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へっぽこぴーりーまん書紀〜2社目編 新潟編vol.5


(→前編より)


分析係から、品質管理係へ

3ヶ月の分析係での業務を経て、ボクは品質管理係へと移ることになる。
気さくな係長の可部は退職。
品管はまた色んな人たちがおり、人材の宝庫だった。

1人1人ではそんなに悪い人はいないのかもしれない。
しかし特に人と人との橋渡しをする人材がいない。内向的な人の集団ということもあり、うまくコミュニケーションが図れなかった。
ボクが最初に与えられた業務は、安全審査業務だった。山野と一緒に組んで教えてもらいながら業務を実施することになった。

安全審査業務

安全審査業務というのは、新商品を出す際にその製品が使い方を誤ったりして、人に危害を与えたりすることがないか。ということを審査していくことだった。
大きく言うと、図面段階での安全審査、試作品での安全審査、ほぼ完成品での安全審査がある。それぞれの段階で会議を開き、製品に潜むリスクを洗い出す。場合によっては検証試験を実施したりするのが品管の役目だった。

一番困ったのは、専門用語が全く分からないことだった。スパウト、ヒンジ部、Lid部など耳慣れない言葉が会議で展開される。
指摘についても、非常に細かく、細かすぎるように思え、果たしてここまで審議することが妥当なのかもわからなかった。

もちろん、都度解説などをしてくれることもなく会議が進む。技術者の内輪の会話の中に、一人素人が入っている状態だった。
当時精神的に良いコンディションで無かったこともあり、頭が全く働かなかった。

山野から教えてもらうのだが、その説明すらよくわからない。自分が馬鹿すぎて理解力が無いのか、会話が難しすぎるのか。その両方なのか。
もはや日本語でコミュニケーションを取ってる気がしなかった。

書類作成

もう一つボクを悩ませたのは、書類の回覧だった。
会議のたたき台となる資料。全てに捺印が必要だった。
例えばボクが書類を作った場合。
1.指導役の山野
2.係長 長松
3.課長 工藤
4. 部長 大宮
5.開発担当
6.開発係長
7.開発部長
8.企画担当
9.企画課長
10.企画部長

少なくとも10人に捺印をもらわなければならない。
特にネックだったのは、一人にでも差し戻されると一から回覧をやり直さなければいけないことだった。

差し戻し→再回覧地獄


最もきつかったのは、同じフロアの山野、長松、工藤への回覧だった。
差し戻してくる。それは仕方ないのだが、修正しても一度目で気付かなかったところを再度三者三様に指摘してくる。
それが3度、4度にわたるのだから非常にいらいらした。
その都度資料を作り直して、回覧をしなければならない。
明らかに非効率なのだが、会議かなにかを開いて3者で書面の内容を詰めようという話には絶対にならなかった。
一つの書類を回覧しきるのに2週間以上かかったこともあった。

毎日毎日書類の作成と、差し戻し、再回覧に追われた。

ボクが能力が無かったことも大きいのだろうが、正直こんなことをやっていて会社としていいのだろうか。という気持ちも湧き始めた。

「こんなの明らかに非効率だよね。書類作成時間。確認で日数こんなにかけてたら製品開発が遅れるだけやん。」と思った。

ボクの失敗としては、喧嘩覚悟でこの仕組みを改善することだったのだと思うが、さらなる評価低下を恐れてしまってやらなかったことだろう。

一社目に一族体制を批判したその勢いが欲しいところだった。
完全にボクは牙を抜かれてしまっていた。

疑問を感じながらもボクはこの業務を続けていくことになる。

(→次に続きます。)


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