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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【5月24日㈬~5月30日㈫】

出張から戻って早一週間が経っているのに、依然時差ボケ中。やっと連続で5時間ぐらいは眠れて、全部足して7時間以上の睡眠が可能になって回復傾向にあったのですが、昨晩はまたしても1、2時間毎に目が覚めてしまう“細切れ睡眠”に逆戻り。歳取るにつれて、時差ボケひどくなる一方です(泣)。BSの通販番組とかでやってる睡眠サポート・サプリって効くんでしょうか?試してみようかなぁ。

さて。先ずはカンヌ情報のフォローから。受賞結果が、先週当通信を3日遅れでアップした直後、日本時間の土曜深夜に発表になりました。審査員長が『逆転のトライアングル』のリューベン・オストルンド監督ゆえ、予想外の作品が選ばれるのでは?という噂もありましたが、蓋を開ければほぼ下馬評の通り。フランス映画『Anatomy of Fall(英題)』にパルムドールがもたらされ、グランプリはアメリカ・イギリス・ポーランド合作のA24 作品『The Zone of Interest』、審査員賞はアキ・カウリスマキ監督の『Fallen Leaves(英題)』、監督賞はトラン・アン・ユン監督(『The Pot au Feu(英題)』というバランスの取れた結果。唯一意外だったのは、女優賞が『Anatomy ~』他大活躍のサンドラ・フラーに渡らず、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督『About Dry Grasses(英題)』のメルヴェ・ディズダルが受賞したことでしょうか。日本勢は、是枝裕和監督の『怪物』が脚本賞(坂元裕二さん)、日独合作なのかな?ヴィム・ヴェンダース監督の『Perfect Days』の役所広司さんが男優賞を受賞しました。

そして想像した通り、日本の報道は『怪物『Perfect~』一色。さすがに新聞各紙は各部門の結果にも触れていましたが、私が見た限りのテレビは、ワイドショーのみならず、ニュースでもパルムドールにはまったく触れず、“日本勢二冠!”ばかり(『怪物』の独立賞クイアパルムも含むと“三冠”)。ホントにこういうところから外国映画の魅力を伝えるべく、認識を変えて行かないと、“邦高洋低”の状況は進行するばかりなのでは…と心配になってしまいます。

カンヌ絡みの話はこれくらいにして、ザジの一週間。先週の当通信では触れられなかったのですが、カンヌ期間中の5月19日に、ザジの新たな配給作品、8月公開の『オオカミの家』の情報が解禁になりました。南米チリのレオン&コシーニャ監督による、“ホラー・フェアリーテール”とも言うべきストップモーション・アニメで、2019年の第6回新千歳空港国際アニメーション映画祭で本邦初上映され話題となり、正式劇場公開が望まれていた作品です。

塚本陽氏デザインによる、監督も絶賛の日本オリジナル・ビジュアル

なぜこの作品を配給するに至ったかというと、長年うちで配給しているルネ・ラルー監督の『ファンタスティック・プラネット』のパッケージをリリースして下さっているWOWOWプラスのYさんからのサジェスチョン。「『ファンタスティック~』の流れで、ザジさんが『オオカミの家』を配給したら面白いんじゃないか?」と、アメリカで既に発売されていたDVDを貸して下さったのが始まりです。早速観せて頂くと、これがまあ禍々しくて気味の悪いことこの上ない(笑)。これはスゲーッ!ってことで、プロデューサーと直接交渉を開始し、劇場さんにもお話させて頂いて、トントン拍子に公開が決まりました。

その時点で『ミッドサマー』のアリ・アスター監督が本作に心酔して、次回作の短編『骨』をプロデュースした、という情報を得ていましたが、その『骨』が、『オオカミの家』のメイン上映館となるシアター・イメージフォーラム主催の“イメージフォーラム・フェスティバル”で上映される、という幸運な偶然も重なり、上映時に鑑賞。「どうせだったらこれもくっつけて上映しちゃいましょう」ってことで、追加で交渉し(別のプロデューサーでした)、こちらも上手く話がまとまり、同時上映が実現することになったのでした。

ザジでアニメを配給するのは、前述の『ファンタスティック・プラネット』以来、ということになりますが、2021年5月に何度目かの再公開をした際の当通信に、『ファンタスティック~』とザジの関りを詳しく書いているので、ご興味おありの方はお読み頂ければ幸いです。

2000年に“ファンタスティック・アニメコレクション”と銘打って特集上映した際のパンフレット

ザジで現在配給しているアニメ作品は『ファンタスティック・プラネット』の他にも、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の『アリス』がありますが、アリ・アスター監督は「『オオカミの家』のレオン&コシーニャ監督は、ヤン・シュヴァンクマイエル監督とクエイ兄弟の後継者だ」とコメント
しています。実はWOWOWプラスから発売されているクエイ兄弟のブルーレイ『ブラザース・クエイ短編作品集』の買付けのお手伝いもさせて頂いているので、『オオカミの家』をザジが配給するのは“必然”だったのかもしれません。

…などと分かったようなことを言ってみても、アニメーションに関して、私を含めザジのスタッフは素人。WOWOWプラスのYさんや、新千歳空港アニメーション映画祭の元ディレクターDさん、詳しい皆さんにお知恵を借りながら、8月の公開に向けて頑張ります!

texte de Daisuke SHIMURA


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