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走馬灯って本当にあるのね。
ささくれた畳に倒れながら思った。
鏡台に座る母の横で煙草を燻らす父はまだ若く、走り回るシロも元気いっぱいだ。5年前に亡くなった夫の肩の先に子供達と行った海の碧がみえる。
長女は就職で地元を離れ、
嫁と折り合いが悪いので、長男が顔を出すこともない。
だからこうして古い団地で一人死んでいくわけだけれど、でもまあ悪くない人生だったわ。
午後にはヘルパーさんがくるから、そんなに時間もたたずに見つけてもらえるだろう。
よかった、よかった。
ゆっくりと暗転していく。
『はーい、どうでしたかー』
VRのゴーグルを外すと、黒スーツの男の気遣わしげな顔がみえた。
『あの、これファーストクラスですよね?』
『あ、もしかしてファーストクラスにしては、しょぼい人生だったとか思ってます?』
『ええ、正直』
『まあ悪くない人生だった、と思えたら全てファーストクラスなんです』
臨終体験
ファーストクラス 76歳 女性
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(410字)
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