きょうのクラフト・箸休め。

ちょっと、『きょうのクラフト』の息抜きというか、箸休め的な内容を今日は投下しますね。
某・放送局のアナウンサー風の話し方は今回封印して、自分の言葉で語ります。

まず話しておきたいのは、なぜ『木材加工にこだわるか』。これには幾つかの理由があって、順を追ってお話します。

僕、ふだんは大丈夫なのですが汗をかくと金属アレルギーが発動するのです。汗のない状態では平気でも、汗をかいて程なくすると金属の触れていた部分が赤くなり、痒くなる。せっかく気に入ったアクセサリーでも、夏の時期には躊躇ってしまう…
それを思ったとき、『もっとセンシティブな金属アレルギーの人はアクセサリーを身につけるにも大変だろうな…』と、そう考えたのです。

だから、金属アレルギーの人でも夏冬問わずに使えるアクセサリーを作りたい…それが、僕が木材加工のなかでアクセサリーにシフトしたきっかけでした。

もとより、木目の美しさに目を惹かれて木工をするようになっていた僕でしたが、それまでは個人的にDIYをする程度。もしくは、海岸で拾い集めてきた流木を加工してアクセサリーにするくらいでした。最初は、それでも良いと思いましたし『これなら、金属アレルギーの人でも使えそうかな?』くらいに考えていたのです。

流木も、磨きを重ねて蝋引きすれば深い艶や黒艶は出る。シックな装いのアクセサリー、それで良いと思ったのです。
しかしある時、パートナーにこの話をしたらこう言われました。
『金属アレルギーの人も、キラキラしたものを身につけたいことがあるんじゃない?』

確かに、そうです。僕が流木で作っていたアクセサリーは、茶色や黒などのダークカラーばかり。見栄えはそれなりにしますが、派手さや華やかさはない。それを思い知らされた時、僕はいろいろ考えました。サージカルステンレスの素材やチタン素材なら、金属アレルギーのリスクはかなり下げられる…
しかしその時の僕には、サージカルステンレスやチタンの素材を使ったアクセサリーという想定はほぼなくて、どんなデザインにしたら良いのか・また、どう組み合わせたら良いのか、全く案も浮かんではきませんでした。
いろんなハンドメイドアクセサリーのSNSや通販サイトを見たりしましたが、アレルギーフリーなものはパーツもこだわってあって高値、そこから考えるに初期投資がけっこう必要になるのと、作ったとしても費用回収をするには同じくらいの価格にしないと赤字は必至。売れなかった時には、ただただマイナス採算を増やすばかりでリスクが大きいように思えたのでした。

これじゃ、いかんと。

どうにか、初期投資を抑えてなるべくお値打ちにアレルギーフリーなアクセサリーを作れないかと試行錯誤し、たどり着いたのはパートナーが教えてくれたレジン細工。これなら作れるものも、作風の幅も、ほぼ無限大だと期待を寄せていました。しかしこれもレジン液はそれなりのお値段が必要になるのが分かったのと、『レジンアレルギー』という症状があることも分かり、完全に近いアレルギーフリーなアクセサリーにはなり得ないな…と、またしてもその扉は閉まりかけたのでした。

月日を重ね、僕はDIYを細々と続けていたある日。切れっ端の木目に目が留まりました。
それは、綺麗に流れるような木目。僕はその木目の美しさにほうっとため息をもらし、これをアクセサリーにしたいと鋸を握りました。
この木目を、胸元に飾りたい…‼︎その思いを元に、流木アクセサリーを作成していた時と同様の手順でトップを作り、アクセサリーにしたのでした。しかしやはり、最初から上手くはいかないもの。最初の作品のそれは磨きが足らず、なおのこと急拵えで作ったもので切り口も磨き傷もガタガタ。とはいえ蝋引きを行った表面は艶感もあり、キラキラとまではいかないものの綺麗な仕上がりにはなりました。

ただ、キラキラ華やかな感じではなく、この仕上がりで人に渡すのは躊躇われるレベル。
ここでもう一度、あのセリフ。

これじゃ、いかんと。

同じ素材で繰り返し、切り出しては磨きを繰り返していた際に、僕のパートナーとお揃いのアクセサリーを作りたいと…そしてそれは、いま自分のできる最高を作ろうと、そう考えるようになりました。その時に見つけたのが、またしてもDIYで切り出した材の切れっ端。その切れっ端は『これは、芯材の部分が切りづらく加工しにくいな…』と思って避けていた部分でした。そう、例のマツ材なのです。樹脂を多く含むその部分は、鋸で切るとすぐ目が詰まり切りづらい。そして、ペーパーがけするにもやはり同じように目が詰まりやすく、どうにも使いづらい。しかしもし、これが上手に使えるようになったら…?

そんなふうに考えて、角度をいろいろ変えつつ眺めていたその時でした。あることに気がついたのです。光の当たり方で色が変わり、芯材の周辺部分はゴールドに、また芯材部分は半透明のような風合いの飴色に変わる。
それまで僕が悩んでいた、『華やかさのある木材アクセサリー』という課題をクリアできそうな、そんな気がしたのです。

僕は、その材でパートナーとのお揃いアクセサリーをつくることにしました。幅のある材だったので、縦2つに切り、合わせた時に木目が繋がるように。他のものとは絶対に合わない、世界に1対のお揃いアクセサリーにできると、興奮気味に作り始めたのでした。
切るのも、磨くのも大変。だけどこればかりは、絶対に手抜きしたくない!絶対に、後悔したくない‼︎その想いを胸に、ひたすら磨きました。この時、僕は初めて『油引き』をしたのですが、その時には米油を使っていました。割と酸化しにくい、そのイメージがあったからでした。

完成したアクセサリーをパートナーに1つ、お渡ししました。とても喜んでくれて…今でも時々、いや、しっかり身につけてくれるのが僕にはすごく嬉しいのです。最近、艶感が足りなくなってきたのを修正するのと紐の付け直しをするため、現在は僕が預かっています。
預かった翌日には、意気揚々とその手直しは完了しておいたのですけれどね。

あまり出来ることの多くない僕ですが、その中で大切な人に喜んでもらえることができる。僕には、それが幸せです。大切な人の笑顔は、何ものにも代え難いですからね。

そして今は、さらにその木材加工の可能性を広げようと、木材のイメージや限界を越えようと、いろいろ想定して試行錯誤中。すでに、磨きの地獄行脚よろしく研磨の限界はある程度までは行きつき、木材っぽくない木材アクセサリー…プラスチックにすら見えるレベルまでは到達していますが、まだまだ!シンプルな形だけではなく、もちろんアレルギーフリーなアクセサリーとして、さらなる世界へ広がりを作りたいと、そう考えながら『地獄の磨き行脚』をすすめているところです。


…いやはや、だいぶん長くなってしまいました…もっと早く書き終えて、早く休むつもりでしたが…語り出すといけませんね、長くなるのは僕の悪いくせ。
ぶった斬り感のある締め方ですが、今日はこれにて。ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。

僕は、この記事の最後に、こう伝えておこうと思います。

『あなたの想像を、超えてみせます。』

さて…それでは、おやすみなさい。
また、そのうちに…☆

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