レイヤードな崩しを体現するsacai
今回のお話
ファッションは好きですか?
最近服のデザインに興味があり、様々なブランドを見たり時には店舗に行き触れたりしています。
様々なハイブランドがある中で世界的に評価されるものには、日本人がデザイナーをやっているものが多くあります。
KENZOやヨウジヤマモトを始めとしてドメスティックブランドにも多様なデザイナーが存在しています。
その中でも一際、カッコいいと感じているのがsacaiです。
今回は、sacaiの20-21AW(秋冬)コレクションを見ながら、ファッションについて考えていきましょう。
https://www.wwdjapan.com/articles/1050402
レイヤードな崩し
sacaiは、阿部千登勢さんがデザインを行うブランドでコンセプトは、「日常の上に成り立つデザイン」です。
スタンダードなデザインに、異なる素材をミックスしたり、シルエットをずらすなど様々な「崩し」を入れることで新しいスタンダードを築いています。
例えば、こちらは21awのショーピースですが、一見するとワンピースの上にジャケットを羽織っているように見えますが、一体化されており素材が切り替わっているのです。
しかし、素材の切り換えが上手く融けているようにも見えますよね。
その他にもニットにシャツが切り換えで入っていたり、MA-1とニットが融合しているものもあります。
そういったレイヤードな崩しがすごいと個人的に感じます。
個人的解釈ですが、スタンダードなデザインというのは歴史がレイヤードされているものです。
例えば、トレンチコートであれば元々はミリタリー発進のため、意味性のないデザインは存在しません。
肩の紐も勲章を付けるためですし、色も砂と同色だったり、腹回りをしばるベルトも手榴弾など武器を携行するためのものであったりなど、機能性の塊です。
それが、ファッションに降りてきてデザインとして利用されていく。
意味と機能という歴史的なものを把握した上で、そこにデザイナー自身の哲学を載せていく。
つまり、レイヤードしていくというのがコンセプトとしての新規性であり、崩しの一つの要因でもあると考えています。
丈を短くしたり、長くしたり、異なる素材をミックスしたりなども計算で煮詰めたものと直感的なもののハイブリッドなのだろうと推測します。
まさに機能性と意味性をレイヤードした崩しになっています。
日常の上に成り立つとは
我々も普段仕事、遊びなど様々なシーンにおいてTPOや気分に合わせて服装を変えています
シャツやブラウス、ニットにセーター、ジャケットにコート、スラックスにジーンズと多種多様なデザインの服をレイヤードして着ています。
そういった日常に対して、素材をあえて異なるものにしたり、シルエットを崩すことで日常の中の非日常であったり、違和感をレイヤードしています。
崩すということは一歩間違えれば、限りなく意味性を失うハイリスクなものだと思います。
カッコいいのは崩しですが、カッコ悪いのはデタラメなんて呼ばれたりもしますよね。
単にシルエットを変えたり、異なる素材を組み合わせるだけでは、単なるガチャつきになってしまうのでsacaiにとっての崩しは、常にそういったリスクを取ってでも挑戦していくといった気概のようなものを感じさせてくれます。
一歩間違うとダメになってしまう崩しに果敢に挑戦し、日常の上に+1のレイヤーを載せてくれるのがこのデザインなんだろうと解釈します
最後に
こんなに書いておきながら一着も持っていないのですが、2020年内に一着は手に入れたいなと思っています。
挑戦していく。様々な失敗をレイヤードして成長の年にしたいなと思っている最中にこのようなデザインと出会えたのはいい出会いだと感じています。
これまでそれほど服というデザインに対して無頓着でしたが、少しずつ知るようになって服の中にある意味性や機能性とのバランス、デザイナーの哲学にもっと触れていきたいなと思いました。
信念や信条を体現するような服装をしていきたいなと。
それでは、また。
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