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POLAの採用動画をデコンしてみた

デコンとは?

デコンという聞きなれない言葉は、deconstruction(脱構築)を語源。
すでにあるCM、ポスター、コピー、サービスを見て、その顧客の課題、顕在ニーズ、潜在ニーズ、インサイト、戦略を妄想し勝手に分析するという、今、広告代理店やIT企業で流行っているデザイン思考のトレーニング手法です。

POLAの「うつくしく、はたらくプロジェクト by POLA」

今回の対象採用動画はPOLAのこちらの動画です。なぜこの動画を選んだかというと、私が初めてこのPOLAの採用動画をみた時、他の採用動画と大きな違いを感じました。それは映像のクオリティもさることながら、具体的な説明の要素がないことです。
しかしながら、「ああ、なんて素敵な仕事なんだろう」という読後感だけが残りました。これはなんでなのか?ここを解き明かしたいからです。

https://youtu.be/KpA7sjsIcmA

POLAはご存知、全国にショップを展開している化粧品ブランドです。全国のショップで働いているのが今回の採用動画の募集対象でもあります「ビューティーディレクター」と呼ばれている販売員です。歩合制を強いており、個人事業主に近い雇用体制です。
今回の動画タイトルに(埼玉県編)とありますが、同じような1人のビューティーディレクターのインタビュー形式の動画が他にもいくつかあります。
こちらに一覧がありますが、他にも(秋田編)(大分編)(山形編)などもあります。

今回注目したいのがこの動画が
「地域社会のために働く」というコンテンツの中で展開しており、それぞれの動画にはこのようなコピーが添えられていることです。

日本の働き方を、もう一度見直そう。
そんな動きが、加速しています。
けれど、ふと思うのです。
その議論の中心は、都市ばかりではないか。

働いているのは、都市だけじゃない。
もっと地方での働き方が変われば、
この国の働き方は、がらりと変わるはず。
その想いから、ポーラは女性を中心とした
地方の働き方活性化を支援する活動を行っています。

雪国と、南国の、働き方はまったく違う。
だからこそ、家庭との両立支援はもちろん、
それぞれの地域性に合わせた働き方を届ける。

これからだ、私。北から南まで。西から東まで。
すべての人が、そう思える未来を目指して。

顧客の課題は?

POLAのビジネスモデルにとって、今回の募集対象である「ビューティーディレクター」は重要です。単なる販売員ではなく、委託販売制度はあるもののフランチャイズに近い、言えば運命共同体です。POLAの製品を自分でも使い、しっかり顧客を集め、魅力を存分に伝えてもらう、という意味では、大事なお客さんでもあります。その要素は今回のデコンで重要かと思います。
また、上記のコピーにある通り、今回の顧客は都市部ではない地方の求職者であることがわかります。
その点を踏まえて、今回3つの視点で課題を洗い出してみました。
(POLAのビューティーディレクターという職が無いと生まれる課題とは?)
■地方で仕事をしている女性にとっての課題とは?
・地方で自分がやりたい仕事がない
・仕事が無いため諦めている
・仕事があっても家庭と両立できない

■POLAにとって課題とは?
・優秀なビューティーディレクターが都市部に集中し地方で集まらない
・地方での店舗売上を牽引してくれる人材が集まらない
・地域に目指したマーケティングに強い人材が集まらない

■地方社会にとっての課題とは?
・地方の職場環境が家庭両立など女性支援が遅れている
・地方で職場がないため人の流出が進み過疎化、都市部人口集中がすすむ

戦略は?

まずは顕在ニーズは?本人が気づいている欲望は?
■顕在ニーズ
・子育てと両立できる仕事がしたい。
・休み、勤務時間が融通が効く仕事がしたい
・家庭か仕事か、ではなくどちらも充実させたい
・やりがいのある仕事としても探している
・子育てしながら仕事をすることに理解のある職場環境がいい

■潜在ニーズ(本人さえ気づいてないが聞けば引き出せる欲求は?)
・子供が成長すれば仕事に集中できるのでキャリアアップもしたい
・生き生きと仕事をしているママの姿を子供に見せたい
・旦那さんだけに収入を任せたく無い

■インサイト(本人が気づいていない欲や本音)
・かっこいい働く女性として誇れるママでいたい

このインサイトに行きつきました。やっぱり地方だろうと、都市部だろうとこの「かっこいい働く女性ママ」は強いインサイトでは無いでしょうか。
その上で、

■どのようにして課題を解決する?(インサイトを満たすための方向性)
・同じような悩みを持っている地方ママさんが、POLAのビューティーディレクターという職業にであって「かっこいい働く女性ママ」に変貌したストーリーを、その地域ならではの背景も意識しつつ伝えること

戦術は?

戦術とは上記の戦略を、具体的な試作に落とし込んだ内容になりますが、ここでは「採用動画」の構成に置き換えて考えます。
・地域を代表する映像
・POLAとの出会いのキッかっけ
・ママとして仕事が充実しているからこその子供との会話
・柔軟な仕事の仕方をしているシーン
・生き生きと仕事を楽しんでいる姿
・そのインタビュー

これらのシーンを構成に組み込むことが重要だと考えます。

このデコンを眺めますと、初見でPOLAの採用動画をみて感じた、「なんかいい仕事」という読後感の正体が、しっかり戦略、戦術として動画構成に落とし込まれていたことがわかりますね。

まとめ

顧客はPOLAの販売員でもあるが、お客さんでもある地方の求職ママ。
課題は、求職ママとしては、「家庭と両立しながらも生き生きと働ける仕事が地方にない」。POLAとしては「地域に根ざして活躍してくれる優秀な人材が地方では集まりにくい」。社会としては「地方では家庭と両立でき、かつやりがいを感じられる女性キャリアが描きにくく、流出につながる」となります。
戦略としては、
顕在ニーズが「子育てと両立できる充実した仕事をみつけたい」。潜在ニーズは「家庭と両立しつつ、実はキャリアアップもしたい」。インサイトは「かっこいい働く女性として誇れるママでいたい」。
戦術としては、
「地域の魅力を伝えつつ、同じ悩みを持つ地方ママがPOLAで家庭と両立させつつ、生き生きと仕事をしている姿を描くこと」という映像になります。

動画の最後のコメントで

「綺麗でいるだけでちょっと笑顔になったり、、、、女性になれる瞬間を与えられているというか、、、、そういう瞬間をもっと持ってもらいたいと思いますよね。」

生き生きと仕事をしている女性はうつくしい。
そんな女性を1人でも多くしたい。
そのためにPOLAがあり、
そのためにビューティーディレクターが必要なんです。

そんな採用コンセプトを超え、POLAという企業ビジョンまでが滲み出ている採用動画だと感じました。

以上POLAの採用動画のデコンでした。参考になれば幸いです。

サービスのご紹介

採用動画は「映像制作会社」に依頼する会社が大半だと思います。
ただ、まずは、
・採用したい人材の要件定義
・採用活動における課題
を考えることが大事です。
まさに上記のデコンのように、課題、戦略、ターゲットの求職者のインサイト(本音)まで考える作業を行えば、自動的に採用動画の構成は見えてきます。
その意味で、まずは映像のプロではなく、
人事のプロ、キャリアコンサルタントと共同して動画企画をお勧めします。

国家資格キャリアコンサルタントが、人事コンサルからスタートします。


是非、ご興味の方はお問い合わせください。


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