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Histoire De Zazie Films 連載②    ひとりで生きる あるいは、初めの一歩はシネマテン。

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苦難の道の始まりです。思いがけず1人創業することになってしまったわけですが、全くの未経験者ではないにしろ、買付けにしても配給にしても、見聞きしていただけで実際自分がやったことなどありません。買付けのノウハウを、第一線で買付けをして世界中を飛び回っていたHから学びながら、少しずつ覚えていったのでした。
当時の仕事の中心は、レンタルビデオ店に並ぶ劇場未公開作品の買付けエージェント業務。劇場配給業務を始める、会社としての資金力はまだまだありませんでした。初めて買付けした作品は、90年にSPOさんからリリースして頂いたオーストラリアのテレビム―ビー「サンシャイン・ロード」、ジャック・ルーフィオ監督のフランス映画「レッド・オーケストラ」…って、ご存知の方は果たしていらっしゃるだろうか…。

92年に「レンタルビデオ向けにどうだろう?」と買付けを進めた作品『アフター・ダーク』。ジム・トンプソン原作、ジェームズ・フォリー監督によるフィルムノワールです。この作品が結果的に第一回配給作品になったのは半ば偶然で、どのビデオ会社も「劇場未公開でリリースするには地味過ぎる」と二の足を踏んだので、「じゃあ公開しよう」と決断したのでした。
配給宣伝のノウハウは、ほぼ皆無。上映は当時レイトショー興行を行っていた六本木の俳優座シネマテンさんにお願いして引き受けて頂きました。宣伝を担当したのは、今や映画サイトの運営を経て、宣伝配給を手掛ける会社の社長。
興行成績的には地味なデビューとなりましたが、自分がほれ込んだ作品が大きなスクリーンで上映され、それを観に来てくださるお客様を目の当たりにし、意義深い始めの一歩となったのでした。

続いて「提供」という形でかかわったのが、レンタルビデオで既に発売になっていたロバート・アルトマン監督の『ストリーマーズ ある兵士の物語』。劇場公開しないのは勿体ない!と、まだまだ少ない人脈の中で働きかけ、同じ頃アルトマンの『M★A★S★H』、『ロング・グッドバイ』のリバイバルを検討していた日本ヘラルド映画さんに特集上映の3本目に加えて頂き、新宿シネマカリテで公開することが出来ました。“レトロスペクティブvol.1”と銘打っていますが、残念ながら興行は振るわず、vol.2の開催には至りませんでした(後年、他社さんが『ナッシュビル』の再公開を実現させてくれましたが)。
ところで、『ストリーマーズ ある兵士の物語』のパブリティを手伝ってくださったのは、近年名だたる映画賞を受賞し、大きなヒットとなった某韓国映画を配給した某独立系配給会社さん。当時設立間もないその某社さんも、まだ社員はおらず1人でやっていた時代です。


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