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とつぜんの破裂音とともに きれつの入ったガラスの箱 オモイが詰まりすぎたかな 今はもう、スカスカだけど いまさらだけどお直ししよう かわいげのないOPPテープで かんだかい声をあげるテープが すきまを問答無用に埋めていく 歪なまま治されたガラスの箱が 光を乱反射してこっちを見てる きみはずっとこのままだけど ぼくの絆創膏はとれそうだよ
いつも答えを探している 穴に合う積み木を探して そっとはめこんでみる ここは四角 ここは三角 ここは丸……と思いきや楕円で 直前で必死に引き伸ばしてみる いつも答えを探している 心の部屋に帰ってきて やれやれと一息つく ここにも四角 あっちに三角 だけど手元にあるのはIだけ どちらの”わたし”が正しいの いつも答えを探している はまらない積み木を抱えて
イヤホンコードが絡まっている 絡ませた覚えなんてないのに ごちゃついた塊が ポケットから吐き出された はじまりはどこですか 3本の先端をつまんでみるも 干からびたパスタのよう おわりはどこですか くぐらせ、引っ張る間にも どんどん冷えて固まっていく もう熱麦でも取っちゃえば 見知らぬ声が囁いてくる 一瞬、残骸から手を離そうとして それでもしぶとくこねくり回している
なにかの拍子に 一粒の清涼剤が キャラメルの香りが 雨の前の雲が ドロドロしたマグマが ラッパと共に あるいは音もなく じわりじわりと あるいは急激に その部屋に現れたとき それを野放しにせず 刺激しないよう慎重に 赤子にするかのように 愛をもって包み込み 気づかれないうちに 中心にある「芯」を見つけ あるべき姿に仕立て直し その部屋から出してやって…… そしてそれを そっとあなたの前に差し出す
なにもないんだ なーんにも あると誇っていたのは ホットミルクの薄い膜 それもいつしか ぺたりと張り付いて取れない 干からびきった小さな壺に キラリと光るうるおいを 一滴ずつでも いつまでかかっても 仕上げに壊れたガラスを入れて とろ火でゆっくりかき混ぜれば なにかができるかな なにかになれるかな