見出し画像

MUJIはおしゃれじゃない

タイトルは某曲のオマージュ。昨日のnote記事は書き始める前は本当は珈琲の話をメインにしたかったのだけど、徒然なるままに書いているうちになぜかああいうテンションになってしまった。(なんかいきなりすみませんでした。)今日こそ珈琲の話をしようとしていたのだけど、結局今日も別のことを書きたくなってきている。


先月の14日に、その日会うのが初対面だった人(友達の友達)に、in livingというYoutubeチャンネルを教えてもらった。

(ちなみに、直近で最後にお茶をしたのがその会で、その会の趣旨とメンバーを書こうとしたのだけど、本筋とずれてしまう上に、話すとめちゃくちゃ長くなってしまいそうだったので、それはここでは書かない)

紹介してくれた人が好き、というわけではなくて、最近サブカル男子にメチャ受けしてるらしいよ、的な感じで教えてくれた。りりかさんという一人暮らしの女性が、何でもない日常のルーティンや家の中で使えるオススメ商品やファッションを紹介しているライフスタイル系のチャンネルだ。

一部の男子ウケしそうなルックスと、一部の女子ウケしそうな生活、一定層にめちゃくちゃに刺さるだろう、尊いオーラを放っている。この動画のテーマ、扱う商品、りりかさんの話し声、何気ないカットシーン、陽の光の暖かな雰囲気。令和版の「丁寧な生活」のイデアがそこにある。ように感じる。

1つ2つ(この動画のBGMとか)動画をみると、すぐに気づくのだけど、この「丁寧な生活」は無印良品の世界観に近いと思う。

無印良品は今や「世界のMUJI」として確固たる地位を築いているところであり(特に中国受けが良いらしい)、無印良品のブランディングについてはいろんなの本が出ているだろうが、私はちょうど10年くらい前に、原研哉さんの「デザインのデザイン」という本で、無印良品のデザインとブランディングのことを知った。

第4章の「なにもないがすべてある」で、無印のコンセプトについて「『素』あるいは『簡素さ』の中に新しい価値観あるいは美意識を生み出すこと」「そのコンセプトは北をさす方位磁針のように生活の『基本』と『普遍』を示すもの」といった言葉で表現されている。

さらに原さんは、著書の中では、以下のような考えから、無印良品の広告にメッセージとしてのコピーを入れない「EMPTINESS」をコンセプトとして、ウユニ塩湖の水平線が美しい写真を広告に使われた。

無印良品に潜在的な好意を持っている人たちは数多くいるが、その行為を持つ理由は様々である。ある人はエコロジーだと思い、ある人は都会的な洗練だと思っている。またある人は価格のやすさが気に入っているし、またある人はシンプルなデザインが好きなのである。(中略)広告メッセージは想のうちのどれかを代表するものであってはいけない。それらの思いの全てを受け入れる大きな器であることが理想である。

「EMPTINESS」や「素」といった概念はとても深いし、いろいろと考えさせられるのだけども、一方で、いろんなイメージから生み出されるMUJIの世界観はファッションになっているところもあるように感じる。

ロハスやヴィーガン、ウェルネスという概念は、行き過ぎた場合には「意識高い系」として敬遠されるようなことがままあるが、そういった危険性が無印にもある。in livingはまさにそこをついているわけで、ギリギリのところで、ファンションに寄りすぎずに、でもキャッチーなキャラクターで、MUJIらしい「素」が演出されていると分析することもできる。


さて、私はというと、結局そういった世界観が好きな方の人間だと思う。

デザイナーでいうと原研哉さんも好きなのだが、一番好きなのは深澤直人さんというデザイナーだ。(そのためにスマホを持たず、ガラケーにしたくらいなのだが、その話は後ほど)

無印良品の製品をいくつもデザインされているが、深澤さんのデザインされた椅子なんかは、みてて本当に気持ちが良い。デザインに正解や不正解はないのだけども、私はこのデザインをみて、「正解」を感じる。それは無印の世界観の「素」に近いところがあると思う。(以前行った展覧会のツイートを掲載してます)

今、外出自粛中で多くの人が「家での時間」を見つめ直す機会となっていると思う。かくいう私も、今までより丁寧に家での生活を送っている。掃除・洗濯・料理と、家事の頻度が増えるし、そういった時に、今まで見えてこなった生活のディテールが見えてきて、普段気にせずに使っている細々した生活用品の「善し悪し」が見えてくるようになる。

肝心の無印良品の製品は家にはあまりないけども(そこまで信者ではない)、それでも2・3ある無印良品の製品はやはり部屋に馴染みが良い。サムネのシャツもMUJI製品だけど、in livingよろしく可愛い感じが気に入っている。在宅勤務の際にはパジャマのままでは気合が入らないので、シャツを着るようにしているが、その時にこのMUJIのシャツはすごく「ちょうど良い」。

結局このセンスというか感覚は、単なるファッションな気もするけど、もう少し根底の部分に訴えかける何かに惹かれている気もする。そこの線引きは結構難しいし、今後も考えていきたいが、今回は「MUJIはおしゃれじゃない」という言葉で締めくくって記事を終わりにしたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?