見出し画像

Androidの革製スマホケースを日本で売るのは難しい

スマホケース制作の雑貨番号202です。主にminne(ミンネ)というハンドメイドマーケットでスマホケースの販売をしています。

さて、ハンドメイドマーケットであるminne(ミンネ)では、ありがたいことに販売する作家さん向けに『おはよう!minne LAB』という動画コンテンツをYouTube配信されています。記事執筆時点で、最新の動画は以下の『質問75「革のiPhoneケースを販売。アクセス数が頭打ち、ケース屋さんは飽きられた?」ハンドメイド作家さんのお悩み相談』です。

iPhone用の革製ケースを製作されている作家さんの悩みが取り上げられています。最近、売れ行きが鈍化しているという相談です。

動画では、売上アップの施策の1つとして「iPhone以外のAndroid向けの作品も販売してみては?」という提案がありました。

私もスマホケースを販売しているのですが率直な感想として、レザー作家さんが日本でアンドロイド用の革ケースを作っても儲からないだろうな…と思いました。

日本ではアンドロイド用スマホケースというのは、需要はあるけど儲からない典型的なアイテムだからです。

ほぼiPhoneな日本のスマホ事情

海外のサイトですが、世界各国の2019年度のスマホシェア率を見ることができるページがあります。

上位12位までの機種が掲載されていますが、1位から12位まで全てiPhoneで占めている国は日本だけです。上位12位までに、いっさいiPhoneが登場しないインドネシアのような国も異彩ですが、日本のスマホ事情も特殊なようです。

日本でiPhoneケースが儲かる理由

上記のサイトのデータより、日本のTOP5を抜粋します。

1.iPhone 7(11.73%)
2.iPhone 8(11.28%)
3.iPhone 6S(5.66%)
4.iPhone X(5.31%)
5.iPhone 7 Plus(3.69%)

まず日本のデータで特殊なのは、1種類でシェア11%を超える機種が2つもあるということです。上記のデータサイトに掲載されている国で、日本以外に単一機種のシェアが10%を超えるのは、デンマーク1位のiPhone7(10.67%)のみです。

日本の場合、上位5種類のiPhoneケースを用意するだけで、全スマホユーザーの4割弱をカバーできます。ビジネスとしては、とても効率が良いですね。

iPhoneケースは兼用も多い

iPhoneの本体は、ほぼ同じ大きさやカメラ位置のものが少なくありません。

たとえば、iPhone7とiPhone8とiPhoneSE2は、ほぼ同じサイズとカメラ位置です。市販のiPhoneケースでも『iPhone7/8/SE2 兼用』と表記されて売られていたりします。同じく、iPhoneXとiPhoneXSもほぼ同じサイズです。

さきほどの引用データを見てみると、日本のスマホの1位はiPhone7(11.73%)、2位はiPhone8(11.28%)でした。

前述のようにiPhone7とiPhone8は、ほぼ同じサイズですね。革製のアイフォンケースを考えるとベースとなる1種類のハードケースと型紙の1つのパターンだけで、全スマホユーザーの23.01%をカバーできるようになります。制作側としては、iPhoneケースというのは効率よく量産できるアイテムになります。

アンドロイドケースはコストが高い

アンドロイドケースが儲からない理由は複数ありますが、とにかく各方面のコストが高いです。

iPhoneケースの場合、ハードケースの仕入れ値は安いです。100円ショップでも買えるほどです。Androidケースだと、仕入れ値は500円から1000円ほどでしょうか。iPhoneは圧倒的にコスト優位ですね。

また、アンドロイドのレザーケースを考えると手間がかかる分、制作コストもアイフォンよりも高くなるはずです。Androidの場合、背面はカメラ以外にライトやNFC、指紋認証などのホール(穴)が複数ある機種は珍しくありません。

少し図解すると、以下のようなイメージです。

画像1

iPhoneは、基本的に以下の3パターンです。

画像2

どちらが加工しやすいかは、一目瞭然でしょう。

日本の場合、国内メーカー製造のアンドロイド端末の種類が豊富なのも、スマホケース販売側の悩みの種です。アクオスだけでも以下のような種類が挙げられます。

AQUOS sense5G/sense4
AQUOS zero5G basic/AQUOS zero5G basic DX SHG02
AQUOS sense3 basic
AQUOS R5G
AQUOS sense3 lite
AQUOS sense3
AQUOS sense3 plus
AQUOS zero2
AQUOS R3
AQUOS zero
AQUOS R2 Compact
AQUOS sense2
AQUOS sense plus SH-M07
AQUOS R2
AQUOS SERIE mini SHV38/Xx3 mini 603SH
AQUOS R
AQUOS R compact
AQUOS sense SH-01K/SHV40・AQUOS sense lite SH-M05
AQUOS EVER SH-02J
AQUOS SERIE mini SHV31
AQUOS ZETA SH-04H
AQUOS ZETA SH-01H
AQUOS ZETA SH-01G
AQUOS EVER SH-04G
AQUOS CRYSTAL 2
AQUOS Compact

エクスペリアだと以下です。

Xperia 5 II
Xperia 1 II
Xperia 10 II SO-41A
Xperia 8
Xperia 5
Xperia 1
Xperia Ace
Xperia XZ2 premium
Xperia XZ3
Xperia XZ2
Xperia XZ2 Compact
Xperia XZs
Xperia XZ1
Xperia XZ1 Compact
Xperia XZ
Xperia XZ Premium
Xperia X Performance
Xperia X Compact
Xperia A
Xperia A4
Xperia Z5
Xperia Z5 Premium
Xperia Z5 Compact
Xperia Z3
Xperia Z3 Compact

他にもアローズや、らくらくスマートフォンなどもあります。これらの型紙を用意するのは非常に難易度が高いと思います。他にもGalaxyやGoogle Pixel、HUAWEI、OPPOなどの海外勢を加えるとさらに困難でしょう。

あとは、アンドロイド端末の知識も要求されるので、学習コストも高くなります。

たとえばGoogle Pixel4aは、4G版と5G版が存在します。4G版の大きさは5.8インチ、5G版の大きさは6.2インチとサイズが違うので注意が必要です。たぶんスマホに詳しくないお客さんだと、自身の買ったスマホが4G版か5G版か認識していないと思うので、スマホケースの注文を受ける際は、受注側が注意を払わないといけないでしょう。

また、OPPO(オッポ)のOPPO Reno Aもスマホケース適合問題が存在します。詳しくは以下の記事をご参照ください。

このようにiPhoneケースに比べると、調達・加工・学習コストがかかってしまうのがAndroidケースです。

Androidケースが儲かるなら100円ショップで売っているはず

100円ショップに行くと、たくさんのアイフォンケースが売られています。100円という低単価で売っても利益が出るという何よりの証拠でしょう。(200円~300円という商品もありますけど…。)

いっぽうでアンドロイドケースは、ほぼ皆無といっても過言ではないかもしれません。

ちなみに韓国のランキングは、前述のサイトから上位5つを引用すると…。

1.Samsung Galaxy Note 8(5.54%)
2.Samsung Galaxy Note 9(4.97%)
3.LG X4+(4.22%)
4.Samsung Galaxy S8(3.82%)
5.iPhone X(3.06%)

やはりサムスンやLGが強いですね。韓国の100円ショップでは、Galaxyのケースやフィルムが売られているようです。

韓国では売られているアンドロイドのケースが、日本の100円ショップで売られていないということは、日本では儲からないという経営判断なのでしょう。

minneでスマホケースを販売している作家さんが、アンドロイドを取り扱わないというのも経営判断なのだと思います。少品種で多売ができるiPhoneケースと、多品種で多売が見込めないAndroidケースでは、妥当な判断だと感じます。

雑貨番号202では、薄利ですがAndroidスマホケースも取り扱っています。Androidスマホケースをお探しの方は、選択肢に加えて頂ければ幸いです!

Twitterのフォローもお気軽に!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?