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【考察】氏について

昨今、夫婦別姓制度の議論が活発です。夫婦別氏制度というのが正確な表現ですが、この議論を見ていて気になった氏について考察してみました。

氏制度の歴史は思っている以上に浅く明治に始まりました。いまから151年前の1870年に太政官布告によって一般に氏の使用が認められ、その5年後の1875年の太政官布告によって氏の使用が義務化されました。

氏を戸籍に登録する際には、新たに氏を作った人もいるそうです。例えば、木戸孝允は32歳のときに藩主から賜った木戸という氏を登録していますし、与謝野鉄幹の父は故郷の地名から与謝野という氏を登録しています。

また、氏名を日常的な呼称として考えてみましょう。日常的に他人からなんと呼ばれるかは戸籍に登録している氏名と必ずしも一致している必要はありません。

作家がペンネームを、芸能人が芸名を使っているように、仕事の場面を含めた日常生活で戸籍に登録している氏名を使用しなければならない必要はあまりありません。

戸籍に登録している氏名が必要になるのは、行政・司法手続そしてそれに関連する金融・財産関係手続きのためだと思われます。多様性を確保するために必要なのは夫婦別氏制度ではなく、戸籍に登録している氏名を不必要に求めない社会環境づくりなのかもしれません。

もちろん、実際には戸籍上の氏名を求められるやむを得ない手続は多く存在します。氏というのはあくまでも戸籍上の呼称であり登記のようなものと捉えると、あまり戸籍上の手続に固執する必要はないのかもしれません。時と場合に応じてさまざまな名前を使い分けるのも良いかもしれません。

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