スケールアップとスケールアウト

システムを設計するには、システムの性能や必要となる資源(リソース)などの性能要件を検討します
この性能要件は、現状の最大負荷だけでなく、将来予測される最大負荷も考慮する必要があります。
このためコンピュータシステムは、必要に応じて拡張可能であることが望まれます。
この記事では、コンピュータシステムの拡張性を向上させる方法として、スケールアップとスケールアウトについて解説します。

スケールアップとは?

スケールアップは、単一のコンピュータに対してリソースを追加することで、システムを拡張する方法です。たとえば、CPU、メモリ、ストレージ容量などのハードウェアを追加することができます。また、ソフトウェアレベルでも、OSやアプリケーションをアップグレードすることで拡張することができます。
スケールアップの主なメリットは、管理の容易さとシステムの安定性です。単一のサーバを管理するだけで済み、システムの統合性が高く、システムが安定しているため、システム全体のパフォーマンスが向上することが期待できます。
一方、スケールアップのデメリットは、拡張可能性に限界があることです。コンピュータに追加できるリソースは物理的に制限されており、限界があるため、スケールアップには高いコストがかかる場合があります。また、サーバをダウンタイムなしで拡張することができないため、スケールアップは、稼働中のシステムを中断する必要がある場合があります。

スケールアウトとは?

スケールアウトとは、より多数のコンピュータを使用することで性能を向上させる手法です。この手法は、スケールアップに比べて、より柔軟性があり、コスト効率が高いとされています。
スケールアウトでは、複数のコンピュータをクラスター化し、負荷を分散させることで性能を向上させます。クラスター内の各コンピュータは、同じアプリケーションやタスクを処理することができます。クラスターには、負荷分散用のロードバランサーや、クラスター内でデータを共有するための共有ファイルシステムなどが必要になります。
スケールアウトには、いくつかのメリットがあります。まず、コンピュータを増やすことで、システム全体の負荷を分散させることができるため、単一のコンピュータに比べてスケーラビリティが高くなります。また、クラスター内のコンピュータが故障した場合でも、他のコンピュータが処理を引き継ぐことができるため、可用性が高くなります。
ただし、スケールアウトにもいくつかのデメリットがあります。例えば、クラスター内のコンピュータ同士が通信しなければならないため、ネットワークの帯域幅がボトルネックとなる場合があります。また、複数のコンピュータを管理するための運用コストがかかる場合があります。

まとめ

  • スケールアップ:単一のコンピュータに対してリソースを追加する

  • スケールアウト:より多数のコンピュータを使用する

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