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植物

植物を枯らさなくなった。のは30代に入ってからかもしれない。と、今窓辺に置いている植物たちを見ながらふと思った。我が家の植物メンバーは、パキラ、ガジュマル、紫陽花、多肉植物。みんな元気にもりもり葉を広げてて、葉がぴかぴかで、すごくかわいい。本当に本当にすごーーくかわいい。6月に入ってから特にぐんぐん大きくなってそれもかわいい。

それまでは植物というものにあんまり関心がなかった。学校の先生をしていたとき、保護者参観の前になると、「教室に花を飾りましょう」と言われて、もうすでに咲いている花が植わっている植木鉢が教室に配られた。保護者参観の前日か、前々日くらいに配られるので、保護者が来る当日は綺麗なままだけれど、しばらくすると花は枯れ落ちて、土も見るからに「水分も栄養も0です〜」という感じの砂漠みたいになっていて、すごく悲しい気持ちになった。(係の生徒が毎日水をあげてくれていたのに。)でもこの状態をどうしたらいいかを考えたりはしていなかった。

他のクラスのはまだ元気だったりするので、同僚の先生方にも「枯らすよね〜」「教室の空気よどんでるんじゃないの〜?」といじられたりしていた。だからなんだかその植木鉢が来るとこわかった。試されいているようで・・・。

でも今ならわかる。きっとわたしが枯れさせたんだろうなぁって。あの頃のわたしってそういう感じだったよなあって。とにかく毎日わけがわからないくらい、たくさんやるべきことがあって(そういう気がして)、やってもやってもうまくいかなくて(そうとしか思えなくて)、自信が持てなくて(そりゃそうなるよね)苦しんでいた。自分の目の前のことを見るのが精一杯で、植物には目を向けていなかったと思う。枯れた植物たちは、そういうわたしの気持ちとか、人間性を表しているような気がして、こわくて向き合えなかったと思う。

植物たちには、かわいそうなことしたよなあと思う。今はみんな元気に育っているからその時のわたしに、この子たち(かわいすぎてついにそう呼ぶ)を見せてあげたい、と思う。「大丈夫、あなたでもちゃんと、植物を育てられますよ」と言ってあげたい。それで、「大丈夫、大丈夫だよ」って肩をとんとんってしてあげたい。

2023.7.1 
(2023年後半戦スタート)


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