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キャンプ場ビジネス考察 - THE FARM(ザ・ファーム)-

人気キャンプ場の収益構造やビジネスモデルを分析して儲かるキャンプ場に必要な要素を学ぼうという趣旨で毎回ひとつのキャンプ場にフォーカスしていきたいと思っています。今回は日本最大級のキャンプ場検索・予約サイト『なっぷ』が主催する『なっぷAWARD2019』予約部門1位にも選出された千葉のTHE FARM(ザ・ファーム)です。

目次
・キャンプ場概要
・事業構造
・売上規模予測
・まとめ: THE FARM のここが凄い

THE FARM(ザ・ファーム) 概要

2010年に会員制農園として始まり、その後2014年あたりから来場者向けの宿泊施設を充実させる戦略に事業の舵を切り、当時流行りはじめていたグランピングのコンセプトを取り入れたキャンプサイトの開発に着手。と同時に滞在者向けアクティビティとしてジップライン設備を増設。ハードとソフトの充実で関東を代表するグランピング施設として人気を博しています。

事業構造

THE FARM の事業は大きく分けて4つの構造になっています。
1. 会員制農園
2. 飲食(カフェ・BBQ)
3. キャンプ場
4. アクティビティ


1.会員制農園
年会費制で農地区画をシェアすることができますが、ただ借りるだけでなく常駐するインストラクターの手ほどきを受けながら農作物作りを学ぶことができます。農地の管理や収穫物の配送もお願いできるようなので、忙しくて頻繁に行けないという方でも気軽に自分の農地を持てる点が会員登録のハードルを下げてそうですね。年会費は8万8000円/区画。 

2. 飲食(カフェ・BBQ)
農園で作られた野菜を使ったメニューを提供するカフェと、食材や設備の準備が必要ない手ぶらBBQサービスを展開。カフェはコース3000円〜や貸し切りパーティプランもあり、BBQの方は定番のお肉中心コースだけでなくジビエやダッチオーブンで作るビーフシチューなどバラエティに富んでます。料金は利用料1000円/人〜に食事コース2800円/人。

3. キャンプ場
THE FARM のキャンプサイトには3種類あります。
グランピング… ウッドデッキ上に様々なコンセプトのテントが備え付けてあり、家具やベッドは写真映え間違いなしのラグジュアリー仕様ですね。選べるテントサイトは全7種類、その中でも特に豪華なスイート・ルームが1つあります。料金は大人2名で26,600円〜44,000円(季節変動あり)
コテージ… 全17棟。素泊まりから2食付き、BBQプランなど複数プランあり。小川が流れるエリア、遊具やボルダリング設備付きコテージ、木々に囲まれた隠れ家エリアなどから選べます。大人2名16,000円〜38,000円(季節変動あり)。 
持ち込みテントサイト… 区画で分けられたいわゆるテントサイト。1区画あたり面積は120平米と240平米があります。テントのレンタルもあり手ぶらでの利用も可能で食事付きプランもあります。120平米の素泊まりプランでの利用料は7,000円〜/区画。定員は4,6名と区画によって決まっており追加は大人1名2000円。

4. アクティビティ
ジップライン、カヌーと体を動かすものと野菜収穫体験、ブッシュクラフト、各種工作と小さな子供でも参加できるものがあります。料金はジップライン大人1,000円/人、カヌー5,800円/人(共に滞在者価格)、工作系は1000円〜/人。

それぞれの事業は組み合わて楽しむことができますし、互いにシナジーがあります。日帰りと宿泊客、どちらのニーズも満たすバランスの良い事業内容ですね。

売上規模予測

複数事業部門があり、キャンプエリアの棟数・区画数で正確な数字を取得できないのですが、ネット上の記事から拾える範囲で計算してみました。

会員制農園… 年間3万人が利用しているという公式サイトに記載があります。4人家族が1区画をシェアしていると仮定すると、
88,000×7,500= 6億6,000万円
キャンプ場… グランピングテントは公式サイトに数の記載がありませんが、26棟と記載のあるblogを見つけたのでそちらを利用、コテージは17棟。平均宿泊単価をグランピング3万5,000円、コテージ2万7,000円とし、年間稼働率をかなりコンサバティブな数字ですがオートキャンプ協会が出している白書の数字を使い16.5%で計算すると、
35,000×26×(365×0.165)≒ 5480万円
27,000×17×(365×0.165)≒ 2764万円
合計すると8,244万円 になるのですが流石にもっとあるでしょうね。稼働率を60%で計算し直すと3億ちょっとになります。持ち込みテントサイトは区画数の明記がないためこちらの方は割愛します。
ここに飲食部門とアクティビティが加わりますので年間の売上は10億以上になりそうです。

まとめ: THE FARM のここが凄い

10ヘクタールの広大な土地に農園、カフェ・BBQ、キャンプ場、アクティビティがあり、さながら自然のテーマパークといった様相を呈しています。同じく千葉浦安にある日本を代表する遊園地を彷彿とさせる、というと言い過ぎでしょうか?笑 そのくらい満足度の高い外遊びができそうです。

冒頭に書いた通りTHE FARMの沿革としては会員制農園からスタートして自然や外遊びに興味ある会員を獲得、それから関連多角化しキャンプ場とアクティビティの開発へと進化させました。顧客を掴んでからの事業拡大なんですね。設備投資もなかなかの規模になりそうですが、その際にファンドからの出資を仰ぎ、アクティビティ開発でも協力会社とのパートナーシップを締結しています。

事業のコンセプトを武田代表取締役はこう話しています。

「農ある暮らしをすべての人に」をコンセプトとして掲げ、収穫体験やカフェなど単体事業ではなく、農業の風景がある中での「暮らし」そのものを提供する仕組みの構築を目指します。

参考:
https://www.thefarm.jp/index.html
http://www.a-five-j.co.jp/investment/case8.html

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