シン3歳児の憂鬱。
『3歳児の作品』。
ついに、改稿および編集が終わりそうだ。
しかし、未だにパパがうろついている。パパの視線を掻い潜り、完成に持っていく必要がある。
必ず、やり遂げる。
では、とくとご覧あれ。
憂鬱① コーラについて
「コーラを飲むのは、大人になってから」
僕は、ママによく言われている。
どうやらコーラは、大人のニガニガ(ビール)に分類される飲み物らしい。そこで、僕はコーラについて調べてみた。
コーラとは、炭酸ガスとジンや砂糖、酸味料、カフェインなどで作られる人気のソフトドリンクだそうだ。
また、コーラに入っているカフェインはいたずらな気分にさせる効果もあるらしい。
つまり、ママは僕のイタズラを予防するため飲めないことにしているのか?
いや、そうに違い無い。
その証拠に好んで飲んでいるパパはイタズラ好きだ。間違いなくママは、僕にイタズラをさせないためにあんな事を言っているんだ。
そうに違いない。
僕は、パパと違ってイタズラをしたことが無いのにとても心外だ。
でも、おかしなことがある。
ママは、大人のパパにもコーラを飲んではいけないと言っている。
これは、どういうことなんだろうか?
パパのイタズラが過ぎるからなのか?
それとも、大人も飲めないのか?
よくわからない。
さらに、ママはパパに
「コーラは糖分が多いから飲んではいけません」
とも言っている。
これは、一体どういうことなんだろうか?
もし、ママが言っていることが正しいのならば、子供の僕も大人のパパもコーラを飲めないことになる。
よくわからない。
僕は、誰がコーラを飲めるのか?
その答えを教わりたいと思っている。
【5歳児の評価】
無知の極み。許し難き無能。
パパが飲めないのは、パパが肥大化を続けているからだ。ママは、僕の肥大化を防ぐために禁じているだけだというのに。
イタズラ?断じて行っていない!断じてだ!
憂鬱② チョコレートについて
チョコレート。
それは、柔らかく、甘い、そしてヘルシーな食べ物である。古い文献には、16世紀半ばにイタリアで発見され、世界中に浸透したとも記されていた。
しかし、僕はまだそれを知らない。
なぜなら僕はママたちから、チョコレートを食すとある禁忌に触れると伝えられているからだ。
いけない!
プライベートな話だった。
チョコレートの話に戻そう!
チョコレートの主な原料はカ!カ!オ!ご飯にかけるオ!カ!カ!ではない。
カ!カ!オ!だ!
オカカなら僕も知っている。よくテイスティングしてるからだ。
また、話が逸れてしまった。
チョコレートの話に戻そう!
チョコレートの作り方は、細かな破砕!抽出!研削!粉末化!そして、ミルク!
さらに、砂糖、バターやナッツなどを混ぜて作られているという。
また、チョコレートには幸福な気持ちを高めるカカオリリックアミンが含まれている。
なるほど!確かに僕は幸福だ!
"かかおりりっくあーまー"を纏っているからに違いない!
ん?おっと、いけない。いけない。
また、話が逸れてしまった。
チョコレートの話に戻そう!
チョコレートには、アンテイネートなどのアンティックス、ミネラルなどの物質も含まれていて、健康の効果を持っているとされている。
わかったかな?キミたち。
"あいあんまーん"とか"あんでぃー"とか"みねはる"とかが、僕たちの健康を守ってくれるんだよ!
チョコレートは、お医者さんだったのだよ!知っていたかね!
いけない!
またしても話が逸れてしまった。
チョコレートの話に戻そう!
そう言えば、今日のデザートはチョコレートだと聞いた。
え?パパの?僕のは?
え?僕はダメ?大人のニガニガだから?
こうやって大人たちは日々、僕を騙し続ける。僕が日々、研鑽を積んでいることも知らずに。
だから、今日も叫ぶのだ。
「おやつ!ちょーーーーだい!!」
【5歳児の評価】
なんと思慮浅き文面。凍えそうな言葉の数々。
チョコレートは大量に摂取する物にあらず、嗜む物である。
なに?パパが大量に?そのような事は知らない。
憂鬱③ お風呂の遺憾
「お風呂は、日常において重要な役割を果たしている。なぜなら、お風呂にはストレスを和らげる効果があるからだ」
そんな常套句に踊らされて、僕の日常にもお風呂の予定が組み込まれている。
全くもって遺憾である!僕にはすぐさま意を表明できる準備が整っている。
また、とある賢者はこうも言う。
「忙しい日々の中で、お風呂に浸かることで体の疲労や不調を軽減できる。そのため、定期的にお風呂を楽しんでいただきたいものだ」
そんな名前も知らない賢者に踊らされ、僕はまたお風呂に入る。
全くもって遺憾である!そろそろ、意を表明しなければならない!
さらに、その賢者はこう続けていた。
「お風呂には、家族の絆を深める場としても重要な役割を果たしている」
そんな美辞麗句を並べて、さぞ正当であるかのように表現してくる。
全くもって遺憾?いや、待てよ。
ママとの絆を深める場としては、悪くないかも知れない。
賢者の話は、まだ続いているようだ。遺憾ではあるが、耳を傾けてみようではないか。
「子供たちは、親と一緒にお風呂に入ると、親子間の関係が開かれ、楽しくコミュニケーションをとることができる」
なるほど。
お風呂は、ママと楽しくコミュニケーションを取る場だと考えれば、悪い話ではない。
そこで、僕はある事に気づいた。
謎の賢者は、つぶらな瞳でこっちを見ているではないか。
そして、彼は両手を広げ、口を開きはじめた。
「お風呂は、集まりの中での会話など、スペシャルでオーダーメイドな時間を演出することができるのだ!」
そう言うと、謎の賢者は僕との間合いを一気に縮めて、さらに続けた。
「さぁ!ともにお風呂に入ろうではないか!そして、オーダーメイドな時間を共有しよう」
僕は、その賢者の姿を改めてよく確認した。
パパだ!
これは非常に遺憾である!
躊躇なく意を表明しなければならない!
「さぁ!早く入ろうではないか」
これは緊急事態だ!一切の躊躇も許されない極限の状況!
ついに僕は渾身の力を込めて、意を表明した。
「ママと入る!!!!」
【5歳児の評価】
愚の骨頂。無能者の自覚すら感じられぬ。
とある賢者の存在を知らぬとは、世間知らずにも程がある。
周囲にうろつくパパには、最新の注意を払わなければならないというのに。
憂鬱④ 時間制限の策略
時々、僕はママとパパから時間制限を設けられる。
テレビを見る時間とかお着替えの時間なんかがよくある例だ。
そこで今日は、僕は時間制限について調べ、ママたちに本来あるべき姿を教えたいと思っている。
時間制限とは、特定の期間内にタスクを完了するための制約だと、"書"には記されてる。
さらに、この"書"よると、時間制限があることでタスクの優先順位を決めたり、効率的なスケジュールの消化に役立つとも記されている。
つまり、僕に時間制限を設けることにより、ママたちは何か怪しい計画を立てようしているのではないか?
なんと、悪辣な手腕!
断じて看過できない非常事態!!
"書"の続きに戻ろう。
時間制限は生産性を向上させる反面、ストレスやプレッシャーを引き起こす可能性があると記載されている。
なるほど。大人たちは、僕にストレスやプレッシャーを掛けて、怪しい計画の生産性を向上させようとしていると言うことか!
なんと、悪辣な手腕!
早急に対処しなければならない!!
そうだ!この"書"には何か対抗策が記されているかもしれない!!!
"書"の続きに戻ろう。
ストレスやプレッシャーが掛かる場合は、自分自身にリアルな目標を設定することで解決の糸口が掴めるであろう。
なるほど!目標を定めればいいのだな!
やはり、この"書"には有益な情報が記されている!!
"書"の続きに戻ろう。
目標設定に悩むなら、この"書"を記した"とある賢者"に問い合わせてみると良いだろう。
ん?どういうことだ?しかも、この挿絵は見覚えがあるが……。
両手を広げてこちらを見つめている姿だ。
僕は、すぐに作者の名前を確認した。
パパだ!!
その時、僕は微かな物音を聞いた。
そして、すかさず前を見た。
パパが、こちらを向いてヘッドスライディングをしている!
時間制限は効率的な作業を促す一方で、適切に扱わなければストレスや焦りを生み出すこともある。
気づけば、制限時間を過ぎている!
僕は、ストレスと焦りから思わず声をあげた。
お着替え手伝って!!
【5歳児の評価】
なんたる不覚。油断にも程がある。
最も警戒しなければならないのは、他ならぬパパだ。
しかし、"賢者"や"書"に記される事柄はどれも魅力的だ。3歳児レベルでは、看破できないのも無理はない。
おわりに
今回で、"3歳児の作品"の改稿および編集が終わった。未だ、パパがうろついているが、気付かれてはいないだろう。
……。
『4歳児の回顧録』
何だこれは?新たな文書ではないか。
またしても、パパの視線を掻い潜り編集を行う必要がある。
しかし、必ずやり遂げる。では、さらばだ。
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