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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【6月14日㈬~6月20日㈫】

先々週の当通信でも触れましたが、カンヌから戻って以来、ここには決して書けない仕事上のトラブルの処理や、新規の買付け交渉で、引き続き気分が上がったり下がったり、(精神的に)大忙しな日々でしたが、ここへ来てようやく落ち着いてきました。トラブルも何とか収束の目途が立ち、新規の買付けのほうは交渉中だった2作品、両方ともほぼ合意に達しました。これでザジフィルムズ、来年の配給新作のLINE UPはある程度固まりました。皆様に詳細をお知らせ出来るのは当分先になってしまいますが、1989年10月の会社設立以来35年目となる2024年も、なかなか面白い作品を取り揃えられたのではないか?と自負しています。早くお教えしたいッ!

気持ち的にちょっと落ち着いてきたので、週末は他社さんの映画を観に映画館に行く精神的余裕も生まれ(笑)、土曜日はヒューマントラストシネマ有楽町『青いカフタンの仕立て屋』を鑑賞。配給元の方々が立ち会っていたので、駆け寄ってご挨拶しました。…が、先方のお二人は「この人、誰?」という冷めた反応。ランウェアにキャップ、マスク姿の怪しげな格好だったので私とは気づかなかったみたい。慌てて自分から名乗らせて頂き、ようやく認識してもらえました。ホッ。

同じ監督の前作『モロッコ、彼女たちの朝』も、本作も良い映画です!

前日の金曜が初日で、前日もきっと立ち会われたに違いないのですが、興行の本番は翌土曜から、という感じなので、2日続けて様子を見にいらっしゃったのでしょう。作品に対する愛情の深さを感じずにはいられません。昨今、席の埋まり具合はオンライで予約画面を見れば分かるので、ある程度数字を把握することは出来ますが、実際に劇場に足を運んで客層を自分の目で確かめないことには、宣伝がどんな客層に、どれだけ届いたのかは実感出来ないので、やっぱり“立ち会い”は大事だなぁ、と思います。

“初日立ち会い”に関しては、今までの当通信や、30年の歴史を振り返った連載“Histoire De Zazie Films”でも何度か触れてきた記憶がありますが、良い思い出、苦い思い出、いろいろあります。良い思い出は、もちろん作品がヒットした時、苦い思い出は作品がコケた時、なのは言うまでもありません。ちなみに私が一番辛かったのは宣伝を担当していた、他社さんの、とある作品の初日。共同出資という形で、4社だったか、5社だったかが参加した共同提供作品だったので、劇場周りにズラズラ~っと関係者が立ち並んで、どう見てもご来場下さったお客さんの数より、立ち会いしている関係者のほうが多い、という悪夢のような光景が繰り広げられました。あの時は一刻も早くその場から立ち去りたかった…。

そんな“悪夢のような光景”(笑)を回避するために取られた策、というワケではないですが、最近シネコンでの初日は、ワサワサと関係者がたむろって、お客様の邪魔にならないように“立ち会い”の人数制限をすることもある、と聞いています。しかし、興行形態が今後様変わりしていったとしてもフィジカルな“劇場興行“がある限り、初日立ち会い”の慣習は基本的には変わらないのではないでしょうか。毎週末、今日もどこかの劇場の前で、笑顔の花が咲いたり、お通夜のような雰囲気が漂ったり(怖っ!)。

『青いカフタンの仕立て屋』に話を戻しますと、私が観た土曜のお昼の回は、中年層の男女を中心に良い感じに席が埋まっていて好調なスタートを切った印象でした。で、私ここで大失敗。開映10分ほど前に席に着き(私のお気に入りは、前方の右のシマの後ろ目、通路側)、携帯なんぞをいじっていましたら、後方から高年齢の女性が「そこ、アタシの席」と、薄っすらと責め口調で、チケットを私の前に突き出して言ってきました。「えっ?」そんなはずは…と、そのチケットを見ると確かに私の座っている席の番号。私もポケットからチケットを出して確かめましたが、やっぱり同じ番号。「ほら」とオバサンに見せました。ダブルブッキング…っていうか、発券システムのトラブル?などと考えてたらオバサンが冷静に、「それ、明日のチケット…」。そうなんです。私、前の晩に土曜の席を確保したつもりが、日曜の席を取っていたのでした。前日でも発券出来ちゃうのね…。

負けを認め(笑)、すぐさま席を明け渡し、事情を説明しにチケット売り場に急ぎました。対応してくれた女性スタッフは、「ネットにも“席の変更は出来ない”旨書いてありますが…」と釘を刺しつつ、「今回は特別に…」と残り少なくなっていた空席の中から代替席を選ばせてくれました。ありがたや。マニュアル通りではない、血の通った対応!(ほめちぎり)

さて。早いもので今週末、6月24日㈯は渋谷シアター・イメージフォーラム“ジョン・カサヴェテス レトロスペクティブ リプリーズ”がスタート!もちろん“初日立ち会い”、初回11:00開映の『ラヴ・ストリームス』の入りに伺います。皆が笑顔で初日を迎えられますように…(※ トップ画像は、2016年9月に同劇場で公開した『ジャニス  リトル・ガール・ブルー』初日の風景。初回満席だったのでゲン担ぎに貼ってみました!)。

尚、先週もお伝えしましたが、TBSラジオの人気番組、ライムスター宇多丸さんの“アフター6ジャンクション”、通称“アトロク”で、今夜(6月21日)このあと20:00~から映画プロデューサーで編集者の松田広子さんをゲストにお迎えし、カサヴェテス映画の魅力を存分に語って頂くことになっております。聴き逃した方はradikoでもお聴きになれると思いますので、ぜひお聴き下さい!

texte de Daisuke SHIMURA






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