【code=190406_永久(とわ)の桜】

あれほど冷たく鋭かった風は
暖かく柔らかな息吹に変わり
いくつかの花の香りを纏って
心に温もりを届けてくれる

街のあちこちで桜が咲き誇り
華やぐ世界は楽しげに移ろう
笑顔が伝わり みんなが笑う
あの瞬間(とき)がもし
今も続いていたなら…


あの日君と見た桜が
今でも鮮やかに蘇る
君の肩にそっと乗った花びらは
今でも僕のお守りになっている

いくつもの日々と季節を越えて
離してしまった君の温かい手
この季節にだけは なんだか
その温度が戻る気がするんだ


ほどなくして散ってしまうであろう桜
でも 記憶が呼び起こす桜吹雪は
いつまでも僕の中で
色を失わず降り続ける


真っ青な空 芽吹き始めた新緑
そっと触れ 少し紅くなった君の頬
春一番に舞った 空一面の桜吹雪


今はもう 遠いけれど
そちらにも降っていますか?
切なく懐かしく ほの甘い思い出
淡く優しく ちょっと涙の味がする
 色褪せないままの薄墨桜

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2019年04月06日 記

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