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大井川旅行(2021.08.25-27)②:井川線前編

47都道府県制覇している旅行大好きの19歳。愛機のNikon Z5を担ぎ鉄道で、車で、自転車で全国を旅する。静岡県西部に位置する大井川鐡道は観光鉄道として有名で、沿線や鉄道そのものが観光資源となっている。今回は私にとって三回目となる大井川鐡道紀行の旅行記である。

《今回の大まかな行程》

<初日(8/25)> 車で寸又峡、千頭駅に車をとめて大井川鐡道井川線(南アルプスあぷとライン) 菊川のホテルへ

<2日目(8/26)> 車を金谷駅にとめて大井川鐡道大井川本線とSL、車で移動して岳南電車の夜景を見る 宿は清水

<3日目(8/27)> 大崩海岸、日本平、三保松原、薩埵峠をめぐり帰宅

②ではついに大井川鐡道井川線に乗車。

井川線の路線図

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経路書き込むと…

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こんな感じ。青→オレンジ→赤の順(雑な図でごめんなさい)

前編ではアプトいちしろ駅を出発するところまでをお届けします。

前回(①)のあらすじ

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東京から230km、車で4時間程度の寸又峡まで移動。

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有名な夢の吊橋を訪れ、次の目的地千頭駅へ。しかし思ったより時間がない。果たして乗る予定の列車に間に合うのか!

①はこちら

千頭駅へ

千頭駅12:29発井川行

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千頭駅に隣接する道の駅奥大井音戯の里の駐車場に車を止める。千頭駅には駐車場がないため千頭駅の利用者はこの駐車場を使うことになる。料金は無料で約90台ほどの駐車スペースがある。

窓口で急いでフリー切符を買い乗り場へ急ぐ。現在時刻12:27。間に合った。

井川線乗車!

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千頭駅からしばらくは進行方向右側に座るのがおすすめだ。大井川は途中奥泉駅を越えるあたりまで右側を流れる。

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8月の下旬であるのもあってか、3両編成の列車には4グループしか乗っていなかった。私たちが乗った中間車両は貸し切り状態だった。

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製造年を見ると

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昭和37年と書いてある。1962年製、今年で59歳になるらしい。車体のいたるところにかなり年季を感じるのも納得である。

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千頭駅を出て一つ目の駅、川根両国駅を過ぎると両国吊橋が見える。線路の上を吊り橋が渡っている光景はなかなか面白い。

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井川線では度々車窓に大井川が映り込む。

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千頭駅から二つ目の駅、沢間駅。登録名は「沢間」だが、駅名標は「澤間」となっている。かつてはこの駅から千頭森林鉄道が分岐して、①で訪問した寸又峡方面へと走っていた。

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沢間駅を出るとすぐに車窓から茶畑を見ることができる。このあたりは静岡の銘茶、川根茶の産地である。

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茶畑を過ぎると、今度は寸又川を渡る。

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この鉄橋がかかる場所は大井川と寸又川が合流するポイントで、三叉峡と呼ばれる場所である。寸又川は①で訪れた寸又峡から流れてこの地点にたどり着く。

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土本駅を過ぎ、次の川根小山駅で上り列車と交換を行う。

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大井川水系で初めての発電所、小山発電所が近くにかつてあったようだ。

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①でも訪れた奥泉駅。今は13時だから、4時間ぶり。

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奥泉駅を過ぎると右手に目立つ赤い橋が見える。静岡県道388号線が通る泉大橋という橋だ。

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井川線はずっとこんな斜面を走ってゆく。これでは度々土砂崩れで不通になるのも納得だ。

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見えてきたのは第一大井川橋梁

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写真ではわかりづらいが結構高いところを渡る。

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橋を渡った後、トンネルを出るとアプトいちしろ駅につく。留置線には機関車が待機していた。

日本で唯一の現役"アプト式"

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アプトいちしろ駅~長島ダム駅はアプト式が使われている。ここで少しアプト式の説明を挟む。

アプト式(Abt system)とはラック式鉄道の方式の一つで、2~3枚のラックレールを歯形をずらして設置したものを指す。 (引用:Wikipedia)

この説明だとわかりづらいので、もう少し簡単に言うとアプト式とは鉄道がレールのほかに歯車を用いて急斜面を登る方法と言える。

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アプト式の専用機関車にはこのように車両下部に歯車がついている。(2020.3.1撮影 碓氷鉄道文化むら)

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一方線路にはこのように歯車に噛み合うようなラックレールが敷かれている。機関車は歯車をこのラックレールと噛み合わせて急斜面を登ってゆく。

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こちらはココで使われている機関車の車両下部。残念ながら歯車は見られない。

このアプト式区間、実は結構新しい。1990年に長島ダム建設に伴い、アプトいちしろー接阻峡温泉間が旧線から現在の線路に付け替えることになって誕生したのだ。旧線はダムに沈んでしまうため、より山側に付け替えることになり、それによりアプトいちしろー長島ダム駅間は急勾配を登る必要があった。そこで導入されたのが、かつて碓氷峠で使われていたアプト式である。

長島ダム建設によってできたダム湖は接阻湖と呼ばれる。井川線の旧線はほとんどの区間が水に沈んでいる。

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井川線はここアプトいちしろー長島ダム間を除いて全線が非電化であるが、ここでアプト式専用の電気機関車を連結して井川線唯一の電化区間を走る。

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うまく連結できたかな?

連結風景も良ければ見てみてね。(55秒)

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連結が完了すると乗車するように車掌からアナウンスがあった。

いざ"アプト式"区間へ!

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左に見えるオレンジの〇がアプトいちしろ駅、右端の見えづらい青〇が長島ダム駅である。今回はアプトいちしろ駅から長島ダム駅まで鉄道で移動し(青のルート)、長島ダム駅からアプトいちしろ駅までウォーキング(オレンジのルート)、最後にまたアプトいちしろ駅から鉄道に乗車して先に進むルート(赤のルート)で移動することにする。

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アプトいちしろ駅を出発し、アプト区間に入る。この急勾配、90‰(パーミル)という鋼索線(ケーブルカー)を除くと日本一の勾配である。90‰とは1000m進むごとに9m高くなる、およそ5%の勾配である。

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後ろを振り返ると急勾配がよくわかる。

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奥に見えるのが長島ダム。ダムは水平であるから、窓枠の傾きとの差からも急勾配がわかるだろうか。

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上写真はアプトいちしろ駅。この水位を覚えてトンネルを抜けた後の川の高さに注目!

アプトいちしろ駅~長島ダム駅車窓動画(5分10秒)(㊟途中画面揺れアリ)

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長島ダム駅到着

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アプト式を採用しているのはアプトいちしろ駅~長島ダム駅の一駅間だけなので、ここでアプト式機関車は切り離し作業を行う。

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切り離し完了。

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アプト式用機関車は留置線に移動し、対向列車を待つ。

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対向列車がトンネルから出てきた。

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ここで交換とアプト式機関車の連結を行う。

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長島ダム駅の駅舎。遊園地のトイレみたい。

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少し歩いて長島ダムの天端(ダム堤体上部の道)まで来た。

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連結を終えた対向列車発見。

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急勾配を下る列車とダムの放水。

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緑を斬る赤い列車はとても映えるね。

列車が下っていく様子。結構遅いので2倍速推奨(2分7秒)

長島ダム

写真下に見える橋へ行ってみよう。

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ダムの下に降りる斜面は綺麗に除草されている。

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画面右端の橋へ下りてゆく。

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下りてきた。

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ダムカードをイメージした枠発見。ただ写真で撮ると難しい。

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この橋の名前はしぶき橋というらしい。その名の通りの光景が広がっている。この日は暑かったので我々は涼しそうな水しぶきを喜んだ。

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それにしても凄い勢いだ。

放水している動画。音を聴くだけで涼しくなること間違いなし。(9秒)

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橋を渡り終えると虹が!

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ガードレールが泥まみれ。

ミステリートンネル・井川線旧線跡を歩く

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オレンジの区間、長島ダム駅からアプトいちしろ駅までは2本のトンネルを通るウォーキングコースとなっていて、しぶき橋から先は先程説明した井川線の旧線跡を再利用している。

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ダムから数分ウォーキングコースを歩くと1本目のトンネルが見えた。鉄道のトンネルだと気づく人もいるだろう。

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中は真っ暗で足元も見えない。懐中電灯必須だったが、持ってこなかったのでスマホのライトで足元だけ照らして進んだ。先が見えない恐怖というのはどうしても感じる。

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ゴールが見えてきた。

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出てきた。

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進行方向右手には井川線の新線が見える。この写真が一番急勾配を感じるかもしれない。

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今いる場所を新線から見るとこんな場所。アプトいちしろキャンプ場という名前のキャンプ場である。

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2つ目のトンネルが見えてきた。

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元々は大加島トンネルという名前のトンネルだったが、現在はミステリートンネルと名前を変え遊歩道になっている。

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375mも長さがあり、1本目のトンネルより長くカーブしているため入ると真っ暗である。キャンプ場の方からたまにコウモリが出ると教えてもらったが、それも納得の暗さ、長さだ。

先ほどの看板にもある通り、真っ暗なトンネルを活かして"ドッキリ処"がトンネル内に複数設けられているのだが、ここでは割愛する。お楽しみ。

アプトいちしろ駅と市代吊橋

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トンネルから出てくるとアプトいちしろ駅に戻ってきた。

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「かわねいちしろ」と書かれた古い駅名標。かつてのこの駅の名称だ。旧線廃止に伴い現在のアプトいちしろ駅へと変更された。

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消えかかっているが隣駅は「おくいずみ」(奥泉)と「かわねからさわ」(川根唐沢)と書かれている。川根唐沢駅は今はダムに沈んでしまって見ることはできない。

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留置中のアプト式電気機関車。

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その横に見えるトンネル。奥泉駅(千頭駅)方面に伸びるトンネルだ。

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アプトいちしろ駅の駅舎。

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駅前には立派な鉄橋がかかっている。

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鉄橋の名前は市代吊橋。元々鉄道用の吊り橋として建設された。

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吊り橋の先は奥泉変電所となっているため、残念ながら一般人はこの橋を渡ることができない。

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再び駅に戻ってアプト式のスタート地点を撮影。

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列車がやってきた。ここで連結をすませ、井川駅方面へ出発。

次回予告

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長くなってきたので大井川鐡道井川線は後編に続けることにします。

次回はアプトいちしろ駅から尾盛駅(オレンジのルート)そして奥大井湖上駅、終点千頭まで(赤のルート)をレポートしようと思います。

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最後にチラ見せ。③へ続く(?)

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