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キャンプ場ビジネス考察 -斑尾高原キャンピングパーク-

人気キャンプ場の収益構造やビジネスモデルを分析して儲かるキャンプ場に必要な要素を学ぼう、という趣旨で毎回ひとつのキャンプ場にフォーカスして売上構造を分析しています。今回もキャンプ場検索・予約サイト『なっぷ』が主催する『なっぷAWARD2019』からの人気キャンプ場シリーズ第4弾、東日本エリアの口コミ部門に選出された(まだらお)斑尾高原キャンピングパークです。

キャンプ場概要

所在地は長野県飯山市にある斑尾高原スキー場と同じで、夏場のスキー場活用施策として始まった経緯があります。運営は斑尾高原ホテルなど近隣のリゾートホテルも手掛ける株式会社アビラのようです。事業沿革としては少々複雑で、2005年に当時経営していた企業が多大な負債を抱え民事再生法を申請、その後投資会社が買取りアビラに営業権を譲渡し、更にアビラの株を2012年にスキーリゾート運営会社マックスアースが取得、事業再生のプロセスの中で夏場の売上増加施策としてジップラインを導入することとなり、おそらくジップラインを中心としてキャンプ場事業も始まったのではないかと推測しています。

前置きが長くなりましたが、キャンプ場としてはスキー場を活用しているので広大な敷地と複数にまたがる区画エリアがあり、ゲレンデごとに電源付きウッドデッキサイトとフリーサイトを擁しています。ドッグラン、温泉もありさながら自然のテーマパーク。キャンプ場も遊園地敷地内のホテルのような位置づけになるのかもしれません。

事業構造

キャンプ場は施設の一部であり、事業カテゴリは大きく分けてホテル事業、キャンプ場、アクティビティ、の3つから構成されているようです。ホテル事業は割愛して、キャンプ場とアクティビティについて見ていきます。

1.キャンプ場
スキー場を4月〜11月の間キャンプ場に転用しており、3つのエリアにそれぞれデッキサイト、電源付きサイト、フリーサイト、犬を放せる囲いのあるドグサイトが区画分けされています。場所によってはWiFiも使えるようです。
センターエリア、チロルエリア、サウスエリアで微妙に価格が異なりますがおおよその価格帯は以下の通り。
デッキサイト:1区画64㎡、4×4㎡ウッドデッキ、電源無し、最大7人
4200〜5800円/区画  
パワーデッキサイト:1区画64〜182㎡、4×4㎡ウッドデッキ、電源有り、WiFi有り、最大7人
5800〜8800円/区画
フリーサイト:1区画225㎡、ウッドデッキ・電源・Wifi無し、最大7人。テントは1張りまで
3200〜5800円/区画
ドッグサイト:木柵で囲まれておりリード無しで犬を放して過ごせるサイト
1区画144㎡、4×4㎡ウッドデッキ、電源有り、WiFi有り、最大7人
7800〜10500円/区画

2.アクティビティ
冬はスキー場なので、アクティビティもゲレンデやリフト等スキー場の設備を利用したものが多いです。インドアで出来るものも含めると合計30種類以上あり全てを記載できませんがジップライン、ラフティング、マウンテンバイクなどが人気ありそうです。
ジップライン:3800円/人 所要時間 2時間
ラフティング:6500円/人 所要時間 2時間
マウンテンバイク:2200円/時間〜、リフト券1200円〜

売上規模予測

キャンプ場の規模感についての情報が公式サイト、なっぷ等から拾えず個人ブログの記載に100区画以上という情報があったので、ひとまずそちらを元に試算していきたいと思います。

サイト区画数合計をざっくり120区画と仮定し、3つのエリアでの内訳を考えます。マップを見るとセンターエリアが一番充実してそうです。
センターエリア:デッキサイト、パワーデッキサイト、ドッグサイト
サウスエリア:デッキサイト、フリーサイト
チロルエリア:パワーデッキサイト、フリーサイト、日帰りサイト
サイト種別の内訳
デッキサイト:40
パワーデッキサイト:40
フリーサイト:30
ドッグサイト:10
これで考えていきます。

稼働期間は4月〜11月初旬までの約7ヶ月。デッキサイト、フリーサイトの稼働率を50%、パワーデッキサイトとドッグサイトを60%とします。平均単価はデッキサイト5,000円、パワーデッキサイト7,300円、フリーサイト4500円、ドッグサイト9,150円。

デッキサイト売上 5,000×40×(30×7×0.5)=2,100万円
パワーデッキサイト売上 7300×40×(30×7×0.6)=3,679万円
フリーサイト売上 4500×30×(30×7×0.5)=1,418万円
ドッグサイト売上 9150×10×(30×7×0.6)=1,153万円
※1万円以下四捨五入
年間売上合計=8,350万円

単価1万円以上の売上が見込めるグランピングやキャビンが無いので若干少ない印象でした。

続いてアクティビティの売上予測ですが、情報が少ないため根拠のある試算をするのも難しく、無理やり算出するためにキャンプ場の1日平均利用者のうち20%が何らかのアクティビティを利用すると仮定してみます。
1グループの平均人数を2.5人として稼働数/区画数で1日の来場者数を計算すると165人/日。1日のアクティビティ利用者数を33人とし、アクティビティ平均単価を4,000円とします。稼働期間7ヶ月で計算してみます。
33×4,000×210=2,772万円
その他諸々のアクティビティもありますので完全に想像の域ではありますが、少なくとも年間3,000万円以上の売上はあるのではないでしょうか。

合計するとキャンプ場事業での年間売上は少なく見積もって1億1,350万円。
確実にこれ以上あると思いますが如何せんすぐに当たれるデータからの予測としてこうなりました。

まとめ: 斑尾高原キャンピングパークのここが凄い

インスタ映えや数年来流行っているグランピングといった旬な要素は取り入れず、純粋にアウトドアの楽しさを追求したコンテンツ力と、それを可能にしているスキー場という下地が人気に繋がっていると考えられます。ワールドビジネスサテライトの記事にある通りジップラインの導入後急激に来客数が増えたようで、持ち込みテントがメインのキャンプ場として勝負する場合、アクティビティは集客・売上げアップ共に取り入れたい要素ですね。

参照:
http://www.madarao.jp/camp
http://www.kitashinano.com/archive/2012/08/2012_08_04.html
https://www.macearthgroup.jp/saisei/
https://lovely-lovely.net/business/madarao



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