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【ss】誕生日 #シロクマ文芸部

「誕生日おめでとうございます!」

出社早々、そう言うと後輩の西山君は私の鼻にバターをたっぷり塗り付けた。

「カナダでは鼻にバターを塗ってお祝いするんですよ、これで1年間悪い事は起こりません!」

「あ、ありがとう……」

「実は高校の間だけ、カナダにいたんです」

西山君はいい大学を出ている割に言葉を知らないと思っていた。先日も若干名をワカボシナと読み、Web会議のチャット上に???が並んだのだ。ただ、帰国子女であることが西山君の語彙力に関係あるのかどうかは分からない。

「なるほど、だから西山君の英語はキレイなんだね」

西山君はピカピカの笑顔で「はい!」と答えた。

「ところで、このバターいつまで付けたままでいればいいのかな?」

いつもおしゃべりな西山君だけど、こんな時だけ答えてくれない。
しばらく鼻にバターをのせたまま仕事をし、西山君の目を盗んでそっと拭った。

誕生日を大事にする主義の西山君が会う人会う人に言ったので、誕プレと称した菓子や飲み物をいくつか貰った。鼻からは一日中バターの匂いがした。

しっかり残業までこなし、コンビニ弁当を買って家路に着く。まだ少しベタつく鼻を擦りながら、今年は、そう悪くない誕生日だったなと思った。


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ちょっと遅れました!

何も思いつかず、前作(ごはん杖)の西山君に登場してもらいました。

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