ではない。お腹がというか、4日前の新年会から無理して観光しているので、体がついてきていない。私は無理をしたとき、熱っぽいが熱は全然ないという現象がよくある。多分これだ。けど、アドレナリンがずっと出ているおかげで何となくやり過ごせている。いつも持ち歩いている整腸薬ではどうにもならん。これは胃が悪いパターンだ。胃薬を持ってくればよかった。しかし、ハンバーグはうまい。ポン酢は神の産物だ。

レストランを出て、少し歩いて博物館へ。国立の博物館なのでかなりでかい。トーテムポールがお出迎えしてくれている。

2階へ上がってチケットを買って入る。世界の地域別にエリアが分けられていて、大昔からの生活や当時使われていた道具、最近のカルチャーまでたっぷり展示してある。知り合いの方に勧められた理由の中で、「あそこに置いてあるものはほとんどが本物なのもすごい」と言われていたが、たしかにほとんど本物ばかりだった。すげえ。教えてもらわないと来なかったかも。方位磁針もないような時代に航海してる昔の人ってほんとに賢いなー。今よりも暇な時間って全然ないんだろうな。暇っていう概念あるのか?

なかでも私が一番印象的だったのが、ルーマニアのある村の文化である「陽気な墓」である。20世紀に入ってからの文化らしいが、一見お墓に見えないくらい、文字通り陽気な見た目のお墓に、それにはその人の死因や人生についての詩が挿絵とともに刻まれている。ユーモアあふれるものから、なんだか切なくなるものまであった。死ぬことってマイナスなイメージしかないけど、こういう死ぬことを恐怖とか悲しいとかには捉えていない文化って本当にすげー。民族全体で陽気な墓を作りましょう!ってなったかは知らんがそれに賛同する人が結構いたってことだろう。自分はそんな考え思いつかないから、余計に文化の違いを感じる。でも確かに悲しんでほしくはないな。全然「あいつ元気だったよな!」でたまに思い出してもらうくらいでいい。私が陽気な墓を日本で流行らせるしかない。現地に見に行ってみたいな。

ゆっくりじっくり見学していると13時を過ぎていた。新大阪駅に16時には着いていたいから、15:30ごろのモノレールには乗りたい。けどあのパビリオン館にも行きたい。待て、時間足りなくないか?
館内地図を取り出すとやっと半分を過ぎたくらいであった。パビリオン館がめちゃくちゃ広かったら全部見れないかもかも。あそこまでも割と歩くもんな。やばい。どうしよ。パビリオン館にある初代黄金の顔もゆっくり見たい。ええ、どうしよ。

仕方ない。私は早歩きを決行し、そこから先は流し見するという暴挙に出た。非常に勿体無いことをしている自覚はあります。すみません。私だって説明書きまで読んでじっくり見たい。仕方ないのだ。完全に初見ではないスピードで進む私。また来るからね!絶対来るからね!ギターがいっぱい飾ってあったとことか絶対私好きだもん!

後半の方が個人的に見たいものが多い気がしたが、時間がないのだ。Googleマップでパビリオン館の場所を調べて歩き始めた。

パビリオン館が見えてくると、その後ろにある広場ではこどものマラソン大会的なイベントがあっているらしかった。一位でゴールした子どもに感想を聞いている女性の声が、マイクを通して周りに響いている。いいなあ、万博公園でイベントなんて。思い出ができるなんて。羨ましいよ。この雰囲気和むね〜。

パビリオン館に入りチケットを購入。早速入場。そこではとにかく1970年の大阪万博について紹介してあった。当時の企画書も展示してあったり、当時のチケットがあったり、このパビリオン館には実際に使われたスペースシアターがあり、ちょっとした演出を随時やっているのも見ることができた。

それから、何年か前に増設されたらしい別館へ。最初には万博のホステスさんたちが来ていた制服が何種類も展示してあった。ちょうどミニスカートが流行っていた時代で、今見てもデザインがちょーーーかわいい。めちゃくちゃかわいい。販売して欲しい。どこで着るんやって感じだけど着たい。かわいすぎる。制服のデザインってあんまり時代で変動しないのかもしれない。

そこから進んでいって、いよいよ太陽の塔の初代黄金の顔を見た。未来を表している、ちょうどとっぺんについている顔だ。今ついているのは老朽化のために新しく作って取り付けられたものらしく、2代目で、その初代は実際万博を見守っていた顔である。まあまあ近くから見れた。これが取ってあったのがすげえよ。ありがてえ。合掌。

ゆっくり見たつもりだったが結局14:00過ぎくらいにパビリオン館を出た。早過ぎだろ!民博ゆっくり見れたじゃんか!

お散歩することにした。冬なのでお花はほとんど咲いていないので、春になったら綺麗なんだろうなと思いながら歩くしかない。あったかくなったらまた来たいなー。楽しそう。

明日から仕事かー、はー、この3日間自分の好きなように回れて楽しかったなー。明日8時出勤かー。いやだなー。またここに来れるようにお金貯めよー。

明日からのことを考えてしまった。いかん!まだ大阪にいるんだから大阪に浸るのだ!!せっかくだからエキスポシティに行こう。もう大人なのでじゃがりこのフタには惑わされぬぞ。

土曜日だったのでめちゃくちゃ人が多かった。ほぼ道頓堀じゃん。え!トイレ並んでる!おいおい!ゆっくり暇つぶしできないよう。

結局モノレールに乗って千里中央駅に行き、乗り換えの電車に乗るまでそこで待つことにした。

千里中央駅のカフェに入った。電子タバコだけOKらしい。このカフェはこぢんまりしていて席がかなり限られているので、喫煙者ではない私は少々居心地が悪かった。貴重な喫煙スペースを無碍にするな!と思う人もいるだろうな。ウィンナーコーヒーを飲みながら、ここ数日の写真を見返して浸る。見たいもの全部見れて幸せだった。事故にも事件にも巻き込まれなくてよかった。しかし帰るまでが遠足だよね。あんまり思うようには食べれなかったな。次は絶対に胃薬を持ってきてやる。覚悟しておけ。

電車の時間が迫ってきたので、店を出て改札を通った。いよいよ新幹線で帰るために新大阪駅に向かう。

新大阪駅に着いたあと、お土産として、家族に関西限定の永谷園のお茶漬けを買った。「てっちり風」とパッケージの一部に書いてあるのだけど、私はいまだにその「てっちり風」を知らない。恥ずかしながら聞いたこともない。この日記を書き上げたら調べます。

帰りの新幹線は駅弁を食べる気満々でいたのだけど、どうしよう。食欲が全然ない。無理をしたガタがきている。ああ!!焼肉がのった弁当食べたいのに!普段の私ならそうなのに!多分いま食べたら気持ち悪くなっちゃう!ああ、どうすれば!

コインロッカーに預けていたスーツケースを取り出して、改札を通った。改札を通った先にも駅弁は売ってある。ここで決めよう。薄々気づいてはいたがさっきとラインナップはほとんど変わらん。なんか、あっさりした海鮮系ないのか!海鮮系でもサーモンとかじゃなくて、本当に、あっさりしてるやつ!探し回った挙句、6貫くらいだけの寿司盛りを買った。駅弁ぽくはない。隣に並んでいた手毬寿司の方がよっぽど駅弁ぽかったが、サーモンのオンパレードだったので泣く泣く諦めた。もうホームに行かねば。

ホームに着くと人がたくさん並んでいた。新幹線が来て、席に座る。

そこまで眠気は感じてなかったので、お寿司でお腹を落ち着かせて眠気を誘った。めちゃくちゃ眠くなった。行きとは打って変わって、熟睡できた。1時間くらい寝ていた。

ぼーっとしていたらあっという間に降りる駅に着いていた。駅を出ると、父と母が迎えに来てくれていた。

家に着いて、すぐお風呂に入ったのだけど、安心したのか嘘のように元気すぎる元気が湧いてきて、ずっとこれくらいの元気がほしかったのに!と悔しがった。元気が出てきて食欲も出てきたせいで、母が作っていたハヤシライスを食べて寝た。

私の今回の旅行記はここで完結です。この3日目もとーっても長くなってしまいました。最後まで読んでくれた方、見つけてくれてありがとう。ラッキーがありますように。


てっちり、めちゃくちゃ美味そうじゃん!私にあんな美味そうなもの隠してたなんてずるい!次はてっちり食べに行く!

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