ひとり兎園會 ーー幼きモノーー
私がまだ二十代の頃の話。東京はN区を走る私鉄沿線、踏切の傍にそのアパートはあった。そこに住まうのはAさん夫婦と小学校低学年の年子の姉妹。そのご家族に「独身の一人暮らしじゃあ碌な物も食べてなかろう、たまにはちゃんとした手料理を食いに来い」と晩御飯に誘われた。そこの姉妹への土産にケーキなんぞをぶら下げてお呼ばれに応じた。
食卓に並んだ肉料理に魚料理、様々な手作りの家庭料理に舌鼓を打ちながら酒を飲み、一家団欒の暖かい時間を過ごしていると、姉妹の玩具箱からと電子音がなる。
「気にすん