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#79 感受性の手入れ

”えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい”


インフルエンザで人も死ぬのを知らなかった。そこから?
最後にインフルエンザになったのは小学生くらいで高熱にあえいだ記憶を辿る。
夭折という響きはどうしてこんなにも儚く美しく映るのだろう。

私の働いている街は東京のど真ん中だけど、そこかしこに椿が咲いていて綺麗だ。
真ん中の黄色に映える赤のコントラストが良い。

さっき上司と話していて反省するところがあった。
あれだけ仕事をくれよとへそを曲げていたけれど、至っていない色んな部分を指摘されてしまったのだ。
それは上司にもあるけど、だからと言って自分を棚に上げていい話でもない。
「へえ」「うーん」「あ、そっか」「どうしようかな」
今日も上司の発する独り言が折り重なっていびつな音楽を作っている。

笹井宏之氏の言葉たちは独特で、でもすぐそばにある。
たった一行で的確に切り取られた風景。その鋭さと包容力に感銘を受けた。

日々、朽ちていく感受性。ボロボロと肌から剥がれ落ちるように音もなく私から離れていく。
捕まえておかなくちゃと思って必死に抱きしめるように本を買ったけど、部屋の隅で積まれたまま。こういう時に詩や短歌はいい。

愛や恋が分からない。相互依存じゃないなら何なのだろう。私はアーケードの下を「寒いね」なんて言いながら買った珈琲片手につかずはなれず歩ければそれでいいのだけど。傷つけあう言葉や反対に求めあう身体は止みはしない。心の距離を無視したまま。
あと、そもそも論だけど、人を好きになるのが難しすぎる。
寂しいからってだけじゃ私に恋愛は燃費が悪すぎるよ。
こんな私を好きになってくれる人たち、いつもごめんね。

「あっという間の一年でしたね」と言われて「私には長かったです」と返してしまった。心がガサガサしている。もっと感受性に水を与えよう。

えーえんとくちから、永遠解く力を、私に下さい。

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