見出し画像

Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【7月6日㈬~7月12日㈫】

出張から戻ってきて8日が経ったというのに、いまだに時差ボケを引きずっていて、午前3時とか4時にパキッと目が覚めて、その後眠れなかったり、夕方になるとキョーレツな眠気に襲われたり、なかなか体調が戻りません。当初は「海外出張が2年4ヵ月ぶりだったから、時差ボケも2年4ヵ月ぶりってことね…」などと、意味不明な感慨にふけっていたのですが、単に加齢で回復力が衰えているのだ、という事実に思い当たりました。そりゃあ、シニア料金で映画を観れるようになるまで、1ヶ月を切ってますからねぇ…。

おまけに先週金曜日には気持ちの沈むとんでもない事件が起こり、なんだかザワザワと落ち着かない日々。現実にああいうことが起こると「映画より現実のほうがよっぽど映画のよう。わざわざ映画を観る必要はないんじゃ?」みたいな空気が広がって、映画館に足を運ぶ人が減ってしまうのでは…といらぬ心配もしてしまいます。ただでさえ全国的に感染者が増えていて、再び出控える人が増えてしまうことが懸念されるのに…。

と、ネガティブな思考に陥りがちな今日この頃ですが、映画『三姉妹』の三姉妹のように、何があろうと“それでも生きて行く”という気概をもって頑張らなければなりません。その『三姉妹』ですが、引き続き絶賛上映中。ヒューマントラストシネマ有楽町伏見ミリオン座フォーラム仙台での上映は明日まで、桜坂劇場では明後日までとなりましたが、新宿新潟札幌いわき心斎橋神戸福岡鹿児島では引き続き上映中、今週末からは横浜シネマジャック&ベティ大分シネマ5熊本Denkikanでの上映がスタートします。お近くにお住まいの皆様、ぜひ劇場に足をお運びください。

明るい話題は、と言えばバーバラ・ローデン監督の1970年作品『WANDA/ワンダ』シアター・イメージフォーラムで好スタートを切った、という報。初日の7月9日㈯には4回上映のうち3回が満席になったとのことで、これはもう大ヒットといって差し支えない素晴らしい出足。配給のクレプスキュールフィルムさんは新たに誕生した配給会社。第1回の配給作品が満席とは、なんと幸先の良いスタートでしょう!今後どんな作品を紹介してくださるのか、一映画ファンとして楽しみです。『WANDA/ワンダ』、未見なので今週末には観に行かなくては!(『哭悲』なんて観てる場合ではなかった!笑)

バーバラ・ローデン監督作品『WANDA/ワンダ』

私が『WANDA/ワンダ』という映画の存在を知ったのは、ザジで“ジョン・カサヴェテス レトロスペクティブ”を開催した年なので、2012年。今からちょうど10年前です。上映作の中の1本『こわれゆく女』のプリント修復(当時はデジタル修復ではなかった)が、マーティン・スコセッシ率いる映画の修復・保存活動を行う団体、ザ・フィルム・ファンデーションによってなされ、その活動を支援していたイタリアのハイブランド、グッチの日本法人の主催で『こわれゆく女』特別上映会を開催して頂くことになった時です。

打ち合わせの中で、GUCCI CINEMA VISIONARIESと銘打ち、グッチが修復をサポートした映画の1本として教えて頂いたのが、この『WANDA/ワンダ』。当時「へぇ、そんな映画があるんだ」と思っただけで、権利を持っている会社を調べることも、DVD等を入手して試写することもなかった私。ダメダメです。

ちなみにGUCCI CINEMA VISIONARIESの映画は他に、ヴィスコンティ『夏の嵐』、フェリーニ『甘い生活』、アントニオーニ『女ともだち』、フランチェスコ・ロージ『黒い砂漠』などがあります。グッチ制作による、これらの作品を紹介した大判のオシャレなフォトカード・セットが特別上映会で招待客にお土産として配布されたので、それをここに貼ろうと思ったのですが、事務所の引っ越しで行方不明になってしまいました。残念!

ルキノ・ヴィスコンティ監督作品『夏の嵐』

さて。『WANDA/ワンダ』とは縁がなかったザジですが、『WANDA/ワンダ』に連なる、“「漂流する女性」映画の金字塔的作品”を、この秋同じシアター・イメージフォーラムでリバイバル上映します。ネットの情報解禁前なのですが(この春から何度か当通信でも触れていますので、バレバレですが)、すでに劇場ではチラシを設置しておりますので、あの階段状チラシ置き場をチェックしてみてください!

texte de Daisuke SHIMURA




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?