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ホテル客室の実測を続ける理由

今年の3月に三井ガーデンホテルの「HOTELどこでもパス」に当選したので、4月に1カ月間ホテル生活をしていました。5月に入ってからその総括をしていましたが、前回記事からずいぶん間が空いてしまいました。過去の総括記事はこちらから。

昨年の7月から都内のホテルに宿泊し、「東京都内のホテルに泊まって、そのホテルの宿泊記録をつけながら、ホテル周辺のいろんなことを考えて、note記事に綴る」ということをやっているのですが、今回はその中で欠かさずやっている「ホテル客室の実測」について書いていきたいと思います。

なぜ始めようと思ったか?

「2019年に異動したのが新規事業を立ち上げる部署だが、それがグダグダ」みたいな話は、このnote記事でも何度か書いてきたことです。昨年から、ホテルに関する記事をあげているので、お察しの方も多いと思いますが、その新規事業というのは「ホテル事業」のことでした。

実際には、不動産会社としてホテルの自社運営が可能性を検討する部署だったわけですが、コロナ禍の影響もあり、その検討は一旦休止することになりました。昨年の途中には部署も変わり、今は不動産開発系の部署に異動となったのですが、それでもホテルについての興味は尽きないため、今でもホテル宿泊をして、その記録を取り、思考を巡らせている次第です。

新規事業としてホテルの検討をしていくなかで、ホテル会社からの出向者が来ていただいていたのですが、その方からホテルの実査の「いろは」を学びました。立地・共用部・客室・サービス・客層・コンセプトなどの着眼点についての膨大なチェック表を見せていただきました。そして、ありがたいことに2019年度中には、会社のお金で調査と称していくつかのホテルに泊まらせていただき、そのチェック表を隈なく埋めてレポートを書いていました。

会社のお金で泊まらせてもらってるという後ろめたさもあって、チェック表を埋めるだけではなく、それに加えて1泊するたびに何か自分の糧にしようと思って、始めたのがホテル実測です。

大学では建築学科に通い、これでも一級建築士の資格も持っていて、趣味でインテリアコーディネーターの資格も取っているので、その時に培ったノウハウは活かさない手はありません。

ただ、元々の絵心はゼロに等しいので、オシャレスケッチではなく単なる記録の延長線ですし、普段設計を生業にしているわけではないので、細かい仕上げの種類や構造に近い部分はわからないのでごまかしながらやっているのが、現状です。

道具と作業内容

使っている道具はこちら。

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シンプルなステンレス製の定規(鋼尺といいます)、3.5mのコンベックス、シャーペン、消しゴム(2種)と至って普通です。

ノートだけは、昨年にホテル宿泊記録を始めようとする前に新調した5mmの方眼罫のオシャレなものです。いつも平面図は縮尺1/40、展開図は縮尺1/20として図面を描いていますが、これはそれぞれ方眼紙の5マスが1mに、10マスが1mに対応しており、いちいち縮尺を計算しなくてもよい工夫をしています。

作業としてはひたすらホテル客室の採寸をするということにつきます。だいたいの順序としては、だいたいのプロポーションをおさえてページにおさまるように扉の位置を決めて、出入口の扉から客室をグルッと壁沿いに1周測ります

その後、家具や水回りの器具についても寸法を押さえて、気になるところは高さ方向の書き込みもします。窓際のあたりは外壁との取り合いなど雰囲気ですが、だいたい変な体制で寸法を測っていることが多いです。天井高を確認して平面図は終わり。

だらだらYouTubeの動画や音楽を聞き流しなら作業をしているので、だいたい1室2時間くらいかかります。そこから余力があれば、あるいは気になるところ、記録しておきたい水回りや家具・テレビボードなどは展開図も書きます。

実測する意味

格好つけていうと、スケール感覚をおさえる、写真だけで記録しきれないディテールを記録する、というところにあると思います。意外とこのソファは小さいとか、このナイトテーブルの大きさはちょうどよいとか、自分が作業しやすい机の高さはだいたい700mm前後とか、そういうことがわかってきます。後からnoteに記事を上げるときの参考にもしています。

さらに私の場合はホテル生活で約2日に1回のペースで実測をしている中で、ただ無心に作業をしている時間が楽しい、ということが非常に重要だと気づきました。音楽を聴いたり、時には友達と電話をしたりしながらホテル実測をすることもあるのですが、そのような「ながら」で没頭できる作業は自分の精神の安定につながっているような気がしています。これについてはいずれもう少し掘り下げたい自分探しのテーマです。

参考文献と今後の展望

どういう趣旨でスケッチするか、ということによって、書き方は変わりますが、いろんな人がホテルの実測をして記録をあげています。

私が感銘を受けた、というか、この作業の参考にしているのは、UDSから独立されたThe Range Designの寶田さんが書かれたこちらの本です。ものすごい書き込み量です。

また、ホテル実測でエッセイ本をいくつも出されている浦一也さんの本も読み始めました。

また、ネット上でも、すごく味があって、センスあふれるホテル実測の記録を上げている方がいて、いつも楽しく拝見しています。(無断転載失礼します)

先にも書いたように、私は絵心があまりないこともあって、シャーペン1本で味気なく淡々とホテル実測記録をしていましたが、こういう見ていて楽しくなるような絵を描きたいという憧れもあります。

なので、今後のホテル記録は実測+着色で、より描いていて、見ていて楽しいものにしようと模索中です。仕事を離れて趣味・ライフワークとしていますので、引き続きなるべく楽しみながらやりたいな、と思いますので、よろしくお願いします。(サムネは次回のGOOD NATURE HOTELの予告です)

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過去記事はこちらから。



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