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やさしいマインドフルネス瞑想その2:歩く瞑想

座って行うものだけではなく、瞑想には色々と種類があります。今回は「歩く瞑想」をやってみることにします。

歩く瞑想のことを仏教では経行きんひんと言います。

経行 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E8%A1%8C

宗派によって細かい所に違いはあるようですが、「ゆっくり歩いて感覚を得る」という点では共通しています。大谷彰著『マインドフルネス入門講義』ではこれを「マインドフル・ウォーキング」と解説しています(単なる歩行よりもうつ病に効果がある、という研究もあるようです)。今回は、これを簡単にやってみようと思います。

さて、「歩く瞑想」と言っても、やることは前回とそんなに変わりません。前回と同じく、評価や判断無しに、自分の中で起こることを丁寧に感覚していって下さい。身体が動く感覚がありますし、呼吸の感覚もあるでしょう。
瞑想とは心の動かし方のトレーニングだということを思い出して下さい。ですので、「どのようなフォームで歩けば良いか」なんてことは特に気にしなくて結構です。とはいえ一つだけアドバイスすると、

「出来るだけスローモーションで歩く」

ということを心がけて下さい。というか、じっくりじっくり歩行の感覚を味わって行こうとすれば、自ずとそうなります。私の場合は自然と太極拳に似たような動きになりますが、これはあくまで私の場合です。あなたの好きなように歩いて下さい。(人それぞれ骨格のバランスは違いますし、運動経験も人それぞれですから、みんなが強引に同じフォームにするというのは時に有害ですらあります。)

決して無理はしないで下さい。痛みを我慢したり、無理な緊張体勢を維持し続けないで下さい。瞑想で怪我をしていたら元も子もありません。(達摩大師が坐禅のやりすぎで脚を失ったというのは後世の創作です。)瞑想に苦痛は要らない、ということは前回も書いた通りです。

実際やってみよう

では実際やってみましょう。スローモーション歩きをしても許されるような場所で行って下さい。つまり、街中の公道はやめて下さい。危ないし邪魔になります。ボール等が飛んでくると危ないので、公園なども避けた方が無難です。自室や自宅の廊下など、「邪魔されず、邪魔しない場所」がベストです。スタスタ歩くわけではないのでそんなに広くなくてもいいですが、万が一転んでしまった時のために周囲の物には気をつけて下さい。

歩くわけですから、目は開けた状態にして適当にまばたきして下さい。このテキストを読みながらで構いません。(つまり歩きスマホです! なので自宅でも油断しないで下さい。一文読んだら周囲を見て下さい。画面を注視しっぱなしだと、感じ取ることがおろそかになります。)

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.....じっくりと歩き始めます。片足を少し前に出すだけでも、いろんな関節が角度を変えていきます。いろんな筋肉がテンションを調節していきます。その様子をじっくり感じ取って下さい。あなたができるペースで構いません。前足を動かすだけで、後ろ足にも影響があります。その様子をじっくり感じ取って下さい。急がなくても大丈夫です。時間をかけても大丈夫です。

身体が自然とバランスを調整しているのを感じ取って下さい。この作用は普段は完全に無意識で行っていることです。呼吸の感覚と同じく、普段は全く見過ごしている感覚です。この機会にしっかりと感じ取って下さい。そのようにして、じわりじわりと歩みを進めて行って下さい。

いろんな感覚があります。いろんな考えが起こっても、それはそれ、これはこれ。良いとか悪いとか、そういう話ではないのです。あなたの身体がそのように情報処理を行なった、それに良いも悪いもないのです。

歩いている時には、実は上半身も動いています。頭の位置を調整するために背骨が動いたりしています。腕を自然に任せて動作させると、身体の動きに合わせていい感じに重心を管理していることに気づくでしょう。それらの感覚をじっくり感じ取って下さい。

方向転換すると面白いですよ! あなたは普段どっちの足を出して曲がっているんでしょうか? そんなことは考えたことが無かったはずです。あなたが生きている間、そのような意思決定は無意識かつ即座に行われてきたことです。ただ知らないだけで、身体が常に行なってきたことです。この機会によく感じ取って下さい。

そんな調子でしばらく歩みを進めて行って下さい。慣れてくると雑念が生じますし、周りの音が気になってきたとしても不思議ではありません。けどそれは、人間の身体に備わった自然な作用です。良いも悪いもないのです。

どこかに痛みがあれば、決して無理しないで下さい。心地よい感覚が生まれたら、堂々とそれに浸って下さい。

....ひと通り歩いて満足したら、終了して結構です。お疲れ様でした。

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次回はまた、瞑想の大事な考え方について書いていく予定です。

今回の参考文献:


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